lost heven 01
「無理にでも・・・ね。」
「ん・・・、」
あんたとの初めてのディープキス、うまいなぁ大佐は。
「ん・・・はぁ。」
「長かったか?」
「んことなぇよ。」
「そうか」
う・・・今顔赤いな。まぁ裏からは居ればだれにも会うこと無かろう。おっあそこ開いてんじゃん!
「おじゃましまーす」
「おにぃちゃん・・・誰?」
そのベッドに座っていたのは紛れなく、エンヴィーの家で見た夢の中に居た子だった。
「あ、思い出した一人ぼっちのおにぃちゃんだったね。」
「お前は、なんなんだ?」
「うちはねぇ、アンクだよ。」
「ア・・・ンク?お前がアンクなのか?」
「えへへ、そうだよ。エド」
「何・・・でオレの名前を!」
「エンヴィーに聞いたんだ!あいつらちょっといたぶったらすぐ教えたよ?ねぇエドは生体錬成に興味があるんだよね。」
「だからなんだよ!」
「うちは、成功したんだよ?しかも、賢者の石なんて使わずにね。」
「ほんとうか?どうやったんだ!」
「教えて欲しいの?でもな~」
「あんだよ?なんか見返りでも求めんのか?」
「うん!いいかな?じゃあねぇ法則に基づいて君が欲しぃな~うちね、お父様に頼んでたんだ!エドが欲しいってそうしたら良いって言ってたよ?」
「オレの意見は?」
「え?そんなものないけど?」
・・・何こいつ。オレに何の感情を持ってるんだ?
「でね~、うちの魂を連れ戻せたのはエドがやったのなんだけど~肉体はね、別の物質を構築したんだよ?うん、人間を!でもさ年を取らなくなっちゃってさ~ずっと子供のまんまなんだよね~。しかも、うちを錬成したこ死んじゃったしさ~あはは、だから今は一人ぼっちなの。でもね、エドを始めてみたとき決めてんだ。この子はうちのものにしようってね、妬むんだったらホーに言ってよ?君を連れてきたのはホーだし。」
「え・・・あ」
「あ、今全部はなしっちゃった!なら、等価交換だよエド。君が欲しい」
「・・・嫌っ!大佐!たい…ロイー!」
「鋼の?!」
遠くで鋼のの叫び声が聞こえた。しかし、場所を特定出来そうにない。それにしても何にも無いのか?この屋敷には。それよりも鋼のの居場所はどこだ?
「あれは・・・錬成陣?」
そこには、何時ぞやの鋼のがかいた錬成陣だ。それは
「人体錬成のものだ。なぜここに?」
そしてまた、鋼のの普通の少年より少し高い声が響く。恋人の危機に間に合えない男なんて失格だ。
『ロイ・マスタング?』
「だれだ、貴様は?なぜ私の名を知っている?」
『忘れたのか?私だよ焔の錬金術師』
「あなたは・・・アンクさん?(しかし・・・人形の姿。)」
『あったり~と言いたいところだけど・・・、わたしはアンクでありアンクでないつまり失敗作ってことだ。』
「・・・?どういうことだ?」
『んもう!国家錬金術師なんだから分かれよ~。アンクは自分を錬成するためにまず人形に魂を移す実験をさせたんだ。それで、失敗したのが私。』
「では、成功したのか?」
『ん~、なんとかね。でも、被害を出し過ぎた。この町で亡くなった女の子のほとんどがアンクの実験体!だけどさ~、おかしくなっちゃったのアンクは。』
「おかしくなった・・・?どういうことだ。」
『そのまんまだよ。昔、ホーが連れてきた子供が欲しくて欲しくてたまらないんだって!金髪の子だよ、アンク曰く‘うちだけの人形’だって』
「人形・・・?」
『アンクは魂の錬金術師。アンクにかかればどんな強靭な魂さえ好き勝手にできるんだ。人形ってのは魂の無い奴隷の事、アンクの意のままってこと。』
「金髪…、ホーとはホーエンハイムの事か?」
『うん!ホーとアンクは仲良かったんだよ』
「つまり、金髪の子とは・・・鋼の!?」
『はがねの~?そんなゴツイ名前じゃなかったけどな~。』
「それで、アンクさん。もし人形にされたらどうなるんですか?」
『えっと、アンクがとかない限り永遠に続くよ。まぁ最後は飽きてポイっ!だけど』
アンク(仮)さんの話によると鋼のが他の者の手に堕ちてしまうということが分かった。これは早く鋼のと合流しなければ!!
「嫌・・だっ!だれが手前の人形なんかに・・・」
「あれ?反論なんか認めないって言ったじゃん」
「魂の錬成なんか・・・不可能だっ!それに失敗したら俺は―」
「平気だよ?君は殺さない。だって、うちの玩具になるんだもん!」
「じゃぁ・・・証拠でも見せてみろよ!魂の錬成をこの目の前で!等価となる物の無いこの場所で」
「いいよ。でも死んでる人もいないからな~・・・あっ!あいつ等がいんじゃんかよ。おいエンヴィー」
「なんかよんだ?アンク・・・って!おちびさん?!」
「エン…ヴィー。」
「ふふ。顔見知りが目の前で殺されたら君はどんな顔するのかな?」
「や・・・やめろぉぉぉ!エンヴィーは殺すな!!」
「おちびさん・・・」
「そっかじゃあ、君を錬成させてもらうね」
「・・・え。アンク!ちょっとまて!どういうこと?この子には手を出さないって自分で・・・!」
「黙れ・・・。ホムンクルス!今からこの子はうちのものになるんだよ!」
「ふざけんな・・・!だれが・・・んっ・・・。」
オレの話を聞かずキスをしてきたアンクは遠ざかる意識でこうつぶやいた。
「おにいちゃんはひとりだよ?この先も永遠にうちが犯し続ける地獄の中でね・・・。」
そしてその一言でオレの目から涙が零れた。
蒼紅人形
「しかし、先ほどから鋼のの悲鳴がやんだな・・・。」
『人形にされっちゃったりして』
「何を物騒なことをっ!」
『あ・・・今人形にしたっぽい。』
「わかるのか?!」
『私の意識はアンクに繋がっているからな!』
「なら、本体の居場所もわかるはずだろ?」
『そうだけど、アンクは今来て欲しくないんじゃないかな?だから居場所については教えてくれなかった。』
「くっ・・・」
『それにしても今、金髪の子大変なことになってるけど見る?』
なに・・・?
「そんなことが可能なのか?」
『私は魂だけのイレモノ。喋らなければただの人形に過ぎないけど、少しの魂なら人に見せることができる。』
「鋼のの様子を見せろ!!」
『なら私の一部を引き千切って目を閉じろ。』
その時見た鋼のは今まで見たことも無いほど精神不安定になっていた。目からは涙がただ流れていて、身体はまるで殺人鬼と出くわしたときのように震え、目は絶望に満ち光などはっしていなかった。
(鋼の・・・!)
しかし、わたしの声は届かない。そのとき、ひとりの少女が鋼ののもとに近付いた。
「や・・・やぁ!やめろっ!!」
「嫌だって言ったらどうする」
「触るな・・・あっ、ん」
それから厭らしい水音が部屋の中で響く。そのとき意識が引き戻された―
「鋼の・・・。」
『はぁはぁ・・・ったく、疲れるのはこっちなんだよ。焔の錬金術師。』
「それよりあなたの身体を戻してから今すぐ鋼ののもとに」
『それは無理かなぁ?』
「なぜだ・・・?!」
『今見せたのは精神世界での彼、つまり現実ではない。いまの彼の中には魂が無い。からっぽなの。だからあの子には何を言っても無駄なんだよ。』
「な・・・んだと?それじゃあ鋼のは?」
『うん、もういないに等しいから。諦めたら?』
「だめだ・・・。彼は私の大切な人だから」
作品名:lost heven 01 作家名:空音