真選組内部事情
「あ、副長。もう起きたんですね、もう少し寝ててもいいのに」
話題が逸れてしてやったりといった感じがありありと出ていたが、今はそれよりも面白い物があるので許してやろうと思う。それにしても、山崎の目は節穴なんじゃないだろうか、あんな面白い物にコメントしないとは。
「おい、山崎。あれ見て何とも思わねぇ?」
「え。副長ですか? もう少し寝てればいいのにと思いますけど……って、沖田さんまた何かしたんですか?」
不思議そうに聞き返す山崎に俺は心底呆れる。だから山崎は山崎なんだ。
「もっと良く見てみろィ。 特に頭らへんを」
「えぇ〜……寝癖とかですか? 特に変わったことはないと思うんですけど」
「お前、目ぇ悪くなったんじゃねぇ? しょうがねぇな、特別に一番に見せてやらぁ」
ありがたく思えと言って、おもむろに携帯を取り出してさっきの写真を山崎に突きつける。さぁ、笑えとばかりにふんぞり返る俺に対して、山崎の反応は冷めたもんだった。
「副長の寝顔……ですか? それのどこが特別なんですか。副長の寝顔なんて見たくもありませんよ。あ、起こしちゃ駄目だって言ったのに副長の仮眠の邪魔したの沖田さんでしょう」
放っておけば蕩々と続きそうな山崎の説教を右から左へ聞き流しながら、俺は自分でも携帯をチェックした。ちゃんと撮れたはずなのに、失敗でもしたのかと思ったから。
すると、そこには見事に隠し撮られた土方さんの寝顔があった。だけど、俺が一番撮りたかったもの、あの爆笑ものの耳が付いていないのだった。