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いつか愛になる日まで

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『お前とはたけ上忍を同列にできるかよ。やっと一人捕まえて鼻の下のばしてたお前と比べちゃ失礼だろ。んなもん、もっとスゲーよ。あっちこっちで喰いまくりだって話だぜ』
『美人はほとんどお手つきだってホントかなぁ』
『ホントだったとしても、俺驚かない』
『俺も。でもさぁ同期のミツバも喰われちまったって噂どうなんだ? あのガリ勉だぜ?』
『マジかよ・・・って、はたけ上忍、気が向いたら誰でもいいのか?』
『来るもの拒ばねぇって言ってもなぁ。俺でも拒みそうな勢いだぜ、ミツバだろ、ミツバ』
『だよな? 努力してもミツバの顔が美人に見える日は来ねぇー、ありえねぇー』
『努力する気もおこらねぇよ。でもさー、あいつ何気に巨乳』
『だよな。そこは評価してもいい』
『お前ら、巨乳巨乳ってそんなに巨乳がいいのか?』
イルカの冷静な言葉に同僚たちは揃ってブンブンと縦に首を振った。
『あー、きっとはたけ上忍は日替わりで美人の巨乳に顔を埋めてるんだろうな』
同僚の顔には羨ましいとでっかく書いてある。
『顔は関係ないだろ。暗くしたら顔なんか見えねぇもん。やっぱでかさ重視なんじゃねぇ? 上忍って言ってもそこは男なんだしさ』
『そーそー』
『テクとかすげぇんだろうなぁ』
『そりゃ何人相手にしてきたか知らねぇけどすげぇだろ。あれやこれやで』
逞しい妄想にふける同僚に呆れ果てる。その力をもっと違うところに働かせろよなぁ。
聖人ぶるつもりはないし、性欲は人並みにある。柔らかい肌と戯れるのは好きだ。気持ちいいと思う。けれどもそれは体をズクズクさせる情熱ではなく、穏やかなほんのりとした情愛の気持ちだ。
女性は可愛い。顔や胸は関係ない。そりゃ最初は顔がいいほうに目がいくし、胸が大きいほうが女性っぽく見えるんだと思う。でも男の勝手な言い分が女性を戸惑わせ、大きさを気にさせるのは気の毒だとも思う。好きになったらそういうことは関係なくなると本当はわかっているけれど、こうだったらいいなぁという淡い理想は厳しい現実とは別物だ。
無音で激しく会話している同僚たちを見ながらクスリと胸の内でイルカが笑ったそのとき。
「そろそろ起きてもいいでしょーか」
「うわっ」
「わわっ」
「いてっ」
「ひっ」
上忍ののん気な声に中忍4人はそれぞれが慌てふためく。椅子から転げ落ちる者までいて失笑ものだが、それどころではない。気づいていたのか、この人。いつから。
「そんなに驚かなくても」
軽く腕を回して、一つ大きなあくびをしたカカシは4人を面白そうに見ていた。
「あー、よく寝た。さて。ひとつ質問に答えるとですねぇ、ここで寝させてもらったのはアスマがいないから。あのタバコはどうにかならんかね」
・・・って最初っから気づいてたってことか。カカシがどうしてここにいるのか議論していたのは一番最初だ。蒼白になる中忍4人は自分たちの発言を思い返し、コキコキと首を鳴らす上忍に背を向けて自己弁護を始める。
「俺! 俺、なーんも言ってねぇぜ」
こそこそとだが断言する同僚は確かに頷いていただけだ。
「ばっか、それが一番マズイだろ。俺は心にもないことを言ったけど否定しなかったのはお前だぜ」
「何が心にもないことだ! 喰いまくりって言ったのはお前だ」
「だから、それが心にもない・・・」
「いや、お前はヤルのに顔は関係ないんだろうとも言ってた」
見苦しく、しかし必死で罪をお互いに擦り付け合う同僚たちを苦笑とともにイルカは見つめていた。すべてバレてるんだから、今さらどうこう言っても無駄だろ。さて、あのエロ上忍はなんて言ってくるんだろう。
「今、エロ上忍とか思ったでしょ」
真後ろから囁かれてビクリと体が震えた。
「うわっ、なんですか」
驚いて振り向くと、いつの間にか1歩下がったところに糸のように細めた意地の悪そうな目つきで上忍は立っていた。
「エロ上忍って思ったでしょ」
「思ってません、そんなこと」
思ってても言いません、そんなこと。内心ヒヤリとしながらも『まさか』とちょっと大げさに目を瞠らせた。
「ホントかなぁ」
「本当です」
しっかり目を見ながら答えてやった。嘘をつくときは自信を持ってつかなくては。疑うことは良くないことです、上忍。
「ふぅん」
上忍はわざとらしく、イルカを上から下まで眺めて、おもむろに口布を取るとにっこり笑った。口調まで改まる。
「これで顔の半分以上は見えてると思いますが、私はあなたから見ていい男ですか」
「は・・・」
「いい男で・しょ・お・か」
ぽかんと見上げたイルカにもう一度上忍はにっこり笑って同じことを口にするから、さっきのは空耳じゃなかったのかとぼんやり思った。やっぱり全部聞かれていたかと自分たちのうっかりさも苦々しい。
それにしても上忍ってまともな人間はなれないんだろうか。それともこの男だけがまともじゃないんだろうか。なんでこんなこと聞くんだろう。普通聞くか、こんなこと。
俺たちの会話が全部聞こえてたって、気分悪いってはっきり言えばいいのに陰険だな。
「はぁ、いい男です」
これは嘘じゃないから口にできた。口布がないだけで、胡散臭い印象からなんでこんなに男前になるんだか不思議だ。くノ一たちが騒ぐのもあながち嘘じゃないと鋭い観察力に脱帽する。女ってすごい。
「それは良かった。ところで。今、お暇ですか」
「は?」
間抜けな返事をしながらイルカは訝しげに眉間にしわを寄せたのだが、そんなことは全く気にもしていないだろう上忍はマイペースを崩さない。考えてみれば普段から上忍のペースを崩す者がいるはずもないし、崩されるとも思ってないのだろう。わかっているけど、なんか腹が立つ。
見たこともない虫がいて気持ち悪いと呼び出されて始末をし、生徒同士のケンカの仲裁が終わったと思ったら、あろうことか貧血で倒れた女子生徒を医務室に運び、うっかり悪ガキのいたずらに廊下で滑れば手放しで生徒たちに笑われ、やっとのことで職員室に辿り着いたら机の上は書類が山積みだ。そんなアカデミーの教師の苦労なんか一生わかるはずもないんだろう。わかっているけど、なんか腹が立つ。
「あ、お暇そうではないですねぇ」
はいはいお暇じゃないですよー、と内心毒づくイルカに当然気づくこともなく、採点途中の答案用紙に目をとめて上忍は言い方をかえた。口布を引き上げながら、ついでに場所が受付だということも思い出したらしいが、相変わらず言いたいことは良くわからない。
「うーん、今夜はお暇ですか?」
「今夜?」
「はい、今夜」
 いつまでたっても噛み合わない会話に『うーん、頭大丈夫ですか』と聞き返したいのを我慢して適当な言葉をイルカは捜したが、結局無難な疑問を口にする。
「・・・何の話ですか?」
「あんまり早い時間はちょっとダメなんですけど。人使いの荒い五代目に呼ばれてまして」
「はぁ」
「1週間で片付けて来いって無理難題を押し付けられた任務からやっとのことで戻ってきたと思ったら、すぐに報告に来いってうるさいんですよ。生きてるのが不思議な任務だったっていうのにヒステリーかって、ねぇ?」
「はぁ」
「明日でいいと思いませんか?」
「思いません」
作品名:いつか愛になる日まで 作家名:かける