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こらぼでほすと 留守番8

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「さすが、ママニャン。・・・なあ、三蔵さん、俺にも銃貸してくれないか? 実弾練習さぼってるから、ちょっとやりたいんだけど。」
「おう、案内してやるよ。」
 俺も、やっておくか、と、三蔵も案内がてらに付き合うことにした。あちらに戻って書類仕事に飽きたら、実弾を庭で撃っていたのだが、そこの僧侶たちに泣きながら止められて、満足するほどには撃てなかったのだ。普通、高僧様は、実弾射撃なんてしないものだ。だが、破天荒を極めている三蔵に関してだけは、そちらの宗教界トップたちも諦めているらしいが、現実に、それを目の当たりにさせられる寺院の格下僧侶たちは、穏やかではない。一日一回、それも、六発だけで、なにとぞ、ご容赦を・・・と、嘆いて土下座までされたら、さすがの鬼畜坊主も射撃は諦めたのだ。



 その寺の山門に、ふたつの人影が現れた。片方は、よたよたしているし、それに手を貸しているほうも、それに合わせているから動作はゆっくりしたものだ。
「ここかい? グラハム。」
「ああ、ようやく辿り着いた。」
 肋骨はコルセットで固められるが、それ以外の打撲も酷くて、動くのに苦労した。だが、どうしても、『運命の恋人』に会いたくて、ストーカーはやってきた。
「オリエンタルファンタジーって感じだね。・・・本当に、ここにいるの? 」
「ここに、お義母様と一緒に居るはずだ。それに、ここには堕天使のルシファーまで存在する。」
 某宗教界トップクラスの最高僧様の形容詞としては、最悪な言葉を吐きつつ、よろよろとグラハムは、家のほうへ足を進める。
「ごめんください。・・こんにちは・・・・あれ? 」
 玄関で声をかけたが、反応がない。外出でもしているのかもしれないと、玄関の上がり框に、グラハムが腰を下ろす。
「もしかして、お義母様は休んでおられるのかもしれないな。具合が悪くて、私の運命の恋人が看病しているのだ。」
 この間は、一緒に走っていたが、やはり悪いのか、と、グラハムは考えた。もしかして、クスリでも取りに、少年は外出しているのかもしれない。
「じゃあ、お見舞いを用意するべきだったね。」
「それより、お義母様の具合を見て来てくれないか? ビリー。お義母様が寝込んでいるのなら、そちらも保護してしかるべきだ。なにせ、私にとっても義理の母になるのだからな。」
 いや、絶対に、おまえの義理の母なんかにならねぇーよっっ、と、ロックオンじゃなくても『吉祥富貴』のスタッフが聞いていたら、ツッコミを盛大に入れただろう。
「わかった。じゃあ、お邪魔して様子を見て来よう。きみは休んでいなよ。」
 親切というか、おまえらの常識は、どこにあるんだ、と、ツッコミされるぐらい勝手に、玄関から土足でビリーが入っていく。

 廊下を進むと、広い部屋に行き当たった。そこには、机に布が被せられたものが存在していて、誰かが横になっている。後姿だから、髪の色ぐらいしかわからない。だが、ビリーは、その姿に、走り寄って抱きついた。
「クジョー? クジョーくんだろ? 僕だよっっ、ビリーだ。」
 昔から恋焦がれている相手の髪の色と巻き毛が同じだった。それだけの要因で、すっかりと勘違いしたらしい。背後から抱き締めて、顔を覗き込もうとして、「おや? 」 と、勘違いだと気付いた。
「・・あ・・誰?・・・」
 なんせ、相手は190近い男だ。確かに同じ巻き毛で髪の色だが、体型は違う。
「ねぇー、きみ。きみの親戚か姉妹にクジョーって人はいない? いや、きみ、クジョーってファミリーネームじゃない? 」
 いきなり叩き起こされたほうは、頭が働かない。クジョー、クジョーと連発されているが、そんな名前に覚えもない。ていうか、この人、誰? と、しばらく、その顔を眺めていたが、こちらにも覚えがない。
「・・・だれ?・・・」
「僕は、ビリー・カタギリ。きみは? 」
「・・え・・・何?・・・」
「名前だよ。クジョーというファミリーネームだろ? ファーストネームは? 」
「・・ちがう・・・てっっ、あんたっっ、誰なんだよっっ。ていうか、何、土足で歩いてるんだ? 」
 ようやく、頭が働いてきたロックオンが、自分を抱きかかえるようにしている男の足元を見て、怒鳴った。土足だ。ここは、オールセルフサービスの家ではあるが、最低限の決まりごとはある。
「きみ、男にしては綺麗だね。・・・それに、クジョーくんみたいな綺麗な髪だ。ねぇ、きみは恋人とか居るの? 」
「は? 」
「僕、グラハムから、恋人のお義母様の様子を見て来いって頼まれたんだけどさ。それはいいから、ちょっと僕と話をしてくれないかな? 」
「い? 」
 今なんか、ヤバげな言葉があったぞ、と、ロックオンが頬を引き攣らせた。というか、大柄の男に抱き締められている、この状況って、かなりヤバいだろう、と、もがくのだが、毛布が巻きつけられていて、身動きができない。
「僕さ、学生時代から、ずっと片想いしている相手がいてね。その人、すっごく頭が良くて綺麗で、僕なんかには女神みたいに神々しい存在だったんだよ。だから、何も言えなくて・・・でも、友人としてならって、メールいれたり、連絡してたんだけど、また、音信不通になっちゃって・・・・その人、クジョーくんって言うんだ。十歳も違うから、なんか可愛くて手が出せないでいたら、すごく大人の女性になってて、ドキドキしちゃったよ。・・・・」
 延々と続く、クジョーさん賛歌を耳にしつつ、ロックオンも焦る。なんかイっちゃってるし、この人、危ないんじゃないのか? と、懸命に脱出を考えているのだが、動けないのだ。
「ビリー、お義母様は見つかったのか? 」
 背後からの声に、やっぱビンゴっっと思いつつ、そちらに目を遣ると、やっぱり、おかしな格好のコスプレ外人がいた。今日は、紋付袴に鎧の仮面だ。
「うっぎゃああああああああっっ。」
 イっちゃってる変な人と、コスプレストーカーのダブルアタックなんて恐怖以外の何ものでもない。びっくりして叫んだら、眩暈がした。だが、相手は、KYでマイノリティー驀進の男だ。その程度で、動揺もしてくれない。
「お義母様じゃないか。やはり具合が悪いのだな? それなら、私の所属する軍の病院へ搬送させていただこう。そこで、ゆっくりと養生されるがいい。それなら、あの少年も心を痛めることもない。・・・ビリー、お義母様を運んでくれないか? 私は置手紙をしておこう。」
「ああ、合点承知だ。グラハム、僕、この人と、いろいろと語り合いたいから看病は任せてくれ。」
 そこいらのチラシの裏に、すらすらと手紙を書いているグラハムは、「そうしてくれると有難い。」 なんて、勝手なことをほざいている。
「ちょっっ、待てっっ。俺は、どこにも行きたくないっっ。なんで、俺なんか拉致るんだよっっ。」
「あなたが、私の運命の恋人のお義母様だからに決まっている。さて、これでいいだろう。ビリー、行こう。」

・・・・なんで、誰もいないんだ? てか、俺? 俺かよっっ・・・・
作品名:こらぼでほすと 留守番8 作家名:篠義