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こらぼでほすと 遠征1

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 戻って、悟浄が八戒に報告する。坊主に言ったところで反応はないからだ。

「動くぞ。」

「じゃあ、問題はないですね。三蔵、くれぐれも熱中症には気をつけてくださいね。」

「うぜぇーこと言ってんなら、おまえが来て見張ればいいだろう。」

「まあ、様子は見に来るつもりですけどね。三蔵のことだから、ロックオンをこき使おう

と思ってるでしょうから。」

「当たり前だ。寝るとこを提供すんだから、本堂の掃除くらいはさせるぞ。」

 いや、それでは済まないだろう。ロックオンの抜群の家事能力を活用する気満々に違い

ない、と、八戒は理解している。だが、それにも問題点はある。

「言い忘れてましたけど、ロックオンの手料理は、ほぼ100パーセント洋食というもの

です。」

「げ? なんでだよ? あいつ、おまえからレシピを受け取ったんだろ。」

 三蔵は、あまり洋食モノを好まない。主食は酒だが、ツマミは和モノが好みだ。

「差し上げたレシピは、だいたいが洋食モノだったんですよ。あの人は、見た目からして

、きっちり西洋人ですからね。和食のほうが、あまり食べつけていないんです。」

 生活圏が、英国領であるし、ほとんど、こちらには出向いたこともないというロックオ

ンは、『吉祥富貴』に来てから、東洋の料理なるものに触れたらしい。万国共通の中華は

食べたことはあっても、作ったこともなかった。この間、子猫たちも手伝える餃子や春巻

きのレシピを教えたら、珍しいと大喜びで作っていたほどだ。

「あの人に、全部押し付けると、あなたの好みではない料理が並びます。」

「たまには、いいんじゃねーの? 三蔵。悟空だって、いろいろと違うものを吸収するほ

うがいいんだしさ。」

 異文化交流と思えばいいじゃんか、と、気楽に悟浄は笑っている。『吉祥富貴』の料理

は、基本が中華だ。それは、どこの国の人間も一度は食べているメニューだから、それを

出している。爾燕は、それ以外も作ることはできるから、要望があれば、それも準備はす

る。それに慣れ親しんでいる三蔵は、誰でも料理する人間は中華を作れるんだろうと、誤

解しているのだ。

「八戒、おまえも来い。俺は、どうも洋食は口にあわねぇー。」

「冷奴だけ食べてれば、どうですか? 」

「・・・・それ、ロックオンに失礼だろ? おまえ、何気に、俺とロックオンを揉めさせ

ようとしてないか? 」

 腐れ鬼畜坊主といえど、自分の養子の友達の保護者と揉めるつもりはない。できれば、

仲良くしてもらいたいと思う。

「そうは言いませんが、条件は、一つです。ロックオンたちが泊まっている間は、クーラ

ーはつけっ放しにしてださい。」

「わかったよ。」

「ああ、本堂の掃除をするなら、氷柱でも置いてもらいましょうか? 」

「おまえが手配するなら、かまわねぇーよ。」

 ぶすっくれているが、三蔵も、それについては納得しているらしい。どうも暑さに弱い

らしいロックオンのことは、悟空から聞いていたからだ。

「なー、三蔵。本堂で、肝試しさせんならよ、なんか仕込むか? 」

 悟浄のほうは、そんなものは、するっと無視して、そんな話題に振り替える。どうせな

ら、楽しい夏休みなんてものを過ごさせてやりたいというのが半分と、驚くサルと子猫と

キラを楽しみたいというのが半分ずつだ。

「やりたいならやれよ。けど、うちのサルは、意外と勘が鋭いぞ? 」

「そら、ちゃんと考えるさ。せつニャンが、未知数だからな。あんまりえぐいことはしな

い方向だ。」

「コンニャクとかどうだ? 」

「それこそ、サルの暗視力で見破られるって。いや、そうか、それ陽動に使って、本命は

別でぶつけるとか? 」

 なんかよくわからないが、三蔵も悟浄も、それなりに楽しむつもりらしい。

・・・・とりあえず、この週末は大騒ぎになりそうですね・・・・・・

 健全に夏を楽しむということなら、手持ちの花火なんかもいいだろうな、と、八戒も結

構、乗り気になっていたりする。




 民間シャトルの発着は、宇宙港からということになる。そこまでの移動は、別荘からヘ

リで一足飛びだから、あっという間に到着する。そちらでは、レイとシンが待っていて、

チケットの手配なども完了していた。

「よろしく頼むな? シン、レイ。」

 マイスター組のリーダーとして、ロックオンは随行してくれるシンとレイに挨拶する。

いえいえ、と、ふたりは恐縮して、お辞儀を返す。

「俺らだって、難しいことはわかんないんで、暇つぶしとか移動の案内ぐらいだと思うか

ら。」

「それだけでも有難いさ。なあ? アレルヤ、ティエリア。」

「ええ、もちろん。・・・・ロックオンこそ、くれぐれも無茶しないでくださいね。」

「まだ言うか? 治療に行くのは、おまえさんのほうだよ。」

 ちょっと慎重に、アレルヤの肩をぽんぽんと叩いて、ロックオンは苦笑する。それを横

目にして、シンは思いついたことを口にした。

「そういやさ、『ロックオン三度目のダウンととかるちょ』っていうのを、今、やってる

んだけど、当人は、どう思う? 」

「はあ? 」

 『吉祥富貴』では、現在、マイスター組についての宣伝も兼ねて、ロックオンが日射病

で三度目のダウンをするのは、いつ? という賭け事をやっている。もちろん、金銭を賭

けているわけではなくて、見事に当てた人には、店にある商品を差し上げるという程度の

遊びだ。それについて、レイは説明して笑っている。

「あなた方マイスター組のことを、お客様に覚えて貰うための遊びです。・・・・この間

、王留美様がいらっしゃって、8月1日に賭けていかれました。」

「げっ、お嬢さんが?  いや、待てよ、レイ。あの人、未成年だったろ? 」

「うちは、未成年の方にアルコールは、お奨めしませんので、問題はありません。」

 まあ、確かに、そうだ。だいたい、レイとシンだって、まだ未成年なんだし、ナンバー

ワンのキラだって、ギリギリで未成年なのだから、客が未成年でも問題はない。よく考え

ればオーナーだって、未成年だったりする。

「もう倒れることはないと思うけどな。」

「いや、これからが夏本番だからさ。気をつけたほうがいいぜ、ロックオンさん。炎天下

は歩くべからず。」

 老婆心からのシンの言葉だが、ロックオンは、飽きるほどに聞いているので、笑ってス

ルーの方向だ。そんなくだらない話をしていると、シャトルのファイナルコールがアナウ

ンスされ始めた。

「そろそろだな? 気をつけてな。」

「ロックオンもね。刹那、ロックオンの面倒を、ちゃんと見てあげてね。」

「おいおい、いくらなんでも、それは逆だろ? おまえも、余計な気なんか使わないで、

ちゃんと痛い時は痛いっていえよ? 」

「はははは・・・・わかってるよ。じゃあ、いってきます。」

 子猫たちは、無口なので、お互いに、じろっと視線で挨拶している。あれで、意思疎通

できているのだから、かなり仲良くなってはいるんだろう。シンとレイが案内するように
作品名:こらぼでほすと 遠征1 作家名:篠義