コールドタイフーン
クッキーを並べた皿をテーブルに置き、ポットからカップに紅茶を注ぐと、綱吉と恭弥は骸の向かい側のソファに一緒に腰を下ろす。
相変わらず二人は離れないままで、両足を開いて座った恭弥の間に綱吉はちょこんと座った。
「冷めない内にどうぞ、骸」
「ええ、ありがとうございます。いただきます」
カップを持ち上げた骸は、ふうっと一度水面に息を吹きかけて、こくりとひとくち口に含む。
やわらかい香りと風味が口の中に広がって、すうっと喉を通っていく。
「…美味しいですね」
「ありがとう。淹れ方、かあさまがやってたのと同じ方法なんだよ。教えて貰ったんだ」
「そうでしたか。どおりで、どこか懐かしい味がすると思いました」
家事全般が得意な綱吉の母親は、当然のように紅茶を淹れる腕も素晴らしく、特にミルクティーとお手製の焼き菓子が、子供達の間では好評だった。
骸は最近忙しい事もあってなかなか顔を見せられずにいるが、凪や武は隼人とユニを連れて時折彼女の元へ遊びに行ったりしているらしい。
「…それで…聞かせて頂けるんですよね?恭弥君が、こんなふうになってる理由を」
「うん」
自分の背中にぺとりと頬を押しつけている恭弥の分の紅茶に蜂蜜を多めに落として、綱吉は骸の問いに頷く。