最高の親友(ライバル)
リョウ「おおおおおお!!!!!!!」
傷だらけでボロボロの体を奮い立たせ、自らの奥義をその身に受けても立ち上がってきた狼に龍が襲い掛かる。
今、最高の敬意と感謝を持ってこの男を倒す。
今、この最高の壁を乗り越える。
その溢れ出さんほどの想いと闘志が、この龍を突き動かす。
が――――――
テリー「ああああああああああ!!!!!!」
決定的とも言えるほどのダメージに耐え、なおも立ち上がってきた狼。
その狼の咆哮が、この場に響く。
その屈強な右の拳に、恐ろしいほどに強大な闘気が収束していく。
リョウ「!!(いかん!!)」
リョウが本能で身近に迫る危機を察知した瞬間――――
テリーのその拳が、大地を砕かんが勢いで真下に打ち付けられる。
瞬間―――――
テリー「Go Bang(ゴーバン)!!!!!!!!!!!!!!」
――――――――大地が、震え―――――――
――――――――天空を貫く巨大な闘気の柱が、眼前に迫ってきた龍を飲み込んだ――――――――
リョウ「ぐうううううううううう!!!!!!!!!!!!……」
すんでのところで防御が間に合い、直撃を避けることはできたものの…。
すでに甚大なダメージを背負っている肉体が悲鳴をあげている。
こらえている足が徐々に抵抗を失う。
リョウ「ぐ…う…うおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
全身全霊を防御に集中させていた肉体そのものが、ついにその闘気の柱の破壊力に耐え切れなくなった。
懸命に防御していたリョウの体が宙に浮き、そして――――――
リョウ「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大地より吹き出される地球の怒りに飲み込まれるかのごとく。
天空より吹き荒れる天の怒りに飲み込まれるかのごとく。
『無敵の龍』のその肉体は、重力に大きく逆らって吹き飛ばされてしまった。
テリー「ハア…ハア…」
拳を地面に叩きつけ、そこから収束させた闘気を大爆発させて吹き上がらせるテリーの奥義とも言える技。
パワーゲイザー。
その名が示す通り、強大な力によって創り上げられた間欠泉。
その破壊力は、まさに大地の怒りと呼ぶに相応しいほど。
テリー「ハア…ハア…ハア…」
疲労困憊で傷だらけ。
もういつ倒れてもおかしくないほどに消耗した肉体をその闘志で支え。
大きく吹き飛ばされて地に叩きつけられた龍に視線を向ける。
リョウ「ぐ…(な…なんて威力だ…直撃を避けてなお…これほどの破壊力…パワーゲイザー…すげえ技だ…)」
筆舌に尽くしがたいほどの激しい戦いに、すでに満身創痍だった状態の肉体。
そこに、あの恐ろしい破壊力を受け、もはや立ち上がることもできない。
そう思われてもおかしくないほどのダメージ。
だが――――――
リョウ「ぐ…ぐぐ…ぐうううううっ…(まだ…まだだ!!テリーは俺の奥義をまともに食らってもなお立ち上がってきた!!今度は俺が立つ番だ!!)」
直撃を回避できたとはいえ、大きなダメージだったことに変わりは無い。
しかし、それでもリョウはその肉体を揺り動かす。
まだ俺は、この壁を乗り越えていない。
まだ俺の闘志は、かけらたりとも萎えてなどいない。
すでに精神が肉体を凌駕している。
その極限にまで練り上げられた精神が、肉体を立ち上がらせる。
リョウ「ハア…ハア…ハア…」
決定的と言えるダメージから、なおも立ち上がってきたリョウ。
だが、すでにその肉体は崩壊寸前。
震えの収まらない足は、重力に抵抗して己の肉体を支えることで精一杯。
テリー「ハア…ハア…ハア…」
対するテリーも、満身創痍の状態でパワーゲイザーまで放ったことで全身は崩壊寸前。
弱肉強食のルールの中練り上げられた精神が、肉体を支えている。
テリー・リョウ「「(次が…次が…最後の一撃になる…)」」
もはや互いに放てるのは一撃のみ。
両者ともに、自覚している。
ならば、それに全てをこめよう。
それに、全てを賭けよう。
――――――――その最高の技で、この最高の戦い(かたらい)に終止符(ピリオド)を打とう――――――――
――――――――その最高の力で、この最高の壁(つよさ)を乗り越えよう――――――――
『伝説の狼』と『無敵の龍』の壮絶な戦いも、いよいよ最高潮を迎える。
リョウ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」
正中に構え、臍下丹田を中心に己の闘気を収束させていく。
周囲の大気が揺れる。
大地が震える。
それほどの強大な闘気が、リョウの全身に収束していく。
テリー「ぬうううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!」
対するテリーも、その全身に闘気を収束させていく。
大気が、大地がその無尽蔵に高まり続ける闘気に呼応するかのように震える。
その強大な闘気が、止まることなくテリーの全身に収束していく。
リョウ「いくぞ!!!!!!!『伝説の狼』!!!!!!!!」
先に技に入ったのは『無敵の龍』、リョウ・サカザキ。
その全身を包み込むかのように自身の前方で両の腕を交差させ、さらに闘気を収束させる。
テリー「いくぜ!!!!!!!『無敵の龍』!!!!!!!!」
すでに技に入ったリョウより半瞬遅れて、テリーが動く。
テリー「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
攻撃に長け、攻め抜くことしか知らない『伝説の狼』、テリー・ボガード。
その伝説にたがうことなく、真っ向からこの最高の強敵に突っ込んでいく。
リョウ「覇王!!!!!!」
収束させた闘気が一気に解放される。
射程は己に向かって突っ込んでくる『伝説の狼』。
リョウ「翔吼拳!!!!!!!!!!!!!」
収束された闘気が、強大な大砲となって撃ち出される。
覇王翔吼拳。
龍虎乱舞と双璧をなす、極限流の奥義。
その奥義が、解き放たれた。
猛然と突っ込んでくるテリーの眼前に、強大な闘気の砲が襲い掛かる。
しかし、テリーもすでに己の最高の一撃を放つ姿勢に入っていた。
テリー「Live(ライブ)……」
闘気の収束する右拳が、その大地に叩きつけられる。
その瞬間、天空を貫く巨大な闘気の柱が発生する。
その柱が、覇王翔吼拳を――――――
『無敵の龍』が放った最高の一撃を飲み込んでいく。
リョウ「な!!!!!!!なにい!!!!!!!!?????」
そして、狼の最高の一撃は、ここでは終わらない。
テリー「……We Are(ワイアー)!!!!!!!!!!!!!!!」
闘気を収束させた、逆の左拳が続けて大地に撃ち込まれる。
そこから、天を貫く巨大な闘気の柱が続けて吹き上がる。
そして、それが――――――
リョウ「う…うおおおおおおおあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
最高の一撃を放った姿勢のままの『無敵の龍』を飲み込む。
龍の肉体が、天空に高く打ち上げられる。
そして――――――
作品名:最高の親友(ライバル) 作家名:ただのものかき