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GUNSLINGER BOYXⅢ

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突然の知らせ。黄色い立ち入り禁止テープ。紅いサイレン。警官。群がる野次馬。こみあげる吐き気。葬式。棺桶。白い花束。すすり泣く人々。

しかしあいつの死を直接確かめてはいない。
だって、誰が疑うんだ。誰が・・・・・


『遺体は損傷が激しく、みせることはできません』


「あ・・・・・・・・・・・」
「世の中には知らなくていいことがたくさんあるんだよ。実際に確かめていないことだって、確かだと信じているものにそうだと教えられればそれが現実になる」

男は歌うように話し続ける。

「例えこの子のことを君が知っていても、残念ながらこの子はもう君の親友じゃない。君がさっき言ったとおり、ね。」

男の手が親友と同じ顔のその頬をゆっくりと撫でる。
少年は始終表情を崩さないままだった。

「じゃ・・じゃあ、ほんとに、こいつは・・・」
「別人だって言っただろ。世界っていうのは認識でできてるんだ。
この世界では君の親友は死んだ。それはもう変えようのない『事実』であって君だってそれを信じた。」
「でも・・っ」
「でも、それを未だに受け入れられてないから君は『良く似た』帝人くんを追いかけてきたんだろ?」


少年の顔を見た。

それはやはり、会いたくて仕方なかった親友そのものだった。
今にもはにかみながら『正臣』と名前を呼びそうだった。
男の言っていることは今の俺の理解の範疇を超えていて混乱に拍車をかけるばかりだったが、青い瞳を見ていると強烈な懐かしさと苦しさがこみあげてきてそんなことどうでもよくなってきてしまった。

もうこれが夢だとか妄想でも構わない。

そう、そうだ、言いたいことがたくさんあったんだ。
まだまだ話したいことがたくさんあったんだ。
この2年でぐんと身長が伸びたせいかあの時よりも下に見えるその肩に手を伸ばした。



ごめん・・・ごめんな・・・・・守ってやるだなんて、思ってたのに。

本当は引っ越しが決まって泣きそうなぐらい寂しかったのは俺の方で、ずっと一緒にいたかった。だからずっと迷った後、やっとあの日に打ち明けて・・・・なのに・・・

痛かったよな・・・怖かったよな・・・
ほんと、なんでおまえがあんな目に遭わなきゃいけなかったんだろな・・・・


ごめん。
ありがとう。




さよなら



何か、首のあたりに衝撃があって視界が暗転した。

目を閉じる間際にあいつの顔が目にうつった。


泣きそうな顔をしていた。
どうせ夢なら笑顔がみたかったと沈みゆく意識の中で思った。


作品名:GUNSLINGER BOYXⅢ 作家名:net