兄さまひっし
「・・・・・・大体、生き物をないがしろにした生徒がいたとしたら、いの一番に貴方が飛んできて、その世話を引き継ぐのでしょうからね」
そしてその者にもれなく『それなりの制裁』を下す と。
誰にともなくそう独りごち、彼は眼下に望む2人の兄妹を眺めていた。スイスの押す台車の車輪の音が硝子越しに抑えられて聞こえてくる。
オーストリアは校舎3階に位置する音楽室の窓辺に佇み、携えてきた紅茶を楽しんでいる真っ最中だった。
マリアツェル と称する特徴のある髪が揺れる。
『最初から素直に立候補していれば良かったのですよ。なのにまったく、あのお馬鹿さんときたら―』