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前世を言っても聞かないよ

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そっかー、招待しちゃったんだー、こんな嘘くさい危険人物ー。
「ああ、彼氏が機嫌悪くしてるよ、ごめんね、放っておいて。」
にっこりと、けれど悪意がしっかり含められてるんだろう笑顔でそんなことを言われて、思わず俺様もチカちゃんも叫ぶ。
「「彼氏じゃないしっ!!」」
背後でこそこそと、彼氏じゃないんだーと噂する生徒らしき声が聞こえて、俺様は背筋を粟立たせる。
此処に来てから薄々気付いていたが、チカちゃんはこの学校で結構な人気者らしい。
「あれ?じゃあ、さっき海に落ちてた子が彼女?ダメだよ、ライバルだからって意地悪は。」
一層と深くなった笑顔で更に爆弾発言を落とされ、俺様たちはまた、声を合わせて叫ぶ。
「「彼女じゃないしっ!!」」
よく出来たコントのようだが、正真正銘の本気で本音で、俺様たちの関係は友人である。
が、竹中さんにもそれはわかっていたのだろう。
珍しいほど、腹を押えながら声を上げて笑った竹中半兵衛は、
「ごめんごめん、冗談が過ぎたみたいだね。あんまり君たちが微笑ましいから、からかったんだけど。」
「冗談でも止してくれないかな?俺様たちは、ふつーに友情です、ゆーじょー。」
「あれ、そうなのか?少なくとも伊達に関しちゃ、お前の親は公認だって伊達から聞いたけど。」
「やめて止して!!伊達ちゃんが面白がって、俺様たちが三角関係みたいな話をウチの親に吹き込んでるのよっ!!」
「ああ、中学のときにあった噂、そのまま吹き込んだのか。」
「ちょっと違うけど、粗筋はそんな感じっ。俺様、チカちゃんと伊達ちゃんを両天秤にかけてる悪い男みたいな認識を親にされてて今、居心地悪いんだからっ!」
佐助君は好きな人がいるみたいなんですよ、なーんて楚々とした口調で吹き込んだら一発だったぜと、得意げに伊達ちゃんに話されて、俺様が脱力したのも記憶に新しい。
何せ此処に来るまでの車中の話だ。
「平和だねえ。」
と、少し皮肉に、そして羨ましそうに、竹中半兵衛が呟いた。
「そりゃそうでしょ、このご時世で。」
暗に含めた意味を、竹中さんは読み取っただろう。
そして、だからか一層、淋しげに呟いた。
「子供らしいっていうのは、この時代じゃいいことなんだろうね。」
「自分のところが違うみたいですけど?」
「・・・そりゃあね。うちの子たちはまだ10歳だけど、今からもう剣呑というか子供らしくないというか。三成くんなんて昔からそうだったけど、こういう時代だからこそ違う一面を見せてくれても面白かったのに。」
詰まらなそうに言う竹中さんは、すぐにその表情を掻き消した。
「でも、さっきの彼女も性格は変わらないみたいだから、三成くんが変わらないのも仕方ないかもしれないね。」
俺様は含まれた言葉の意味に、少し血の気が引いた。
彼女、が伊達ちゃんを指しているのとは違う意味。
「え。まさか・・・」
「うん、今、女なんだよ、あの子。」
肯定されて、俺様は軽く自失した。
だって想像の限界を超える。
あの口調、あの性格、あの苛烈さ。
それで女・・・石田三成女王様じゃん、それ。
呆然とした俺様に、その顔が見たかった、と言わんばかりの笑顔を竹中半兵衛は向ける。
「さて、僕もそろそろ行かないと。猿飛くんは・・・僕とメールをやり取りする気は無さそうだね。」
チカちゃんとはメールのやり取りがあるらしい。
「何か用があるなら、チカちゃんを経由してくださいよ。正直俺様、今は今と思って生きてるんで。」
「ふぅん?じゃあ、幸村くんとも関係無い人生なんだ ?」
「旦那はっ!・・・今は関係ないよ、昔のこととは。」
吐き出すように呟けば、竹中さんは呆れたような表情をした。
「結局一緒なんじゃないか。まあ、武田信玄は目立ってるし、見つけるのも簡単か。」
「本当に偶然、一緒になっただけですってば。」
「うん、そうだろうね。縁、って言うのかな。秀吉とも、三成くんたちともそうだったよ。」
ふわりと竹中半兵衛は柔らかく笑った。それは、幸せそうだった。
「幸村くんは、今、何歳なんだい?」
「21とかだったと。」
「なんだ、あと数年じゃないか。」
ああ、やっぱり軍師の頭の冴えは健在らしい。
電波受信の環境要因について知識がある。
俺様は、仮説が正しいことをこの人に教えられた。
「それじゃあ、今日は楽しかったよ。直接会えるのはまた来年、ロボコンの会場でかな。」
またメールででも話そう、とチカちゃんに挨拶して、竹中半兵衛は立ち去った。
後には微妙な沈黙が漂う、俺様とチカちゃんの二人。
「・・・知り合い、だったのか?」
零れたのは当然の疑問だ。
「・・・そう、なのかも。」
「はあ?」
「や、知り合いって言ったら、嘘とも本当とも言えない関係の人?」
「なんだよそれ!!」
ボソボソと煮え切らない態度で呟く俺様に、チカちゃんが珍しくキレた。
「んあー。チカちゃんが大学卒業するくらいの歳になったら分かるよ。」
「ココ卒業したら、短大卒の扱いなんだけど?準学士の学歴で大学なんて行かないで就職するんですけどっ?!」
「あー、ごめん、今は説明できないー。俺様もどう説明したらいいのかわかんないんだって。」
「じゃあ何だよ、大学卒業したらって!!」
「ほんと説明できないんだって!それよりほら、伊達ちゃん迎えに行かないと!!」
実際、結構な時間を費やしてしまっている。
チカちゃんもそれに気付いたのだろう。
追求を堪えて、口を引き結んで歩き出した。
「~っ!!絶対説明しろよ、いつか。」
「努力しますー。」
そんな妥協を見せる様子に、ちょっと申し訳ない気持ちが湧く。
だけど、本当、いつかはチカちゃんだってわかることだ。
と、ふとそこで気付いた。
・・・俺様、チカちゃんが電波な記憶を受信すること前提で話してる・・・?
声にならない唸りが喉元で鳴る。
前世なんて今生には関係ない。
それは、本当だ。本気だ。
大体、ここまできて受信しない人がいるって方が考えられない。
でも。
ひょっとして。

・・・俺様、期待してる?

たとえば、チカちゃんが。
たとえば、真田の旦那が。

電波な過去生を思い出して、俺様とそんな話をすることを?

ぺち!と両手で俺様は頬を叩いて軽く喝を入れる。
なんだそれ、関係ないとか言ってるのに、後ろ向きな!
ぐるぐると悩む俺様を、ちらりとチカちゃんが見て怪訝な顔をする。
「お前もいろいろあるんだなあ。」
ちっちゃい呟きは、誰と比べてのことかは判らなかった。
ただ、聞く間もなく、
「Too late!」
人ごみを割るような大喝が耳に刺さる。
放送席がある白いテントの下、真っ青な空色したマーメイドラインのワンピースを着た伊達ちゃんが、濡れ髪もそのままで怒りを露わに立っていた。
多分、ヨット部の人がくれたのだろう、安っぽいビーチサンダルが不似合いでおかしい。
「お、やっぱピッタリ!やー、伊達ってばバッチリ着こなしてんじゃん。」
「当たり前だ!それよりチカ、てめえ靴なんとかしとけ!ここまで手の込んだ仕込みしといて詰めが甘いんだよっ!!」
「うわー、伊達ちゃん、怒るところそこなんだー?」
「どっちも、だ!こんなビラビラした動きにくい服、気色悪くってたまんねえ。それでもやるからには完璧にしろってんだ。」