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こらぼでほすと 留守番8

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「ええ、それは構いませんが・・・ハイネも居るんです。」
「はあ? なんだよ、亭主の留守に間男か? 」
「へ? 」
 これは冗談だ、そう冗談なんだ、と、ロックオンが笑ったら、三蔵もニヤリと笑った。
「もう酔ってます? 」
「バカ言えっっ。ビールぐらいで酔わねぇーよ。」
「俺は、ここんちに嫁入りしたわけじゃないんですが? 」
「当たり前だ。俺にも選ぶ権利はある。だが、おまえ、ママだからな。サルの。」
「順当に行くと、八戒さんのほうがママだと思いますよ? 」
「いや、今から、おまえ、サルのママもやれ。ついでに、キラのもな。」
 なんなら、シンとレイもいるぞ? と、笑われて、三蔵の言う意味に気付いて、ロックオンも苦笑する。子猫たちだけじゃないんだぞ、と、三蔵は言っているらしい。
「ははははは・・・そういうことなら承りましょう。確かに、うちのと変らない年のが、たくさんいる。」
「しばらく、ここに居ればいいさ。どうせ、トダカさんも構いたいから呼び出すだろうしな。」
 なんだかんだで、『吉祥富貴』のスタッフというのは、こういうことに敏感だ。じじいーずは、特に気にかけている。だから、一人になって落ち込むだろう親猫を放置するつもりなんて、さらさらない。トダカだって、構いたいはずだ。今回は、留守番だから、と、自宅へ拉致しなかっただけで、留守番のお役ご免となれば、容赦なく連れ出すつもりだろう。
「じじいーずが、また、はりきってますから独占はできませんよ。」
 と、八戒が笑っていたところをみると、すでに、予定は出来上がっているのだと思われた。
「さんぞー、うわっ、もう食ってるのかぁ? 」
 戻って来た悟空も、自分のごはんをよそうために台所へ走る。
「慌てなくても、もう用意したぞ、悟空。」
 飛び込んできた悟空に、山盛りに盛ったどんぶりを差し出して、他のものを準備しているロックオンの声は、少し明るい。
「なーなー、ロックオンさん、俺、また弁当して欲しい。」
「いいよ。明日から、また作る。」
 甘えて世話させろ、と、言われていた悟空も、素直に、その意見に従う。要は、この親猫は、何かやることがあればいいのだ。余計なことを考える暇が、最も危険だからだ。
「あれ? 三蔵さん、戻ったのか? 」
 外からハイネが戻ってきて、居間にデンと居座った坊主に、挨拶する。ヘリを戻して、店のほうには出勤せずに、ハイネは戻って来た。いきなり、ふたりだと寂しいだろうと、気を利かせたらしい。
「ハイネ、おまえ、食費ぐらい入れろよ。」
「ははははは・・・それで居候させてもらえるんなら引っ越して来ようかな。・・・ママニャン、俺もメシ。」
 ようやく、お戻りかい、と、ハイネもこたつに足を入れつつ、台所へ叫ぶ。
「酒はいいのか? 」
 すぐに台所から、そう尋ねる声がする。
「いい。・・・いや、ちょっと飲もうかな。ビールで。」
「おう。」
 悟空と自分用の味噌汁と、ハイネのビールやら何やらを運んできて、ようやく、食事にとりかかる。話題は、三蔵の居なかった間の出来事についてだ。もちろん、ストーカーも含まれる。
「けっっ、生きてやがったのか・・・・キラも詰めが甘いな。」
 やはり、そういう意見ですか、と、ハイネが大笑いする。『運命の恋人』は追い駆けられないところへ帰ったし、キラには、恋人に関してだけ心の狭いアスランが始終へばりついている。これで来襲されても、なんの問題もない。
「まあ、一応、用心はするけど、拉致られるせつニャンがいないから、諦めて帰るだろうけどさ。」
「店のほうには来てないのか? ハイネ。」
「ああ、この間、ストーカーの友人が、キラにお見舞いしてくれないか、と、頼み込んできたけど、それは、店の規則に反するって、アスランが却下した。まだ、当人は動けないみたいだぜ。」
「ふーん、それなら安心だな。悟空なら、自分でブン投げてくるから大丈夫だし・・・・三蔵さん、俺、ここにいる間に、射撃練習させてもらっていいですかね? 」
「構わねぇーが、当たらないだろ? 筋力もない肩で、反動は制御できないぞ。」
「・・・う・・・」
「そっちの用件は、俺とか悟空とか三蔵さんが片付けるさ。気晴らしなら、ドライブでもショッピングでもお付き合いさせてもらうけど? ママニャン、どう? 」
「ハイネ、俺にホストトークして、どうすんだよ? 」
「いや、この煮物がさ・・俺に愛を語らせるわけよ。」
「生憎だな。それは、八戒さんの作ったやつだ。あっちへ囁け。」
「それ、無謀だろ? 悟浄に殺される。」
「おい、ママ。ツッコミはいいから、メシ食えよ。それとも一杯付き合うか? 」
「ていうか、さんぞーー、三杯で終わりな。」
 がつんがつんとご飯を食べている悟空が、酒瓶を取り上げる。先に、かなりビールを飲んでいるので、酔っ払って口説きモードになるまでの限界が、そこらしい。
「俺さ、初めて、三蔵さんに口説かれた時、一瞬、惚けたよ。」
「みんな、そう言うんだ。ああいう時だけ、すっごいいい声だしな。一瞬金縛るんだよな。」
「そうそう、この声で、あの眼力は、まずい。よくトダカさんが陥ちないな、と、感心する。」
 さすが、じじいーず筆頭、と、ハイネが褒め称えているが、それは、どうだろうと、ロックオンは首を傾げる。
「俺の時は、悟空が先に止めてくれたからな。」
「でも、逃げたよね? ロックオンさん。」
「そりゃ逃げんだろ。それまで、堅い話してたんだぜ? それが、いきなり豹変すんだから、びびった。」
「おまえら、肝っ玉がちぃいせぇーんだよ。」
「「あんたが言うなっっ。」」
 酔っ払うと記憶が怪しい高僧様は、自分のやらかしていることを、さっぱり無視してバカにする。それについては、ハイネと悟空が、同時ツッコミ攻撃を展開する。そんなふうにも賑やかに、夜を過ごした。



 翌朝、ロックオンが、約束通り、弁当を作り、悟空を送り出した。あのまま酒盛りに興じていたハイネは沈没しているが、三蔵は、きっちりと起きて、朝のお勤めをして食事もした。溜まっていたらしい仕事があるのか、朝から電話したりファックスをしたり、と、忙しそうだ。
「何か手伝いましょうか? 」
「いや、ここはいい。ちょっと横になってろ。」
「え? 」
「朝から動きすぎだ。」
 ギロリと睨まれるので、仕方なく、こたつに横になる。なんで、三蔵さんまで・・・と、思いつつ、手近の雑誌を捲っていたら、そのまま沈没した。それを確認して、やれやれと、三蔵も肩を回しつつ、タバコに火をつけた。昨日、酒盛りに参加はしなかったが、今朝の弁当の下準備やらで、遅くまで起きていたロックオンが、そのまま動き回っていたら電池切れするのは、誰だってわかる道理だ。どうせだから、と、ハイネや自分たちの分も、弁当を製作していたから、このまま夕方まで沈没させておくのも手だ。
「なぜ、そこで毛布をかけるという発想に至らないかねぇ。」
 ぼりぼりと頭を掻きつつ、パジャマに半纏を引っ掛けたハイネが起きてくる。客間から毛布を持ち出してかけているのが、さすが、ホストというところだろう。
「昼は弁当だ。」
作品名:こらぼでほすと 留守番8 作家名:篠義