GUNSLINGER BOYXⅢ
気がつくとあたりはすっかり日が暮れていて、俺は路地裏に一人壁によりかかる形で座りこんでいた。
「・・? なんで、こんなとこで・・・・」
体を起こそうとすると首のあたりが痛んだ。寝違いではない。
ポケットに手をやると財布は入ったままで盗られたものはなさそうだった。
全部夢だったのか・・・?
夢にしてはやけに鮮明でリアルな記憶だ。
歩道橋で人の流れを観察していたところから二人連れを追いかけてここの路地にくるところまでちゃんと覚えている。
しかし、死んだ人間が別人みたいになって生きているなんてことあるはずは無い。
あるはず無・・・・・
「あれ・・・・・?」
ぽたり、と手に滴が落ちた。
そういえば、今まで、夢の中ですらあいつにちゃんと別れを告げられてなかったな・・。
初めて言えた。
あいつ、泣きそうな顔してたな・・・・
これまでどんなに苦しくても乾いたままだった目から涙がこぼれてとまらなくなった。
その日俺はあの事件の日以来、初めて声を上げて泣いた。
作品名:GUNSLINGER BOYXⅢ 作家名:net