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エコロジスト≒ノスタルジスト

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音色が近づく。
馴染みのあるメロディに確信を得ると同時に苛立ちが込み上げ、歩調が荒々しくなる。
音楽室の前に辿り着くとノブに手をかけ、大きく息を吸い込んだのち勢いよく押し開く。

「オーストリア! 貴様、また授業をサボる気であるか?! 」

音の反響を促すように作られたその教室に、スイスの怒号が遠慮なく響き渡る。
ステンドグラスから差し込む彩られた光の下に、ひとりの生徒がいた。専用の椅子に腰を下ろし、新しいピアノを奏でている。

「おや、丁度良いところに・・・・・・この曲はこれからが非常に味わい深いのですよ」

スイスの剣幕に寸分の動揺も見せず、彼は鍵盤に滑らせる指を止める気配はない。
マリアツェル”が上機嫌そうに揺れ 尚も流れるような旋律が奏でられ続けた。

今月に入って何度目だと思っている、お前はお馬鹿か という叱責にオーストリアはやおら苦笑を漏らす。


「何度目だろうと、貴方はこうして迎えに来てくれるではないですか」


あの頃と、同じように と
その発言に不意をつかれたようにスイスが押し黙ると、音色が再び教室内を支配する。

「・・・・・・む、昔のことなどどうでもよい! それよりさっさと教室に戻るのである! 」

動揺を隠し切れないスイスは尚も声を荒立たせ、叫ぶように繰り返す。それを軽く受け流しながら
こうして自分を迎えに来る彼は、本当に変わらないとオーストリアは思う― それはそれは幼い頃と、驚くほどに変わりない。