消えなかった結果がコレだよ/ex
じっとしてもいられず、無理に我侭を聞き届けてもらって場所を変えても、相手を待つ時間で結局はこの様である。
どんどん沈んでいく自分に嫌気が差し、エリザベータは組んだ腕に痛いほどの力を込めた。
良くない方へと気分が引き摺られる一因に、十分な休息を取れてないことも関係しているだろう。
貸してもらった部屋の寝台で眠ろうと努めたが、次から次に余計な事を考え込んでしまい、まんじりとせずに一夜を明かしてしまった。
化粧で誤魔化したもののあまり効果は無く、ローデリヒに気を遣せてしまうのが申し訳なくて、お茶と、護身用にいつものフライパンを手にして庭に出てきてしまった。
裏口に回ると見慣れないガーデンテーブルがちょこんとあった。昔からささやかな休憩用にと置かれたそれは、時代を重ね人が少なくなっても変わらぬ習慣として残っていたらしい。
揃いのデザインのガーデンチェアについて手持ち無沙汰にお茶を一口飲んだ。
いつもなら香りを楽しめるそれも今は熱いだけ。けれど睡眠不足の冷えた体にはじんわりとした熱が心地よく、再び口につける。
そうしてのんびりしていると数百年前を思い出す。
当時はこの屋敷で下女の仕事に追われていたが、それでもなんだかんだで楽しい日々だった。
想い出に浸っているといつしかお腹のあたりが温くなってきた。穏やかな陽光もあり次第にうとうとと瞼が落ちてくる。
いつルートヴィッヒが来るかもわからないのに、眠っていられない。
そうは思うものの、エリザベータの意識は夢と現にまどろんで次第に溶けていった。
作品名:消えなかった結果がコレだよ/ex 作家名:on