ペタリ☆お揃い
「そっ、それはそのような所に貼るものではないのである! 」
時刻は昼休み。
いつものように兄妹2人で、校舎内中庭に在るベンチで昼食をとっていた時のこと。
「兄さま・・・・・・? 」
妹の突然の提案に、スイスは危うく口にした紅茶を噴き出すところだった。
リヒテンシュタインが手にしているのはこの間、ぬいぐるみを取りにいったゲームセンターで撮ったプリクラ。
てっきり直ぐに承諾を得られるものと思っていたのに、意に反して慌てる兄に妹は首を傾げる。あの、いけませんか? と尋ねるも
「ち、違う! 違うぞリヒテン! 断じていけないことなどない! ・・・・・・ただ、こういった頻繁に使う物にだな・・・・・・」
いつもは毅然としている兄がにわかに視線を逸らし、もごもごと茶を濁し始める―その頬には実は微かに朱が差しているのだが
意外にもその場で了承を得られなかったことに動揺した、リヒテンシュタインの目には映らない。そして―
「・・・・・・ごめんなさい兄さま、どうか忘れてくださいまし! 」
「リっ、リヒテン―」
妹の目に光るものが滲んでいたのを、スイスは見逃さなかった。