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問わず語り

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「意識がはっきりしているわけではないのでしょうが、何度も自害を試みようとされました。無論、蘭丸どののことは皆で注意しているゆえいずれも大事はなかったのですが…やはりご自分に流れる血が許せないようですな」
「もう、光秀も討たれたのにか」
 捨之介が重いため息をついた。蘭丸の母親は明智氏の出で、光秀のいとこに当たるという。蘭丸の性格から言って自分に流れる血を呪うのは無理もないだろう。
(大殿も酷いことをする)
 捨之介は自分の手をつかんだままの蘭丸の手を握ってやりながら思った。こうなることくらい大殿にもわかっていただろうに。
『生きろ』と言った大殿の命令に蘭丸は逆らえない。が、それと同時に蘭丸の中には自分の命よりも大切なあの方を失って『死にたい』と願う蘭丸自身の想いがある。今、その相反する二つの想いに引き裂かれて、蘭丸は苦しんでいる。
 本当に蘭丸のことを想うのなら、あの時本能寺で大殿と一緒に死なせてやったほうが良かったのかもしれない。眠る蘭丸を見て、捨之介はきつく唇を噛んだ。
「せめて、蘭丸どのが回復されるまでここにいてもらえませんか。あなたさまにとって辛いことかもしれませんが」
「…こいつが良くなるまでですよ」
 ぼそりと捨之介が呟いた。自分の姿が大殿に似ている以上、そばにいれば蘭丸のためにならないのは目に見えているし、大殿の代わりにされるのは辛かった。
「ありがとうございます」
 竹庵が深々と頭を下げた。
作品名:問わず語り 作家名:よーこ