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小話詰め合わせその1(英米)

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「やっと起きたのかい?おっさんにしては遅いじゃないか」
「おっさんって言うな!」

キッチンから出てきたアメリカは俺の顔を見るなり、生意気な言葉を投げつけてきた。
くそ、お前がアメリカじゃなかったらぼこぼこにしてやるのに。
あのクソ髭野郎だったら血祭りしてその血で乾杯して笑ってやる。
歯をぎりぎりと噛みしめてアメリカを睨むがKYなあいつは全く気にしないで
両手に抱えていたうちの中でも一番デカいボールをテーブルの真ん中に置いた。
中身はおそらくヨーグルトだろう。色が白いことが奇跡に思える。
いや、ヨーグルトが白いのは普通のことなのだが、これも前にアメリカの家に
泊まった時、朝出されたヨーグルトが真っ赤だったからだ。
奴曰く「白いのなんてつまんないからストロベリーソースをかけたんだ」なんて
ほざいていたが、あれはかけたなんてレベルではなかった。
むしろストロベリーソースにヨーグルトをかけたといってもいいレベルだったと思う。

「何で変な顔しているんだい?」

俺が過去の記憶を振り返っているうちにアメリカはメシの準備を終わらせたらしい。
いつも俺の家に来た時に座っている定位置から呆れた顔で俺を見ていた。
うるせえと返して顔を背ける。
そのとき、ぐうと腹が鳴って俺は腹が減っていることを思い出した。
今にも食べ始めそうなアメリカを後目に俺は今から食事の準備だ。
少しは食材が残っていることを祈りながらキッチンに向かおうとすると
むう、と不機嫌そうに頬を膨らませたアメリカが「ねえキミ」と声を上げた。

「どこに行くんだい?」
「どこって・・・メシの準備だよ。俺だって腹が減っているんだから
 お前の食べているところを見ていてもしょうがないだろ」
「ほんっとにキミは馬鹿だよね。ちゃんとテーブルを見なよ」
「ああ?」

小馬鹿にしたアメリカの台詞にこめかみを引き攣らせながらも
俺はテーブルに盛られた料理を眺める。
量は馬鹿みたいに多いが、色は普通だし、匂いは旨そうだ。
まーこいつにしてはうまくできたんじゃないか。
ああ、褒めてほしいのか。仕方ねえなあ。
仕方なしに口を開こうとした俺はアメリカが一心不乱に睨みつけているものを見て
開きかけた口を閉じた。
メシを食おうとしているアメリカの前にフォークやスプーン、取り皿やグラスが
あるのは当然だ。
だが、アメリカの向かい側。
いつも俺が座っている席にも同じものがセットされている。
それはまるで俺にもこの料理を食べていいと言っているかのようだった。
いや、そんなわけはないだろ。
思いついた考えを首を振ることで散らす。
今までアメリカがそんな殊勝なことをしてきたことなんて一度もない。
「ああもう!」
焦れたような声を上げたアメリカが席を立って俺に歩み寄る。
そしていきなり俺の腕を掴み思い切り引っ張り、椅子に無理やり座らせようとした。
「ってえ!何するんだよ!!」
あやうくケツを強打するところだった俺は癇癪を起したガキみたいなアメリカを
睨みつける。
だが、人様の腕をいきなり引っ張ったアメリカは反省するどころか
不満げに睨み返してきた。
睨みつけても動揺しないのはこいつが図太いせいだろうな。
とりあえず俺は大人で紳士なのでため息をつきつつもおとなしく席に
座ってやることにした。
どうせ座るまでアメリカは満足しないんだろうから仕方なくだ。
俺が椅子に座るさまを唇を引き結んだ妙な表情のまま見つめていたアメリカも
向かいの椅子にどっかりと座りこんだ。
「・・・・・・」
座り込んでテーブルの中央辺りを睨んだままアメリカは口を引き結んでいる。
普段は黙れって言っても黙らない癖にこういうときだけは黙るから困る。
せっかくの料理が冷めていくだろうし、何より俺は腹が減った。
あと3分ほど何も話さなかったらこちらから話しかけよう。
そう決意した瞬間、唇を貝のように閉ざしていたアメリカが唇を開いた。

「・・・お腹が空いているんだろう。仕方ないからキミも食べていいよ」
「マジか?」
「別に食べたくないんだったらいいよ。俺が食べるから」
「食べないとは言ってないだろ」

驚きのあまりに聞き返した俺にアメリカは眉を寄せて冷たく言い放った。
そして言葉通りにバスケットのパンへ手を伸ばす。
慌ててフォークを手にした俺をあいつはやけに熱心な表情で見つめている。
気付かれないと思って見ているのだろうが、俺の観察力を舐めんな。
それにしても何でこんなに熱心に見詰めているのやら。
もしかして普段、俺の作ったものをまずいまずいって言っているから
自分の作ったものもまずいって言われることを気にしてんのか?
まあ、俺はあいつみたいに先入観で物を言ったりはしないけどな。
味への評価なんてもんは口にしてみないとわからないもんだ。
それをあいつらは見るだけでまずいだの食への冒涜だの。
口にしてから文句を言えってんだ。ばーかばーか。
ひとしきり俺の作った料理に文句をつける奴を罵ってから
改めて取り分けたまだ湯気の立っているオムレツに視線を落とす。
少し焦げてはいるが、こんなの誤差の範囲だ。
問題はあくまで味だ。見た目じゃねえ。
ごくりと唾を飲み込んでからオムレツを口に運ぶ。