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こらぼでほすと 留守番5

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「冬休みに帰ることになるぜ。どうせ中途半端で、ほっぽってくるだろうからな。」
 一応、そう相槌は打っているが、入試直前だから、どうだろう? なんて、悟浄は考えている。
「そんな短い休みに行かなくても、三学期は自主登校でしょう? それから、帰ればいいんですよ、悟空。」
「おおっ、そうだった。じゃあ、いいか。」
 すでに、チキンライスは食べ終わって、煎餅をバリバリと食べている。悟空も、独りになるのが嫌いだ。過去に、ずっと独りだったことがあるから、それを思い出してしまうからだ。その頃のことは、八戒は知らない。出会った時は、すでに、三蔵の養子になっていた。三蔵は自由気侭な腐れ坊主だが、悟空のことだけは、ちゃんと、その将来を考えている。それだけの繋がりが、ふたりの間にあるのだろう。自分たちが繋がっているように。
「夕食、作っておきましょうか? 」
「いいよ。なんなら、俺がやるし、八戒たちも出勤だろ? 」
「シフトを変えているので、まだ時間はあるんですよ。」
「なら、家に帰っていちゃいちゃしたら? ここんとこ、忙しかったんだろ? 」
 スパーとタバコを吸っていた悟浄が、その言葉に、生意気なことほざくなっっ、サル、と、ヘッドロックをかましている。
「事実じゃねぇーかっっ、エロガッパ。」
「まだ言うかっっ、さっき、八戒を補充したから、いいんだよ。」
「うちでやるなよ。ロックオンさんが、退くだろうがっっ。」
「そこまでやってねぇー。軽く触りだけだ。だぁーれが、おいしいとこなんか見せるかよっっ。」
 明け透けな会話に、八戒が苦笑する。付き合いが長いので、とってもオープンだ。びょーん、と、悟空のほっぺを伸ばして、悟浄が、大笑いしている。すかさず、悟空も、手を伸ばして、悟浄の頬を伸ばす。仲の良い兄弟喧嘩のノリだから、八戒も止めない。とりあえず、お米は洗っておこうかな、と、立ち上がったら、ちょうど、ロックオンが起きてきた。そして、じゃれている二人を目にして笑っている。
「すいませんねぇ、ロックオン。うちのは、悟空といると、いつも、ああなんですよ。」
「いや、楽しそうでいいですよ。」
「今夜のメニューは、予定あります? 」
「ええ、肉じゃがっていうのを作ってみようかと思ってたんですが、ちょっと教えてもらえませんか? 」
「わかりました。じゃ、一緒にやりましょう。」
 どったんばったんと暴れているが、それもスルーだ。こういうのは、マイスター組にもあるから、止めるつもりはない。こういう場合、そのうち、年上のほうがギブアップしてやるのが、基本だ。
「サッサルっっ、ちょ、おまっっ、それは・・ぐえっっ。」
「足腰弱ってんじゃないのか? エロガッパ。」
「てめぇー俺が、それほど柔かよ。そんなことになってたら、八戒が欲求不満になるじゃねぇかっっ。」
 そして、ヒートアップしていると、とてつもない会話にもなるが、八戒は笑って誤魔化している。
「・・・八戒さん・・・」
「気にしないでください。いつものことですから。」
 これ以上になったら、気功波を見舞ってやろうと思っていたが、そこまでいかなくて、悟浄が、四の字固めでギブをした。
「なあ、悟空、ティエリアとアレルヤも来たんだけど、布団あるか? 」
 終わったところで、ロックオンが声をかけた。今夜から、マイスター組勢揃いなので、布団とシーツの準備がある。保管場所がわからないから、悟空に尋ねた。
「ああ、あるよ。俺、出してくる。」
「悪りぃーな。俺、午後一から寝てたんで、なんも準備できなかったんだ。」
「いいって、俺もやることあるほうがいいもん。」
 しかし、ふと、考えると、悟空が宿題とか課題とか机に向かっている姿というのは、とんと見かけない。勉強もさせておいたほうがいいのかな? と、八戒に尋ねる。
「勉強ねぇーやるようならさせておいてください。僕も見たことはないですけどね。」
 普段から日常を知っている八戒ですら、その姿は拝んだことはない。それでも、そこそこの成績ではあるらしいから、別にいいんじゃないんですか、と、付け足しつつ、じゃがいもの皮を剥いている。
「ママニャン、サルはじっとしてると死ぬんだよ。おまえと一緒だから、無理。」
「俺は、じっとしてますよ。」
 なんせ、毎日、昼寝してるぐらいなんだから、と、ロックオンは苦笑する。こちらは、たまねぎを大きく切っている。それが終わったら、ニンジンだ。
 ママふたりの手にかかると、あっという間に材料は準備されてしまう。それらを八戒が説明しつつ、料理する。煮込む料理だから、それが終わったら、他のおかずも作り出す。全部が完成する頃に、キラたちが戻ってきて、賑やかな夕食になった。



 翌日、客間に四人分の布団で、寝ていたが、黒子猫が、親猫の布団へ、寝ながら移動した。寒くて、親猫で暖を取ろうとしたらしい。さらに、ティエリアがアレルヤの布団に侵入する。こちらも、同様の理由だ。
ぐりぐりと頭を押し付けてくる刹那に、ロックオンも目が覚めた。確かに、今日は冷え込みがきつい。先に、部屋を暖めてやろうとして、黒子猫の体温が妙に高いような気がした。
・・・え?・・・・
 なんとなく嫌な予感がして、刹那の額に手をやったら、熱かった。寒さで風邪でもひいたらしい。
 とにかく、部屋を暖めようと、ストーブをつけた。さて、どうしようか、と、考えていたら、アレルヤが声をかけてきた。
「ロックオン、ティエリアが、なんだか熱いんだ。」
「え? ティエリアもか? 」
「・・うん・・寒いって、僕のところへ入ってきたんだけど、僕より体温が高いんだよ。これって、風邪なの? 」
 昨日、三人はキラたちと外出した。ブラブラと街を散策してきたと言っていたから、どこかで風邪の菌を拾ってきたのかもしれない。
「おまえさんは? 」
「僕は、なんともないよ。」
 そろそろ起きて、朝の支度をしなければならない。とりあえず、悟空を送り出してから、医者に連絡するか、と、起き上がる。
「アレルヤ、おまえ、こいつらのこと看ててやってくれ。俺は、とりあえず、朝の支度をしてくる。医者に連絡しておくから。・・・水分摂らせたほうがいいんだが・・・」
「じゃあ、ポカリを持ってくる。」
「うん、頼む。」
 着替えて、とりあえず、朝の準備をする。それから、医者に連絡すると、往診しましょう、と、ふたつ返事で受けてくれた。
「一応、申し上げておきましょうか? ロックオンくん。」
 医者が言いたいことはわかっているので、「わかってますから、それは、今のところスルーしといてください。」 と、返した。刹那たちが風邪なら、確実にロックオンにも移る。だから、本来はロックオンは看病できない。けど、子猫たちは離れたがらないだろうから、ロックオンが看病するほかはない。医者も前回の子猫の状態を知っているから、カラカラと笑った。



 シンが午後の授業が休講になったから、と、トダカのところへ顔を出した。シフトを変えているので、午後から一緒に出勤しているからだ。
「それなら、ちょっと寺へ顔を出しておこうか? シン。」
「うん、そうだな、とうさん。じゃあ、レイも寺で合流でいいな。」
作品名:こらぼでほすと 留守番5 作家名:篠義