Hey Mr.travellin' Man
「引っ張ってこれるほどの証拠がないという事と、背景的な問題からそれ以上の追跡が出来なかったそうです。その問題の人物は軍と取引のあった商社の子息なんですが、科学者でもありましてね。様々な武器等の開発に携わっていたそうなんですが、ある時を境に表から姿を消しました。――――新型の火薬の開発資料とともに」
「それって」
「大変実験好きな人だったようで、街では皆が「そう」だと信じていたようですよ」
「うわちゃー…」
つまり、いまだに爆弾というか火薬をこね回すのが大好きなアブナイ人が市井に野放しにされてるかもしれないって事になるんでしょうか。
ろくでもない。
本当にろくでもないな、それは。
「じゃ、今回のコレって、そろそろほとぼり冷めたかなーって思ったそいつがまた何かやりだしたとかいうワケ?」
「そこまではどうでしょうね。でも少なくとも無関係ではないでしょう」
とりあえず、今回は爆破を未然に防いで仕掛けた犯人を捕まえたいんですが。
「何人か目星付けてるんだ?」
「それはまだ。ただ、この列車には現在、狙われている対象者ではないかという人物が乗っています」
「は…?」
「つまりは誘き出し、おとり捜査というわけですね」
「ちょ、それ本人が乗ってるのか!?危ないだろ!」
「・・・私たちも、そう言ったんですけどねぇ・・・」
へ。
「・・・あのさ」
「はい」
「その狙われてるかもしれないのって」
ファルマン准尉は一瞬、言ってもいいのかな、みたいな感じだったが、どのみちすぐにバレると踏んだんだろう。実にあっさりと続けてくれた。
「マスタング大佐です」
・・・・・・やっぱり?
作品名:Hey Mr.travellin' Man 作家名:みとなんこ@紺