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B.PIRATES その2

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 …傷つくのを恐れるのならば、私はもっと前に、浮竹の目の前から姿を消している…。今こうして、浮竹の前に、…こんな姿で…居たりはせぬ…。」
 白哉は、浮竹の前に無防備に晒された自分の裸身をちらりと見て、改めて自分の身の置かれた状況を確認してしまったようだった。口を噤んで、少し恥ずかしそうに身を捩り、目を伏せた。
 そんな白哉に、浮竹は心臓の鼓動が早まるのを感じ、胸に熱いものがこみ上げてきた。
 白哉は、羞恥を振り払うように、すぐに浮竹を真っ直ぐに見つめ、凛とした、それでいて熱っぽい声で、浮竹に言った。
「…お前は、私の身体にも、触れていいんだ。浮竹…。」
「白哉…。」
「私の心にも、身体にも、触れていい。…私のすべてに、…触れて、欲しい。」
「………」
 浮竹は、次の瞬間、白哉を掻き抱いていた。耳元で、白哉の少し苦しそうな声が聞こえた。浮竹は、心底参ったような深いため息を吐いて、「すごい…」と、呟いた。
「…?」
「すごい、口説き文句だ…白哉。」
「…! 何を言ってる!いつ私が、お前を口説いた…!」
「口説かれたさ。俺が、白哉の言葉でその気になったから、そうなんだよ。」
 浮竹は、クスクス笑いながら、赤くなって怒る白哉に、深く口付けた。
 白哉の頬に添えられていた浮竹の両手が、ゆっくりと白哉の首筋を伝い、胸元へと降りていった。
 白哉が、ぴくりと身体を強張らせた。そして、反射的に浮竹の手を押し留め、抵抗しようと腕を浮かせた。
「……。」
 浮竹に口付けられたまま白哉は薄目を開け、少し何か思ってから、またふっと目を閉じて、抗うために浮かせたはずの両腕を、ゆっくりと浮竹の首に回した。
微かに震えていた白哉の身体は、口付けと愛撫が深くなるにつれ、だんだんと落ち着きを見せ始め、やがて白哉は、浮竹の口付けと愛撫に、素直な反応を示しはじめた。
「白哉…」
 必死に浮竹を感じようとしている白哉のけなげな姿に、浮竹は堪らない想いがこみ上げた。胸に、白哉に対する愛しさが溢れた。
「…白哉…。」

 浮竹は、掠れる声で、白哉にささやいた。

「…お前に、触れるよ…白哉…。」
「……ああ…。」



 …『触れ合う』とか、『身体を重ねる』とか…。それは簡単な行為だと思っていた。
 だが、違った。…違ったのだ。


 『愛し合う行為』。その意味が、

 …今、この夜に、はじめて解った気がした。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 『 僕はあなたをおもふたびに
   一ばんぢかに永遠を感じる
   僕があり あなたがある
   自分はこれに尽きてゐる
   僕のいのちと 貴方のいのちとが
   よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
   渾沌としたはじめにかへる  』

     ――――高村光太郎 「僕等」―――――


  
  この章は、性的描写を含みすぎる要素があるので、こちらでは掲載を控えさせていただきます。
  「B.PIRATES 浮白」(R18)にて掲載しますので、18歳以上の方はそちらをご覧ください。
       おだぎり


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *



『恋の奇しき発作をわれは知りぬ。
  恋しる人の耳にのみ、
  それが起こりしありさまを、
  ありのままにぞ告げまほし。  』

     ――――ワーズワース詩集―――――



「愛してるよ…。」
「……。」
 白哉は何も答えなかった。浮竹の腕に抱かれて、胸に顔を押し付けたまま、目を伏せて押し黙っていた。
「白哉…」
 反応が返ってこないことに寂しくなったのか、浮竹が白哉にキスを求めてきた。白哉は伏せた目を上げて浮竹を見つめ、浮竹の頬を両手で包み、優しくキスを受け入れた。
 優しく、深い口付けは白哉のほうから離された。名残惜しそうな顔をする浮竹の目元と頬に、白哉はそっとキスをして、
「もう、眠ろう。浮竹。」
と言った。
浮竹は、もう一度したいなどと無体な事を白哉に求めるつもりはなかったが、この甘いひと時が終わってしまうのが嫌だった。眉尻を下げて白哉に擦り寄って呟いた。
「もったいなくて、眠れない…。」
「駄々をこねるな。明け方までこうしているつもりか。寝坊助のくせに。」
 いつもの口調で浮竹をたしなめながらむこうを向いて寝てしまおうとする白哉に、浮竹は寂しそうな顔をして、甘えるように白哉に言った。
「じゃぁ、キスしてくれたら寝る。」
「……貴様は一体、どこの駄々っ子だ。」
「なんとでも言え。キスしてくれないと俺は寝ない。」
「………。」
 白哉は呆れたようにため息を吐いて、浮竹のほうを向き、首を傾けて、じっと浮竹を見つめてキスを待った。浮竹は困ったように苦笑いをして言った。
「……いや。それも嬉しいんだが、…白哉のほうから、してくれ。」
「贅沢を言うな。」
「や、だって。白哉のほうからしてくれたことは一度も無いじゃないか。一度くらい…。」
「何を言ってる。一度だけしてやったではないか。」
「え…? ……あ。あれか。…そうだな…してくれたな…。…いや。あれは勘定に入らないだろう?!ほとんど不意打ちだったし、それに…」
 その後に浮竹が続けて「あれは唇をそれて頬へのキスだったぞ。」と言ったのと、白哉が「寝ている者への口付けに不意打ち以外のものがあるのか。」と言ったのはほぼ同時だった。
「……。」
 二人は少しの間無言になり、互いが言った言葉を反芻していた。そして、初めに白哉がしまったという顔をして、次に浮竹が目を見開いて白哉に詰め寄った。
「俺が寝てる間にしたのか?!いつ?!最近?! けど俺は白哉の前で眠りこけてたことなんかないぞ?!」
 白哉は反論する言葉が見つからず、赤くなって「どうでもいいだろう!眠れ!」と怒鳴った。
「どうでもよくない。知りたい。なあ、いつ眠ってる俺にキスしてくれたんだ? 俺の寝込みを襲ったんだから、教えてくれてもいいじゃないか。」
 面白そうに言う浮竹に、白哉は表情に怒りの色を見せて言った。
「寝込みを襲ってなどおらぬ!!私はただ薬を……!」
 言ってから、また失言だったと白哉は気づき、ばっと口を押さえた。
「…薬?」
 浮竹は少し考え込んで色々思い出していたようだったが、「ああ。」と気づいたように呟いた。
「前に手当てしてくれた後、俺が寝てる間にベッド脇に薬を置いて行ってくれたのは白哉だったのか。…その時に…?」
「………。」
 白哉は浮竹の問いに答えず、そっぽを向いて、シーツをかぶって寝てしまった。浮竹は少し考えてから言った。
「……市丸の襲撃の後だろう?それは、結構、前のことだな。」
「………。」
「そういや、その頃から、俺に対するお前の態度はおかしかったな。」
「………。」
「白哉。」
 浮竹は、厳として何も答えずにシーツに包まっている白哉を、今にも笑い出しそうな笑顔をして愛おしそうに見つめた。そしてシーツの上から白哉に触れ、耳元に顔を近づけて囁くように言った。
「そんな前から、俺のことが好きだったのか?白哉。」
「……うるさい!!」
作品名:B.PIRATES その2 作家名:おだぎり