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ただのものかき
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マリーの想い、テリーの本質

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――――――――かつて、彼がその大切な人を、二度も目の前で喪ったことを――――――――


その事実を示すかのように、彼は「もういない」と言った。
それは、自身がこれからあれほど人を愛することはないということ。
そんなテリーの過去を知らなくても、マリーは気づいてしまった。
彼は、もう人を愛することも、人に愛されることもできないのだと。
許せない。
彼女はそう思った。


――――――――私は、こんなにもあなたに心奪われ、恋焦がれているのに――――――――
――――――――私は、もうあなたなしでは生きていけないのに――――――――
――――――――私は、あなたにとっての大切な存在になりたいのに――――――――
――――――――私は、あなたを永遠に愛していきたいのに――――――――


その想いを全て打ち砕かんとする彼の答え。
伝えてもいないのに拒絶されるなんて。
許せない。
許せない。
彼への愛情があまりにも膨れ上がりすぎたがゆえに…。
その怒りはあまりにも大きい。

テリー「ん…ちょうどいいな。ここらでちょっと休憩すっか」

強い日差しを優しく遮断してくれるような大きな木のそば。
この日はすでに8時間以上も歩き続けている。

テリー「ほら、マリーもここいらで休憩としようぜ」
マリー「え、ええ」

彼への想いが脳裏を交錯し、渦めく最中に声をかけられ、少し間の抜けた対応に。
それでも努めて平静を装い、木の根元に座り込んだテリーの隣へと座る。

マリー「…ねえ、テリー」
テリー「ん?なんだ?」
マリー「さっきの話、本心なの?」
テリー「ん?何がだ?」
マリー「ほら、さっき言ってたじゃない。『自分にとっての大切な人は、もういない』みたいなこと」
テリー「ああ、それか。…まあ、本心っつったら本心かな」
マリー「どうして?」
テリー「どうしてって言われてもなあ……珍しいな、マリーがこんなに問い詰めてくるなんて」
マリー「いいから、答えて」
テリー「…マリー?…」

おかしい。
さすがの朴念仁も、この異様な雰囲気を感じ取ったらしい。
普段の彼女なら、人の心に潜り込もうとするようなことはしない。
俺たちはそんなニュートラルな間柄のはず。
しかし、今の目の前の彼女は違う。
これは一体なんなんだろう。

テリー「お、おい。マリー。お前ちょっとおかしいぞ。何をそんなにムキになってるんだ?」
マリー「おかしい?…私が?」
テリー「いつものお前なら、こんなことでこんなに食いついてこないじゃないか。何か俺、悪いことでも言ったか?」
マリー「…そういえばそうね、普段の私なら…」
テリー「だろ?ちょっと長く歩いてたから疲れてんだろ」
マリー「でも、おかしくなんかないわよ…」
テリー「え…」

テリーが言葉を口から吐き出そうとしたその瞬間だった。
隣に座っていたマリーがテリーの前方に覆いかぶさり、首に腕を巻きつけると…。
まるで全てを食らい尽くすかのような力強さで、彼の唇を奪った。

テリー「(え?………なんだ、これ?…………俺、一体…何されてんだ?……)」

考えるヒマもないほどの一瞬の出来事だった。
あまりに急すぎて思考が全く追いつかない。
あるのは、自らの唇が、何かに塞がれているという実感だけ。

マリー「ん…(ああ…夢みたい…私…テリーとキスしてる……)」

奪ったマリーの方は恍惚の表情で貪るようにテリーの唇を味わっている。
抑圧された愛情が解放され始めた彼女の行動。
二人以外誰もいない広大な景色の中、聳え立つ木の根元。
彼女は、唇だけでは我慢できず、とうとう彼の舌に自らの舌を絡め、味わい始める。

テリー「ん!!んうっ!!(な…なんだこれ!?マ、マリー!!やめろ!!やめるんだ!!)」
マリー「んん…んうっ…(テリー…テリー…テリーの唇…舌…美味しい…気持ちいい…)」

自らの舌を蹂躙するかのような彼女の舌の動き。
愛情という名の欲望のもとにテリーの口内を蹂躙し続けるマリーの舌。
蹂躙されているテリーは必死に拒絶しようとするも、すでに与えられた刺激に全身の自由を奪われ、抵抗らしい抵抗すらできなくなっている。

テリー「んん~~~~~~~~っ!!!!(く…体が…言うことをきかない…マリー…やめろ…)」
マリー「ん…(こんなに素敵な感覚…もっと早くこうすればよかった…我慢なんて…するんじゃなかった…)」

すでに抵抗らしい抵抗すらできないテリーになおも襲い掛かるマリー。
テリーの口内を蹂躙する舌の動きは、いまだとどまることを知らない。
テリーにとっては、永遠とも思えるほどの長い時間。
マリーにとっては、失いたくないと思えるほどの幸福な時間。

マリー「ん…はあ…」

時間にして、五分。
マリーにとっては仕事の合間の小休止くらいに短く…。
テリーにとっては永遠と思えるほど長い…。
そんな五分が終わりを告げた。

マリー「テリー…すごくよかった…すごく美味しかったわ…」
テリー「…はあっ…マ、マリー…一体…何の…真似だ?…」
マリー「何の真似…ですって?……はあ…どこまでもあなたって残酷な人なのね…」
テリー「?…」
マリー「女の口からこんなこと言わせるなんて…いい?私はね…あなたのことが好きで好きでたまらないのよ」

もはやこのニュートラルに終わりを告げるべく、マリーがその想いを口から音にしてテリーに伝える。
ひたすら抑圧してきた爆発せんがほどの愛情を解放してしまった彼女の激しいアプローチ。
しかし…そんな告白も――――――――

テリー「?俺もお前のこと好きだぞ?」
マリー「え?」
テリー「だって、友達だしな」

20台半ばの青年の言葉とは思えない、彼女にとってとても残酷な言葉。
これが照れ隠しやごまかしならまだ救いがあったかもしれない。
しかし、目の前の青年からは、そういったものをかけらも感じない。
つまり、ただ純粋にそういっているだけなのだ。


――――――――だからこそ、愕然とした――――――――
――――――――だからこそ、絶望した――――――――
――――――――だからこそ、許せなかった――――――――


ニュートラルを終わらせたい自分。
しかし、目の前にいるのはニュートラルを当然とする彼。
そんな彼が憎かった。
憎くて…憎くて…だからこそ好きで好きでたまらない。

マリー「このっ!!……(ぐっ)」
テリー「!?マ、マリー!?」


ぐいっ!!びりびりぃっ!!


気がつけば、テリーの逞しい胸元を覆うシャツの襟首を、強引に引き裂いてしまっていた。
そして、露になった胸元に――――――――

マリー「んふ…(かぷ…)」
テリー「!!うあっ!!」
マリー「んっ!!」


がりぃっ!!


テリー「!!ぐああっ!!」

露になった胸元に吸血鬼のように吸い付き、立てた歯をためらいもなくそこに突き立て、噛み付いた。
表面を破かれ、中の肉を裂かれたそこから、彼のトレードマークであるキャップやジャケットと同じ燃えるような赤色の液体が滲んでくる。
不意に与えられた苦痛に、テリーは思わず顔を歪め声をあげてしまう。

マリー「ん…(こく…こくん…)」
テリー「く…」