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桜渡り

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小さく、掠れた声で呟くその唇に、吸い寄せられるように口付ける。ぴくり、と痙攣する身体を逃さぬように強く抱き締め、薄く開いた唇の隙間から舌を差し入れた。口内で探し当てた柔らかい舌を吸い舐り、思う存分に味わう。そんな元親の行為について行くのがやっとの毛利は、目尻から、つ、と一筋、生理的な涙を零した。それを見逃さず、元親は毛利の頬に流れる滴をぺろりと舐め上げる。毛利の身体がぶるり、と震えた。元親の行為のひとつひとつに反応を返す敏感な身体が愛おしくて、元親は体重をかけて毛利の身体を押し倒す。床板にぱさりと髪が散った。戸惑うように見上げてくる毛利の視線を宥めるように、その首筋へと顔を潜り込ませる。耳の裏の匂いを嗅ぐように鼻をこすりつけながら、元親は、違和感を感じていた。
毛利元就は、こんな男だっただろうか。
会ったのは今日で三度目。刻限にしてみればほんの僅かな間でしかない。その程度で相手のことなど分かるはずもなく、こんな違和感も覚える筈が無い。だが元親の中には確かに、もっと長い間深く関わっていなくては存在し得ない、毛利元就という男への理解があった。
元親の知る毛利という男は、こんなにも容易に、抵抗することもなく、自分の腕の中に堕ちてきてくれるような男だっただろうか。
そう思った瞬間、ふと、意識が強い力で持ち上げられる感覚に襲われる。まるで今まで深い海の底にいたかのように、遠い水面へ向けてぐいぐいと引っ張り上げられてゆく。

そうして、元親は目を覚ました。



作品名:桜渡り 作家名:亜梨子