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1月28日 23時30分

頭を冷やそうと風呂に入り、濡れた髪をそのままに、
再びソファーに腰掛けようとしたその時、
ガチャンッ!
乱暴にドアノブを回す音がした。
チャイムを鳴らさないということは、とりあえず良識のある人ではないだろう。
バタフライナイフを片手にドアに近づこうとすると、
ガタンッとドアがあり得ない方向に開いた。
右側が開くはずのドアが上方が開き、そのまま床に押し付け…いや踏みつけられた。
臨也は苦笑しながらバタフライナイフをしまうと、
壊れたドアの先にいる人物に話かける。

「だから、いちいちドアを壊して入ってくるの止めてよね、シズちゃん。」
「あ?鍵なんかかけてる手前がわりぃんだろ。」
「まったく。相変わらず横暴だねぇ。」
わざとらしくため息をつくと、さっきまで座っていたソファーの背もたれに寄りかかる。
静雄が殴りかかってくる様子はないが、すぐ動けるようにしておく。

「で?わざわざこんな日に新宿まで何の用?」
すると静雄はポケットから封筒を取り出し、臨也の前のガラステーブルの上に置いた。
「これ、手前だろ。」
テーブルに置かれたのは、白やピンクのとてもファンシーな封筒だった。

臨也はその封筒に見覚えがある。
池袋に最近できた店で、
他の店に比べるとちょっとお高いが、今1番人気のスウィーツ食べ放題のお店の封筒だ。
そして臨也はその封筒の中身も知っていた。そのお店の招待券が20枚程入っている。
「…なにこれ?今話題の食べ放題のお店でしょ?それは知ってるけど、この封筒は知らないよ。」
「嘘つけ。手前これをうちの社長に送っただろ。」
「…。」
確かに臨也は、その会社の社員が以前静雄の会社にお世話になっていたことを利用して、その封筒を静雄の社長宛に送った。
『いつぞやは大変お世話になりました。
なんとか会社を続けております。ささやかですが、お誕生日にでもお使い下さい。』
なんて内容の手紙も添えて、28日に届くように手配した。
臨也の思惑通り、それを受け取った社長は
「お前今日誕生日って言ってたよな。これやるよ。ヴェローナも連れてってやれな。」
と、以前から行きたがっていた静雄にそのままプレゼントした。
ここまでは臨也の計画通りに進んだ。
計画ではこの後、静雄は上司のトムや後輩のヴェローナと共に食べ放題に行っているはずだった。
それが今、静雄は目の前にいて、
しかも招待券をプレゼントしたのが臨也だと気づいている。
絶対に静雄にバレないよう手は回したハズだ。

「…誰の入れ知恵?」
「は?」
「それ。送ったのが俺だなんて誰に言われたの?」
「誰にも言われてねぇよ。」
「え?じゃあなんで…」
「においがした。」
「はぁ?」
「この封筒からお前のにおいがしたんだよ。」
「は?ちょっとまって。何言って…」
冗談を言ってる風でもなく、真剣な顔をして言う静雄に言葉を失う。
「はぁー。」
深いため息とともに、ズルズルとソファーに崩れ落ちる。
「…っく…はは…あはははは。」
「何笑ってやがる?」
「…いやー。においとは。さすがにそんな野生的だとは思ってなかった。ほんとシズちゃんて予想外なことばかりするよね!」
「で?なにを企んでやがる?」
「ん?んー…なにが?普通に誕生日プレゼントだよ!毎年あげてるじゃない!」
「…昨年は朝から知らねぇヤクザに絡まれて、
その前はよくわかんねぇチンピラに刺されて。
毎年毎年くだらねぇこと仕掛けやがって。決まって後ろでケラケラ笑ってやがって。」
「あぁ。あったね。でもやっぱその前の顔面ケーキが一番面白かったねぇ。あの顔!」
思い出してケラケラ笑い出す。
「なんで?」
「ん?」
「なんで今年は来なかった?」
「…。」
一瞬にして笑いは引っ込んだ。
「べつに。俺もそんな暇じゃないからさ。
 シズちゃんになんかかまってられないんだよね。
 …それに今年は皆にお祝いしてもらって引っ張りだこだったんでしょ?」
「なんでそれを…」
「なんで?愚問だね。俺の職業何だと思ってるの?情報屋だよ?」
確かに今年は新羅とセルティーからの誘いも、トムさんとヴェローナからの誘いも、
門田達からサイモンの店でという誘いもあり、今までで一番誘いが多かった。
「で?パーティーの主役がなんでこんな所にいるのさ。」
「手前が…手前が来ねぇからだろ…」
「は?」
静雄はキョトンとしている臨也の胸ぐらを掴む。
「うわっ」
「毎年毎年面見せてんのに、
 今年はこんなプレゼント送りつけてくるだけで姿見せねぇで!」
「は?なに言ってるの?」
「なんなんだよ手前は…」
胸ぐらを掴んだまま静雄は俯いて黙り込んでしまう。

「…もう。なんなんだよ、はこっちの台詞だよシズちゃん。
 せっかく今日は池袋行かないようにしたのに。
 俺の顔見てキレないで楽しい誕生日過ごしてるハズだったのに。
 なんでココにいるのさ。」
「…知るかよ。」
「…。」
「…。」

「…シズちゃん。」
静雄の名前を呼び、そのまま静雄の頭を胸に抱き寄せると
「ハッピーバースデイ」
「…おぅ。」

1月28日 23時59分