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GUNSLINGER BOYⅩⅡ

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張り巡らされた立ち入り禁止テープと群がる野次馬。
追い付かない頭と行き交う噂から浮かび上がるイメージ。
強盗、撲殺、血に濡れた鉄パイプ、悲鳴、悲鳴、激痛、運び出される死体・・・・
見知った顔に凶器が振り下ろされる光景が脳裏に浮かんだ時、一気に胃液がこみあげその場で吐いてしまった。

嘘だ、嘘だ嘘だ。
こんなの嘘だ。

ほんとに、ほんの数時間前、あいつは笑ってたじゃないか。
なんで、どうして・・・っ

そのあとのことは、よく覚えていない。
思い出したくないだけなのかもしれないが。


その後数日で行われた葬式も悪い夢でも見ているようでまるで現実感が無かった。遺体は損傷が激しくて見せられなかったらしい。
無機質な棺の上、黒い枠の中であいつが笑っていた。数か月前に一緒に撮った写真からあいつの顔だけを切り取ったものだった。
俺はあいつの顔を見せて欲しいと頼み込んだ。
今は依頼すればどんな損傷した遺体でも社会福祉公社という機関の技術で綺麗に治して葬式をしてくれるらしい。でも別に俺は綺麗になんてなっていなくてもかまわなかった。
死に顔を見でもしないとあいつが死んだと現実に受け止められそうになかったから、別れを口にすることすら出来なそうだったから。
しかし、かたくなに断られてしまった。
その後にもしかして本当はあの棺の中にあいつはいないんじゃないかなんて現実逃避な妄想をするような精神状態だったが、涙は一滴も出なくて、余計に苦しかった。

作品名:GUNSLINGER BOYⅩⅡ 作家名:net