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ユキナ・リュカ ~この世界~

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「お前、こんなところでいったい何を・・・?」

途方にくれ、ぼんやりと空を見ていたユキナにおもいがけず声がかかった。
振り向くと、金髪で緑色のお上品そうな服を着た青年が立っていた。

「はぁ。お兄さん、誰?」

あいかわらずぼんやりした調子でユキナは聞いた。

「・・・警戒心なしか?呑気なやつだな。俺は・・・まあ、いいか。ナッシュっていうんだ。」
「ふーん。会った事、あったっけ?」
「え?あ、ああ、えーと、いや。」

ナッシュ・・・ナッシュ・ラトキエ。
ハルモニアの南部辺境警備隊であり、都市同盟における真の紋章についての調査をしていた。そして、実はユキナには出会っている。
ミューズとハイランドの駐屯地で。だが潜入していた為、もちろんユキナが知るよしもない。

「で?何やってるんだ?」
「うーん、迷子、かな?お兄さ・・・ナッシュは?」
「え?俺は・・・その・・・まあ、なんだ。」
「要はナッシュも迷子なんだね?」

ユキナはプッと笑った。
自分よりも十分大人なくせになんか子供みたいだと思う。迷子なんだね、と言うと照れと困った顔が入り混じっていた。

「おもしろいお兄さんだなー。俺はユキナ。よろしく。」
「おもしろい、は余計だ。で、ユキナ、君はいったいなぜこんなところで迷子になってるんだ?」

とりあえずユキナの向かいに座り、ナッシュは聞いた。

「俺も知りたいわ。」
「?」
「あはは、まぁ、事故ですよ、事故。てゆうかここ、どの辺なんですかね?」
「それすらも分からんのか?といいつつも俺もあまり詳しくはないが・・・多分ここをずっと抜けたらグラスランドあたりじゃないかと・・・。」
「えええええ。いったいどこに送ってくれてんだ、あの天然娘め。まあ可愛いから許すけど。」
「?何言ってんだ?」
「ああ、いえ、こっちの話です。」

ユキナはにっこりとして言った。

「変な奴だな。それにしても迷ったにしては余裕だな。そんなとこでボーっと座って。」
「あー・・・ちょっと、ね。実は上から落ちた。」

まあこの人なら自分が少し怪我をしてる事言っても差し支えなさそうだと判断して、ユキナは崖の上を指差した。

「え!?あんなところからか?それにしちゃぴんぴんしてそうだぜ?」
「まあ、普段の運動のたまものですよ。」

運動って・・・ナッシュはかなりびっくりした。
目の前の少年は、さも大したことなさそうに言ったが、彼が指差した崖はけっこう高い。
普通なら落ちたらひとたまりもないであろう。

「で?どこか痛むのか、って普通なら全身痛みそうだが・・・」
「足をね、ちょっとね。まあそれ以外は動かしてみたけど、なんともなさそうですよ。」

化け物か・・・?思わず思ってしまう。

「しかし・・・」
「しっ。・・・なんか、くる。」
「まさか・・・」

ナッシュは青くなった。ユキナはん?と不思議そうにする。
と、そんな2人の方に、見たこともないような鳥か竜か分からないモンスターが近づいてきた。

「まいたと思ったのに・・・」
「てことはあなた目当てで来たって訳ですか。」

ユキナはやれやれ、とため息をつきながら立ち上がり、その際に足が痛んだようで、つっ、と声をもらした。

「すまん。しかもユキナは足、怪我してるんだったな。俺がおとりになるから、その間に隠れるか逃げるか、出来るか?」

ナッシュは申し訳なさそうに、モンスターを見ながら言った。

「うーん・・・」

ユキナは痛む片足をあげて、もう一方の足だけで何度か軽くジャンプしてみる。

「ま、なんとか、なるか。」
「は?」
「ちょっと手、組んで・・・いや、そうじゃなく・・・うん、そう。ごめん、ちょっと俺足、そこ、乗せるから、俺に合わせてサポート、してくれる?」
「何言ってんだ!?いいからお前は逃げろ・・・」
「つべこべ言ってる暇があったらする!!」

ユキナの剣幕におされて思わずナッシュは言われたとおりにした。
ユキナはナッシュの手と反動を利用して敵めがけて高くジャンプした。モンスターもそんなユキナめがけて下降してくる。

ナッシュは焦った。
くそっ。火の紋章札はさきほど使ってしまった。どのみち間に合わない。火薬もそうだ。スパイクやアンカー・・・そして手が背中の双蛇剣に伸びる。
抜く・・・しかないか!?
その一瞬の迷いがまた、一瞬で消え去った。

ユキナはそのまま襲ってきたモンスターの鉤爪を避けて懐に入るようにしてその瞬間、右手にもった武器で強力な打撃をあたえた。
モンスターが苦痛に鳴きながらバランスを崩し落ち始める。その際にもう一度、今度は左手で打撃を加える。
落下速度が増した。
そしてユキナはその勢いを利用して地面にモンスターをたたきつけた。そして自分はそのままモンスターをクッション代わりにして無事、片足で立ちあがる。
モンスターを見下ろしているユキナを見て、ナッシュは一瞬ぞくり、となった。
そして唖然としたあとで、背中にやった手をもどした。