チョコレート
ホットチョコレート
「ライル、どうぞ」
穏やかに微笑むアレルヤに渡されたのはホットチョコレート。
「・・・どした?これ」
「昔、教えてもらったんだ。この日はお世話になってる人にチョコを贈るって」
はて・・・そんな日なんてあったろうか?
「まぁ・・・あんがと」
甘いのは得意じゃないが好意には素直に、だ。
「・・・あ、そうか。今日はバレンタインデーだっけか」
「はい。大切な人に感謝する日です」
「・・・知ってるか?アジアのほうじゃバレンタインデーは好きな奴にチョコを贈るんだってよ」
「え・・・っ」
カァッと頬を赤くさせて目をそらすアレルヤに笑みがこぼれてしまう。
「・・・来月の今日、アンタにお返しするよ。この好意のお返しを」
パチンとウインクひとつ。
それで笑い話で片付けようとしたのに、
「・・・・・・あと一月も待たなきゃいけないんですか・・・?」
ああ、そりゃ反則だろ。
そんな目で見つめられたら笑い話で済まなくなる。
――もう我慢できなくなる