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快晴の日

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なぜだか今日はレントラーもライチュウも俺から離れようとしない上にボールにも戻らなかった。なぜだかって、わかってるんだけど。あまりにも空が綺麗なので窓辺に椅子を引っ張ってきたところで、散歩にいきゃいいんじゃねえかと気付いた。スウェットだけど、まあ、いいか。俺はまだ半裸だったので、適当にTシャツとパーカをはおって、財布と鍵だけ持って、ライチュウとレントラーを連れて外に出た。ボールを持たないで外に出るのって久し振りだなと気付いた。同時に、こいつらが外に出るのも久し振りなのだった。ジムでのバトルばかりだし。だから外ばっかみてたのかな。ライチュウもレントラーもはしゃいでいた。道行く人は大体俺を知っていて、最初はライチュウだのレントラーだのでかいポケモンが街中でとんだりはねたりしているのをみてぎょっとするんだけど、少し後に続く俺に気付くと納得した顔をして挨拶してくれるのだった。二人は野生の、レベルが自分たちより相当下だろうポケモンたちにちょっかいを出しながら先を行き、離れすぎたり何かを見つけると俺のとこまで戻ってくるというのを繰り返していた。海沿いの道は心地好い風が吹いていて、本当なら全員で来たかったなと俺に思わせた。まあ無理な相談なんだけど。


きゃあきゃあしていた二人が急に黙ったので目をやると、子供が一人浜辺に立っていた。窺うように俺を見るので、迷ったけど近くにいってみることにした。子供は――コウキは、砂を踏む俺たちの足音に気付いてこっちを振り返った。ライチュウとレントラーが体をかたくしたのがわかった。大丈夫だよ。コウキはそんな二人をみてちょっと悲しそうな顔をしたので俺は正直慌ててしまった。

作品名:快晴の日 作家名:たに