二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

小話詰め合わせその1(英米)

INDEX|3ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

2.食事(英米未満/イギリス視点)

 
ゆっくりと引き戻されるように意識が浮上する。
朝、きちんと起きるまでのまどろみのひと時は忙しない日常においての
唯一の清涼剤ともいえる。
特に昨日はアメリカが遊びに来ていたからな。
あのメタボ野郎、夜中まで騒ぎやがって・・・・・・
何が「寂しいキミも参加させてあげるよ」だ。
ただテメエがホラーゲームが怖いだけじゃねえか。
しかも怖いから一緒に寝てくれだと。
さすがに昨日は疲れていたから別々に寝たけど、あいつ寝れたのかな。
いや、それは俺が気にすることじゃないな。
寝れなかったらとしたら自業自得だ。
アメリカのばーか。

・・・はーさすがに今日はいつもより遅く起きるか。
別に休みだし、アメリカが起きてくるのは昼ごろだろうし、それまで起きて
メシを作れば・・・・・・
と考えて、俺はごろりと姿勢を変える。
やけに今日は眩しいんだよな。目を閉じていても太陽の光が差し込んでくるのがわかる。
うちじゃ珍しいくらいの天気の良さだ。まるで昼間みたいな・・・・・・

「―――――ッ!というか昼じゃねえか!!」

自分でも目覚めたばかりとは思えないような大声を出して俺は身を起した。
カーテンの隙間だけから漏れている光は眩いほどで、時間を確かめるまでもなく
寝坊したことを実感した。
いくら疲れているとはいえ、これはありえないだろうと項垂れる。
久しぶりの休みで庭弄りや部屋の片づけとかやらなきゃいけねえことは
たくさんあるのに。
こんなに明るかったらやりたいことが終わらないかもしれない。
あーそれよりメシ作らないといけないな。
こんだけ明るければアメリカも起きてくるかもしれないし。
起きているという可能性も無くはないが、起きていたらメシと騒ぐだろうから
まだ起きてないんだろう。
ったく、しょうがねえな。
ま、あいつの為じゃない。メシを作るのは俺の為だ。アメリカの分は
あくまでもおまけだ。
うん、と頷いてひとまず着替えることにする。
今日はめったにない完全なオフ日だが、あいつのようにだらしない恰好を
することはない。
そもそも俺のワードローブにくたびれたトレーナーなど入っていない。
だいたい服装の乱れは心の乱れというのにあいつときたらくたびれたトレーナーや
色褪せたパーカーばっかり着やがって。
そりゃあ少し欲目が入るかもしれないがそういう服装のアメリカは可愛い。
だが、仮にも英国紳士の俺が育てたというのに・・・・・・いやいやまて。
あのメタボが可愛いとかそれはないだろう俺。
これは余程疲れているのかもしれないな。
ベルトを締めてため息をつく。
顔を洗えば少しはすっきりするのだろうか。
だが、それくらいでこの気持ちが晴れないことを俺はすでに知っている。
―――――俺の手から離れて久しいあいつにそういう感情を抱くことはやめた。
あいつだってもう二百年以上生きている。
だから、あいつを子供扱いするのはあまり良いことではないとわかっている。
わかっているんだけどな・・・俺の中ではやっぱりいつまでたっても
子供なんだ。あいつは。
だからやめたのに俺は時々あいつを弟扱いしてしまう。
俺の中であいつはもう弟の枠に収まらない存在なのに。
「・・・・・・さすがにメシを作り始めないとアメリカが起きてくるか」
緩く首を振って部屋を出る。
適当に顔を洗い、身だしなみを整えてからキッチンへ向かおうとすると
ベーコンを焼いた香ばしい匂いが漂っていることに気付いた。
どうやらアメリカはもう起きていて、非常に珍しいことに自分でメシを
作っているらしい。
普段は俺に「キミのまっずいご飯でもお腹の足しにはなるからね」とか
失礼なことを言って作らせる癖に。
なんとなく面白くない気分だったが、俺もお腹が減っているから
キッチンに向かうしかなかった。
いくらアメリカが大食いといえども冷蔵庫の中に少しは残っているだろ。
・・・・・・残っているよな?
少しばかり急ぎ気味にリビングに飛び込んだ俺は目を見張った。
リビングには香ばしいベーコンの香りだけでなく、焼きたてのパンの香りも漂っている。
ダイニングテーブルに視線を向けてさらに息を呑んだ。
ほかほかの湯気が立ったスープときゅうりの入ったサラダ。
かりかりに焼き上げたベーコンにちょっと焦げたオムレツ。
バスケットに盛ってあるパンはあいつのお気に入りの店のものだ。
ピッチャーに並々と入れられたオレンジジュースはあいつが直接オレンジを
絞ったのだろうか。
以前、アメリカの家に泊まった時もジューサーなど使わず自分で絞っていたもんなあ。
「天然のオレンジジュースだから美味しいんだぞ」とか言って。
それにしてもすごい量だ。
メニューも豊富だけど何より量が凄まじい。
一人で食べるには豪勢なメシに思いがけず圧倒されて立ち尽くす。
というか、あいつ、料理できたのかよ。