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こらぼでほすと すとーかー4

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 出て行け、と、追い出されて、ティエリア共々、台所へ移動する。とりあえず、食事の準備をするか、と、冷蔵庫を開けようとして、ティエリアに睨まれた。

「あまり無理はするな。」

「してない。」

「本当か? 」

「本当だよ。ちょっくら、腰が痛いけどな。昨日、キラを担いだのが堪えてるって程度。おまえ、何か食べたいものはあるか? 」

「なんでもいい。」

「おまえこそ大丈夫なのか? 仕事がイヤなら働かなくてもいいんだぞ? 」

「大丈夫だ。」

「無理して、また知恵熱だすなよ? 」

「うっうるさいっっ。」

 あはははは・・・・と、大笑いしている会話を耳にして、やっぱり、おかんと子猫じゃねぇーか、とか、三蔵は納得する。



 さて、こちら境内の草むしりをしているアレルヤと刹那は、ちまちまと一部の草を引っこ抜いていた。かなり広い境内なので、ふたりで、ちまちま抜いところで、さほどの効果はない。午後から全員で本格的にやればいいかな、と、アレルヤは考えていたのだが、すぐにティエリアが昼食だと呼びに出てきた。

「先に食事だ、刹那、アレルヤ。」

「そうだね。これ、どう考えても、すぐに終わらないよ。刹那、ごはんだ。」

「ああ。」

 と、二人が立ち上がったら、境内を取り囲む土塀の上に人影が現れた。

「探したぞ、少年。」

 もちろん、そういう非常識な行いをするのは、言わずとしれたストーカーだ。げっ、と、刹那は珍しく焦った顔をした。ちゃんと撒いてきたはずだし、ここは居場所が判明していないはずだったからだ。

「なぜ? という顔をしているね? 少年。それは、愛の力と言うものだ。彼らが、きみと知り合いだということは判明していたのだ。だから、タクシーで移動する彼らを追いかけてきた。生憎、途中で見失ったものの、どうにか、きみの許へ辿り着くことができた。・・・・今日は、なんとカントリーな姿なんだろう。素晴らしいよ、少年。」

 滔々と、アレルヤたちを追跡したことを語り、見つけたことを自慢するストーカーに、アレルヤもティエリアも刹那も、あんぐりと口を開ける。あんた、本当に暇なんだな? と、刹那が内心でツッコミをして肩を落とす。

「僕らがつけられたってこと? 」

「迂闊だったな。」

 顔を知られていないと思っていたが、よく考えたら、一緒にスーパーへ買い物に出たりはしているのだから、どこかで顔を見られている可能性もあったわけだ。

「さあ、少年。私と愛の逃避行に出かけよう。こんなところで、そのような重労働に従事するなど、きみには相応しくない。きみに私の、この溢れる愛を存分に注ぎ込みたい。」

 すとんと土塀から降りて、グラハムが手を差し伸べる。三人とも重労働? と、首を傾げたい心境だ。

「おまえに注がれるぐらいなら、ティエリアとするほうが、ちょっとマシだ。」

 で、反論が、これで、それは、要約されているので正確には、「おまえとエッチするぐらいなら、まだ、嫌々でもティエリアとするほうが、ちょっとマシ」 ということになる。付き合いが長くなっているティエリアやアレルヤには、その正確なほうが読み取れているので、二人して、刹那に目をやる。特に、ティエリアはメガネの弦を幾分か持ち上げて、刹那を睨んでいる。 

「・・・・刹那・・・・・・その件については、後でじっくり話し合おう。」

「心配するな、本気じゃない。」

「俺にも選択の自由というものがある。」

「俺だっておまえなんかイヤだ。アレよりマシだという例えだ。」

 もちろん、アレというのは、アレルヤでなくて、グラハムだ。というか、そこで比較するのをティエリアにするのが、そもそも間違いだと、アレルヤは思う。そうこうしていると、家のほうから怒鳴り声がした。

「てめぇーら、メシだって言うのが聞こえねぇーかっっ。」

 これが、ロックオンでなく三蔵だった。食事の支度をしているから、遅い三人を呼び戻しに出てきたらしい。

「なんと、ここには、堕天使ルシファーの化身までいるというのか。」

 言わなくてもいいことを、すらりと言いやがった、と、ハレルヤは舌打ちする。お寺のお坊さんを捉まえて、悪魔呼ばわりは非常に失礼だ。その大声は、三蔵まで届いたのか、一旦引き上げていって、今度は、ロックオン共々戻って来たのだが、その手には、高僧様お得意のマグナムが握られていて、それをロックオンが慌てて止めている様子だ。

「さっ殺人はまずいってっっ、三蔵さん。」

「心配すんな、ロックオン。死体ぐらい、どうにでもなる。後ろの無縁仏の墓に放り込めば済むことだ。」

「いや、そういう問題じゃなくてっっ。・・・・・ハレルヤ、そいつ、摘みだせっっ。刹那、ティエリア、援護しろっっ。」

 こめかみに怒りマークを浮き出させている三蔵は、本気だ。射撃が正確なのは、前回で判っているから、撃鉄を引き上げようとしているのを阻止しつつ、三人に変態を追い出せ、と、命じる。

「お呼びとあらば、やってやんよっっ。」

 アレルヤからハレルヤに代わろうとしたら、「僕もやる。」 と、アレルヤも参戦する気満々だった。この言葉の暴力は、温厚なアレルヤでもキレる代物らしい。ふたり同時となると、オールバックに髪を梳き上げて両目を出した体勢になる。

「刹那、ロックオンのフォローして・・・・・・女王様、さっさとバックしろや。怪我するぜ。」

 ふたりが交互に、ティエリアと刹那に声をかけて面前のグラハムへ対峙する。刹那が体力的に互角だと言っていたし、体格としても軍人らしい筋肉がついている。徹底的に全力で問題はないだろうと判断した。さて、飛び掛るか、と、間合いを詰めようとしたら、ドガンッッと大きな銃声がして、面前のグラハムの頬に赤い筋がついた。

 玄関に振り向くと、横に転がっているロックオンと、ニヤリと笑った三蔵がいる。臑に一発、蹴りを叩き込んでロックオンを転がして、その隙に撃ったらしい。さすが高僧様、喧嘩慣れしている。

「てめぇー人様の境内で誘拐しようっていうんなら、俺が相手だ。」

「これはこれは、物騒なものを所持している。このエリアは銃刀法が厳しいと聞いていたのだが? 」

「うちは寺だからな、治外法権なんだよ。なんなら、てめぇーのドテッ腹に風穴開けて証明してやろうか? 」

 どう見ても、極道の台詞だろ? と、ロックオン以下びっくりする。それも本気だし、相手は、頬に一発決められてるし・・・と、ちょっとたじろぐ光景だ。もちろん、ロックオンだって現役時代なら、あの程度は朝飯前のことだったが、それに匹敵する技術を現役高僧様が、お持ちなのが不思議だ。

「証明してみせたいならやってみるがいい。だが、その程度で、私の愛は揺るがない。少年、今、きみを抱き締めたいという気持ちは、銃弾の速度をも凌駕するだろう。」

 その程度では物怖じしないストーカーは、刹那に向けてダッシュしようとするが、それは超兵に止められた。通り過ぎようとする横っ腹に蹴りを叩き込み。昏倒させるぐらいは、わけも造作もない。

「これ、どこへ捨てるんだ? 坊主。」

「けったくそわりぃーから、そこの公園の便所へでも捨てて来い。」