こらぼでほすと すとーかー1
「未成年に金銭が関わる業務は、なるべくさせたくありません。これは、決定なので、お
願いします。引越しのほうは、明後日に、こちらの荷物を運びます。」
きっぱりと、八戒に、命じられて、渋々、ロックオンも承諾した。今まで見たこともや
ったこともない分野の本を手にして、「俺、ちゃんとできるかなー」 と、ちょっと凹ん
でいたりする。
引越しと言っても、わが身ひとつの移動ということで、今まで使っていた部屋の整理な
んかをやるだけということになる。それだって、毎日、掃除をしているわけだから、大袈
裟でもないから、あっという間に終わった。ヘリで、いつものように送り出されて、オー
ナーの本宅へ到着する。そこには、案内役のキラとアスランが待っていて、車二台に分乗
してマンションまで運ばれた。その一台が貸与されるクルマであるという。
かなり大きなマンションで、エントランスのセキュリティーや、部屋のセキュリティー
なんかの説明をしてもらって、部屋に案内される。
「うちは、ふたつ上だから、いつでも遊びに来てね。」
キラは、ニパニパと笑って嬉しそうに、刹那の手を引いている。
「一応、使い勝手の説明だけします。あと、近所に大型のスーパーがありますから足りな
いものは、そこで調達してください。そっちも後で案内しましょうか? 」
実務面はアスランの担当で、部屋の間取りとか使い方なんかは、一通り説明して、一旦
、部屋からキラ共々引き上げた。
「4LDKって・・・・ここ、家賃いくらなんだろうな? 」
普通のマンションより設備もセキュリティーも充実していて、中に配置されている家具
なんかも、そんなに安いものではない。そういうことに目がいってしまうロックオンとし
ては、とても不安になる物件だ。
「別に社員寮なんだから、家賃取られるわけじゃないんでしょ? 気にしすぎだよ、ロッ
クオン。」
ロックオン以外のマイスターたちというのは、そういう世間一般のことは無頓着という
より無知なので、この部屋の値段なんて気にしないから、気楽なものだ。
「まあ、そうなんだけどさ。・・・・・とりあえず、自分たちの部屋の確認して足りない
ものを申請しろ。それが終わったら、メシ食いがてらに出かけようか。」
片付けなんてものも、これといってはないので、引越しといっても気楽なものだ。ただ
新しい部屋なので、いろいろと足りないものはある。
「えーっと、洗剤関係は全滅と・・・・それから、スポンジとかもない。皮むき器もない
な。・・・・うーん、タオルとかは、とりあえず足りるかな。」
メモを片手に共用スペースを、行ったり来たりしてロックオンが足りないものの確認を
する。きちんと黒子猫が、その横にはいるが、くっついているだけで、何もしていない。
「ロックオン、ちょっと休憩したら? お茶入れたよ。」
「おう、アレルヤ、そっちは足りないものはないのか? 」
「これといってはないかな。」
「まあ、思いついたら、言ってくれ。」
だいたいのチェックをして、ロックオンも居間のソファに座り込む。これらの買出しに
行かなくてはならないし、食材なんかも必要だ。アスランに大型スーパーの場所を聞けば
、四人ならどうにかなるかと、出された紅茶に口をつけた。アレルヤに呼び出されたティ
エリアのほうは、部屋にあるパソコンのスペックが低いから、別のパーツが必要だと言い
出した。
「それなら専門店か、ネットで取り寄せろ。」
「それから、湿布薬がない。」
「え? 肩こりか? ティエリア。」
なぜ、この人は、こういうとこだけ天然で、すっとぼけるかなーと、アレルヤが、ポン
とロックオンの背中を軽く叩く。いてっっと叫んで、その当人は飛び上がっている。
「あなたのでしょ? ロックオン。」
「・・・ったく、無自覚すぎるでしょう、ロックオン。」
よくやった、とでも言うようにティエリアが腕を組んで頷いている。階段から落ちたの
は、四日ほど前だ。毎日、刹那たちが湿布の張り替えをしているというのに、そんなこと
を忘れる。
「アレルヤ、叩くなっっ。」
「だって、忘れてたから。」
「まだ、痛いんだな? ロックオン。」
痛くないフリをしているロックオンに、刹那も不満気な顔を向ける。もう痛くないとか
治ったとか言っている嘘が、ムカつくらしい。
「いや、そんなに痛いってことはないんだ。・・・・・刹那、アスランとこへ行って、ス
ーパーの場所を聞いてきてくれ。」
「ついでに湿布薬をもらってこい、刹那。・・・・ロックオン、脱げっっ。」
「はあ? 」
刹那は、「わかった。」 と、飛び出していくのだが、本当に、わかったのか? と、
ロックオンは聞きたいところだ。バタンとドアが閉まってから、アレルヤが、くすくす笑
っている。
「あのね、ロックオン。以前もティエリアが心配するからって、無茶したよね? そうい
うの、あんまりよくないと思うよ。」
「ああいう気の遣われ方は、実に不愉快だ。あなたは、そういうところを直したほうがい
い。買出しは、我々だけで行くから、あなたは、少し休んでいてください。」
以前、同じことをやられているティエリアと、それを傍で見ていたアレルヤは、とっく
の昔に、打撲のことは気付いていた。相当痛いだろうに、無理して動いていたからだ。今
日だって、朝からバタバタと動きまくっているのだから、そろそろ疲れている。
「けど、今日ぐらい外食しようぜ? おふたりさん。・・・本当に、そんなに痛くないか
ら気にするな。あんま、おまえさんがたが心配すると刹那が気にする。」
「外食は許可しましょう、ロックオン。だが、痛いのに無理するのは感心しません。買い
物は明日でもいいでしょう。」
「まあ、そうだな。それで妥協しとくか。」
そんな会話をしていたら、アスランが、何やら大荷物でやってきた。とりあえず、足り
ないだろうと思うものは用意してくれていたらしい。
「ロックオン、湿布って、どこか痛めたんですか? 」
「いや、ちょっとした打撲だ。悪いな、アスラン。」
もちろん、湿布も持参してくれている。それをキラが受け取って、にんまり笑った。
「ロックオンさん。僕が貼ってあげる。」
「俺のストリップは有料だぞ、キラ。」
「え? いくら? ねーねーアスラン、財布持ってる? 」
大明神様に冗談なんて通じない。財布を捜し始めたので、ロックオンが、その手から湿
布を取り上げる。
「見たいか? 俺のストリップ? 」
「見たいっっ。ロックオンさんなら、エロそうだから参考になりそうだもん。」
「・・・・・アスラン・・・・・」
この大明神様の言動は、電波も通り越していて、さすがに、ロックオンでもひいた。い
ろいろと人生経験は積んでいるロックオンだが、さすがに、そこまでいかがわしい仕事は
していない。
「すいません。ポールダンスとかと勘違いしてるんだと思います。・・・・ああ、そうだ
作品名:こらぼでほすと すとーかー1 作家名:篠義