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【けいおん!続編!!】 水の螺旋!!! (第一章・衝撃)

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 憂と梓は高校時代のクラスメイトであり、軽音楽部の仲間でもあった。元々、憂は軽音楽部ではなかったのだが、唯たちが卒業し、梓ひとりだけになってしまった軽音楽部に友人の鈴木 純とともに入部した。桜ケ丘女子高等学校の校則では、クラブは部員が4人以下では廃部になってしまうという規則があり、廃部を阻止するための入部でもあった。幸運なことに、彼女たちが3年生になった時、新しい部員が5人入ってくれたため、軽音部は無事廃部を免れた。それから、ふたりは唯たちと同じ大学を目指して勉強し、無事この春から、憂は姉と同じ生命理学部・基礎生物科学科、梓は理工学部・物質科学科に通うことになった。因みに、純は別の大学に進学したが、互いの大学は同じ県下にあり、距離もそれほど離れていないので、彼女との交流もなお途切れることなく続いている。

 しばらくしたら、唯の姿が見えた。

「あ、お姉ちゃーん!」

 憂は手を振って、姉を呼んだ。唯はその声に気づき、「あ、憂~!」と声をあげて駆けよってきた。そして、駆け足の勢いのままで、

「あずにゃ~ん!」

と、梓に抱きついてきた。

「あずにゃん、久しぶり~」

 梓に抱きついたままで、唯は云った。

「やめて下さい。みんなが見てますよ!」

 と梓はじたばたと抵抗したが、抱きしめる唯の手を振りほどかない程度の抵抗であった。因みにあずにゃんとは、主に唯が使っている梓のあだ名である。

「お姉ちゃん、お昼どこに行こうか」

 憂の声で、ようやく唯は梓の身体から離れ、こう云った。

「まだ憂もあずにゃんも、来たばっかりでこの辺よく知らないでしょ?とっておきのお店、案内するよ」

 唯を先頭に、三人は門を通って、大学の外へ出た。

 大学の食堂以外にも、学外に出ると、さまざまな飲食店がある。昼休みには当然学食は学生たちでごった返して、座る場所を見つけるのにも一苦労である。なので、気に入ったお店が学外で見つかれば、そこで食べるという方法もある。ただし、この時間にはもちろん他の学生たちも学外へ出ているし、社会人の人たちが食べに来ていることもあるので、学外だから空いているという保障はまったくないが。

 唯おすすめの店は、大学を出て横断歩道を渡り、しばらく行ったところにあった。憂は看板に書かれていた店名を見て驚いた。

「…喫茶グリコーゲン?」

「面白い名前でしょ。高校の頃に習ったよね」

 グリコーゲンとは、動物細胞のエネルギー貯蔵の目的で、幹細胞や筋細胞に蓄えられている多糖のことである。中学・高校時代から聞き覚えのある名前だ。

「大学の近くだから、わざと小難しい言葉をつけたって感じですね」

 梓は苦笑していた。

 店の中に入ると、結構混んでいた。

「あら、唯ちゃん。いらっしゃい」

 店員のおばちゃんが唯に話しかけてきた。

「おばちゃん、こんにちは」

 唯も笑顔で答える。どうやら、唯はこの店の常連らしい。

「悪いけど、今ちょっといっぱいでね。すぐ空くと思うから、少し待ってもらえるかしら」

 店のおばちゃんは、少しすまなさそうに云った。

「どうする。少し待ってもいいかな?」

 唯はふたりの連れにそう訊いた。

「私はいいよ。お姉ちゃん」

「私もいいです」

 このふたりの答えで、待つことが決定した。5分待たないうちに先客が店を出てゆき、ひとつのテーブルが空いた。唯たちはそこに案内された。

「唯先輩、おすすめのメニューってありますか?」

 梓はメニューを開きながら、そう聞いてみた。

「ここね、いちごパフェが大きくてとーってもおいしいんだよ!」

「デザートじゃないですか…」

「ごはんでおいしいのはないの、お姉ちゃん?」

「うーん、どれも結構おいしいけど。カレーライスと、ハンバーグがおいしいよ!」

 唯はメニューの『ハンバーグ定食』に指を指した。大きなお皿にてりやきソースのかかったハンバーグと、サラダ、マッシュポテトが置かれ、ご飯、味噌汁が付けられている。
 やがて、さっきの店員のおばちゃんがやってきた。

「あら、今日は知り合いを連れて来たのね」

「うん。妹の憂と後輩のあずにゃんだよ」

 唯の紹介に続いて、ふたりは「こんにちは」「どうもです」と続いた。

「それで唯ちゃん、今日もパフェにするの?」

 おばちゃんは笑顔で訊いた。

(昼ごはんにパフェ食べたんだ。。。)

 憂と梓は心の中で呟いた。

「ううん。今日はねー、ハンバーグカレーにする」

「じゃあ、私もお姉ちゃんと同じのにする」

「それじゃあ、私はハンバーグ定食で」

「はい。じゃあ、ちょっと待っててね」

 店のおばちゃんは奥に下がっていった。

「そういえばあずにゃん、来月16日にこの辺のライブハウスでライブイベントがあるんだけど、放課後ティータイムで出てみない?」

「来月の16ですか?別に問題ないと思います」

 梓の顔がにわかに明るくなった。唯は顔をほころばせた。

「良かった。あとでみんなに会った時にあずにゃんも参加するって話しておくね」
「今でもみなさんとよく会うんですか?」

「うん。大体授業が終わったら、みんなでどこかの喫茶店に集まってお茶して帰るんだよ。憂もあずにゃんも来なよ。またあの頃みたいに、みんなでおしゃべりしようよ」

「そうだね。私はOKだよ」

「そうですね。私も行きたいです」

 そのような話をしていると、やがて注文した料理が運ばれてきた。梓は何気なく携帯を手にして、ディスプレイに表示されている時刻を見た。もう昼休みが始まって、かなりの時間が経っている。うかうかしていたら、3時間目の講義に間に合わない。

「あ、もうこんな時間。早く食べないと」

 そこから三人は言葉少なく、急いで昼ご飯を食べた。



 5



 唯と憂と梓が大学近くのカフェ『シフォン』に着いたのは、午後6時を15分ほど過ぎてからのことだった。他のみんなは、もうすでに店内にいた。唯たち元桜高軽音部のメンバーは、大学の授業が終われば、たいていこの『シフォン』に集まることにしていた。大学の授業が終わる時間は曜日によって違うことで、最初に来る人間やその時間帯も曜日によって違うが、理系である唯は授業数が多いこともあり、たいていみんなよりも遅い時間に来るのだった。

 三人は唯を先頭に、メンバーのいる席へと歩いて行った。唯に気づいた仲間たちは、いっせいに笑顔を向けた。

「よぅ、唯。梓と憂ちゃんも久しぶりだな」

 澪が一番に声をかけた。

 それから、みんなは楽しい時を過ごした。梓と憂とは久しぶりに会うということもあり、話にも特に花が咲いた。時計を見ると、すでに8時をまわっている。

「ごめん、私そろそろ帰らないと」

 唯が云った。

「どうした。何か用事か?」

「うん。授業のレポート明日までに作らなきゃいけなくって。ずっとやってなかったから、何としても今日やらないといけないんだ」

「そうなの。まあ、もうこんな時間だし、私たちもそろそろ出ましょうか」

「そうだな。また明日も会えることだし」

 勘定を済ませて、外へ出た。もう四月とはいえ、夜になるとまだまだ肌寒い。