二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

なにより嫌う束縛をなによりも愛した

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 



ドクンッ、


『波江』、そう呼ばれて私は彼の顔を見ようとして、視界が真っ暗になる。

物凄い力で両腕を引かれて、抱きしめられた。
頭を抱えられながら、背中を撫でられる。

母親が赤ん坊をあやすときにするような、優しい手付きが私を安心させた。

「波江」

先程と同じく呼び捨てられた名前に心臓が跳ねるのが分かった。
そして…普段あまり呼ばれなれない呼び方をした臨也の心臓が跳ねる音が、聞こえた。

そのまま胸板に耳を寄せれば、聞こえてくる彼の心音。
ドクン…ドクン…とゆっくりな波長でたまにドクドクと早くなる。

「あのさ、俺…何かした?」
「え…?」
「もし、俺が波江に何か酷いこと言ってたり、しちゃってたりしたなら…ごめん」

抱きしめられている腕が更にぎゅっと強くなった。

「臨也…」

強く抱きしめられているせいで、顔が上げられない。
臨也の背中を軽く叩いて腕の力を緩めてもらうと、真っ暗だった瞳に光が当たって少し眩しい。

そして、すぐに見上げた臨也の顔は、情報屋なんて職業をしている男の顔には見えなかった。

「…ぷっ。なんて顔してるの」
「…笑わないでよ」

思わず噴き出して笑ってしまったことに不貞腐れる男。
それが子供みたいで、私はまた笑ってしまった。

すっかり膨れ面になってしまった目の前の夫を見て、愛しいと思う。
やはり自分は、この男でなければ駄目だと確認せざるをえなかった。

そしていつの間にか、固く噤んでいた口の結びは解けていて。
私は今までの心の中にあった臨也への不安の蟠りを話した。