その部屋には白い箱がある
アレルヤが目を閉じたのをしたハレルヤは大切そうに持っていた白い箱を机に戻した。
この中にはアレルヤという存在にとってなくてはならないものが眠っている。
しかし今は開くわけにはいかないとハレルヤは思っている。
幼い頃の、あの日。
その日までは好きなときに好きなだけその美しくも拙い音色を奏でていた白い箱に鍵が付けられた。
そのまま鍵を閉ざさなければ今でも音色を響かせていただろう・・・。
それをハレルヤは鍵を回しアレルヤから隠した。
それが必要だと本能で感じたから。
この白い箱以外にも同じようにいつからか鍵が取り付けられ、そしてハレルヤはその鍵を回して隠してきた。
それでも ハレルヤはよく白い箱の螺子を回した。
なんにも奏でられないくせにそれでも箱は箱の中で閉じた音色を奏でているのだと気づいた時からずっと。
「・・・怖いくせに、テメェも大概しつこいよな・・・」
蓋が開き、音が奏でられるのが怖いくせにハレルヤが螺子を回すと決まってアレルヤはそこに座っていた。
椅子の上で人形のように。
「テメェのその姿・・・まるで―――だな」
ハレルヤは笑う。
だが、それでいいとも思う。
そのまま、怖いくせに音を求めていればいい。
俺はずっと その鍵を隠し続けるから。
――その気になりゃあ、本当は鍵なんていらないんだろ?アレルヤ
作品名:その部屋には白い箱がある 作家名:リヲ(スランプ中)