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エコロジスト≒ノスタルジスト

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まだまだ自分たちが幼い子供だった頃。

町内の子供達を取り仕切るガキ大将を筆頭とする ちょっとした“いじめっこ集団”が存在していた時期があった。数限られた遊び場を占拠したりといった、横暴な振る舞いが目立っていた時のことだ。
彼らは隣町の同じような集まりと折り合いが良くなく、子供の起こす範囲ではあるが諍いが絶えなかった。
当時は気弱で要領の悪かったオーストリアはよくそのとばっちりに遭い、泣かされることも少なくなかったのだ。

幼馴染みであるスイスの日課は、その度に泣きじゃくる彼を回収して連れ帰ること。
また、方向感覚のいまいちなオーストリアの手を引きいわゆる『紛争地帯』を避けて共に行動するのも常であった。

当時のスイスは幼いながらも既に中立の精神に則っており、どちらの傘下に入ることもなく孤高を貫き
いがみ合っていた2つの集団も彼を敵に回すのはまずいと本能的に感じていたのか、2人でいる時は戦渦に巻き込まれることはなかった―



「昔のものはどうでもいい、ですか。それは残念です」

「・・・・・・何が言いたいのであるか? 」

いつもとは違う相手の様子に、スイスは眉をひそめる。
以前連れ戻しに来た時には演奏に夢中で気がつきませんでした などと呆れた言葉を述べていたのだが、今回は勝手が違うようだ。


「・・・・・・前にここに有ったピアノと今のピアノ。どちらが良いと思います? 」

やおら向けられた他愛のない質問。彼は訝しげに、頭上に疑問符を浮かべた。
自分に音楽的な話などしてもまったく有意義でないのはとうに承知であろうに、今更何を言うのか。
そういった旨を口に出そうとするも、オーストリアは続けて言葉を紡いだ。


「一切を廃棄して、忘れてしまうには・・・・・・いえ、
『忘れたことにして過ごす』のは惜しい ということです」