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ただのものかき
ただのものかき
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最高の親友(ライバル)

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目の前の最高の強敵の闘志は、かけらもしぼんではいない。
その傷だらけの屈強な体が、その闘志に呼応して反応する。

リョウ「ハア…ハア…(龍虎乱舞をまともに食らって…なお…なお立ち上がってくるか…心の底から尊敬できる男だ…アンタは…)」
テリー「ぐ…ハア…ハア…(こ…これが極限流…いや…『無敵の龍』、リョウ・サカザキか…心の底から…素晴らしいと思える男だ…)」

すでに両者の肉体は限界を超えている。
足取りもおぼつかず、立っていることすらやっとの状態だろう。
しかし、その顔には喜びを表す笑みが浮かび、その溢れ出して止まらないほどの闘志には全く衰えが見えない。
それどころか、より高まっていく。
自らが最高と認める相手。
その相手と、その力を最高にまで解放し、これほどにまで戦える。
この二人にとってはこれ以上の幸福はないのかも知れない。



ユリ「ど…どうして?…どうして…そこまで戦えるの?…」

極限流の空手家としての道を歩み始めてから、幾多の試練に遭遇した。
でも、それを乗り越えてきた。


――――――――そのつもりだった――――――――


潜り抜けてきた修羅場の数も決して兄に劣らないつもりだった。
でも、今見ているものは、そんな自分の遥か上を行く…。
自分が潜り抜けてきた修羅場など、全くもって可愛らしいものだと思ってしまうほどの戦い。


――――――――しかも、それほどの戦いを笑みを浮かべ、心の底から歓喜を溢れさせながら挑んでいる――――――――


自らの肉体、いや、命すらも賭け。
己の持つ全てを燃やし。
ただ、目の前の壁を越える。
それだけのために一歩も引くことなく前に進み続ける。
そんな男達の姿は、傷だらけですでにボロボロの状態。
ただ武骨に前に出て不器用な力と力のぶつかり合い。
だが、ユリにはそんな彼らが、彼らの戦いが――――


――――――――あまりにも美しく、神々しかった――――――――


ユリ「(私じゃ…少なくとも今の私じゃ、この二人には遠く及ばない…私のお兄ちゃんは、こんなにも…こんなにも凄い人だったんだ…)」

本当ならばもう止めたい。
これ以上は間違いなく生死に関わってくる。
でも、あまりに武骨で不器用で――――
あまりにも美しく神々しくて――――
あまりにも天井知らずに成長し続けていくこの二人の純粋で真摯な戦いを。
そんな戦いを止めるという無粋な選択肢は、もうユリの中には存在しなくなっていた。