最高の親友(ライバル)
テリー「Go(ゴー)!!!!!!!!!!!!!!Baaaaaaaaaang(バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン)!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
残る全ての闘気の全てを収束させた、その右拳を叩きつける。
――――――――まさに、この大地を砕かんとするほどの力強さで――――――――
その全てを振り絞った闘気の柱が、天空を貫く。
これまでよりも遥かに巨大で。
これまでよりも遥かに強大な破壊力で。
その最高の攻撃が、天に浮く『無敵の龍』の肉体に襲い掛かる。
リョウ「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
『無敵の龍』の肉体が、その強大な闘気の柱に飲み込まれ――――
大きく吹き飛ばされる。
そして、長い滞空時間の末――――
まるで、天にその罪を許されたかのように大地に落とされる。
――――――――この戦いをずっと見ていた、実の妹、ユリのそばに――――――――
ユリ「お兄ちゃん!!!!!!!」
天から落とされ、ピクリとも動かずに横たわる兄のもとへ急ぐユリ。
ユリ「お兄ちゃん!!!!!!!お兄ちゃん!!!!!!!」
必死な妹の呼びかけにも、その肉体は微動だにせず。
完全に意識を失っている。
が――――――
ユリ「…よかった…息はある…」
その生体活動まで失うことはなかった。
その事実に、ひとまず安堵するユリ。
ユリ「!…テリーさんは!?…」
そして、兄である『無敵の龍』と壮絶な戦いを繰り広げた『伝説の狼』。
テリーの方へと視線を向ける。
テリー「…………」
テリーは、自身の最高の一撃を放った状態のまま、微動だにしない。
トレードマークの帽子は弾けたのか、遠くに飛ばされ。
腰まで伸びた長い髪はそれを留めている紐が弾け飛び、霧散しており。
しかし、そのまま身動き一つすら取らない。
ユリ「テ、テリーさん!!??」
その場からユリがテリーに呼びかける。
その瞬間――――
グラッ…
ユリ「!!!!」
まるで糸の切れた人形のように、前のめりに崩れ落ちる。
そして、その大地にひれ伏すかのように、うつぶせに横たわる。
ユリ「テリーさん!!!!」
この戦いの唯一の観戦者が、テリーの元へと走る。
ユリ「テリーさん!!!!!!!テリーさん!!!!!!!」
ユリの懸命の呼びかけにも全く反応がない。
完全に意識は失われている様子。
だが――――
ユリ「…よかった…テリーさんも、息があるよ…」
その生体活動までは失われることなかった。
ユリ「すごかった…すごかったよ…二人とも…なんだろう…分かんないけど…涙が溢れて…」
互いに認め合う最高の強敵が繰り広げた死闘。
そこに言葉や小手先の技など、無粋なものはなく…。
ただ己の力で。
ただ己の魂で。
ただ己の全てを以てぶつかり合う。
武骨で不器用で…まるで猪のぶつかり合いのような単純明快な戦い。
しかし、その力、その想い、その魂を真っ向からぶつけ合い、互いを理解しあう…。
あまりにも純粋で…。
あまりにも真摯で…。
あまりにも真っ直ぐな二人の最高の戦いに…。
ユリは心を、魂を震わされ、涙を流さずにはいられなかった。
作品名:最高の親友(ライバル) 作家名:ただのものかき