give me
「・・・・・・無い」
コンビニにもケーキ屋にもどこにもプリンは無かった。
どこもかしこも売り切れ。
「くそっ!どっかでプリン祭りでもしてんのかよっ」
仮にしてるのだとしたらアレルヤを連れて参加したい。
・・・それに買えなかったらきつい罰ゲームが待っている。
相手の指定する格好で一日を過ごすというもの。
アレルヤをからかうつもりで作った罰ゲームなだけに絶対に避けたい。
「ねぇ、チラシなんていーじゃん。アタシらとあそぼーよ?」
イライラしているハレルヤに突如聞こえたキャピ声は耳障りでしかなく八つ当たり紛いに睨みつけてやろうかと思って見たそこにはキャピ女に囲まれた綺麗な男。
女に囲まれ鼻の下でも伸ばしているのかと思ったがどうやら本気で困っているらしい。
「はは・・・、ごめんな?ちゃんと配らないと怒られちまうんだよ」
「えーっ、お兄さんカワイソー!」
逆ナンもかわせないような優男。
なのに気になったのは・・・・・・。
「よっ!久しぶりじゃねぇか」
「え・・・?」
男の手を掴みそう言うとまた困ったような顔で笑う。
恐らくは記憶を総動員させているに違いない。
「向こうに他の奴らも集まってんぜ」
知らないと答えが帰ってくる前にその場を連れ出した。
えー!なんて残念そうに声を上げるキャピ女の声を無視して。
握った手は振りほどかれることなく・・・暖かかった。