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こらぼでほすと 襲撃8

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「私くしとカガリで、ロックオンの治療方法は、現在、探しておりますが、満足な成果がありません。・・・・焦るロックオンの気持ちも、逢えなくなったあなたがたの気持ちも十分に理解しておりますが、こればかりは、すぐに解決できないのです。どうか、お時間をくださいませ。おそらく、組織にも同様の負傷をされた方がいらっしゃるでしょう。その方たちのためにも、なるべく早く見つけたいと思っております。」
 カガリもラクスも、負のGN粒子による被害に対する処置が、まだ確立されていない現在、その研究が実ることを願うしかない状況だ。世界中に、その被害者はいて、現在、その治療をしながら、研究者たちが解決方法を模索している。まだ始まったばかりの研究で、何年かの時間は要するのだ。
「ラクス・クライン、それについては、俺もドクターから聞いている。まだ出来上がっていない治療法だ。おまえが謝ることではない。」
「ですが、探すと約束したのは、私くしとカガリです。・・・それから、アレルヤロストの報告は、彼の体調が安定してから私くしが申し上げます。それまでは・・・・。」
「それもわかっている。・・・あいつには、てきるだけ知らせないで欲しい。知らせても、気に病むだけなら知らないほうがいい。」
「なるべく、そういたしましょう。ですが、刹那、いつまでもアレルヤの不在を気取らせないのは無理ですよ。」
「多少、組織で何かあったとは気付いている。」
「そうでしょうね。・・・・大変、非道なことをしていると思われておられるでしょう? フェルトさん。ですが、私くしどもにも自分たちが決めた決まりがございます。」
 戦端を開く真似はしない、と、キラとラクスは決めている。こちらが仕掛けたら、それは世界を敵に回す行為だからだ。もちろん、簡単に滅ぼされるつもりはないが、巻き込まれる人間は必ず多く出て来る。それは、さらなる戦火を引き起こし、世界中に広がるだろう。それが許せないのだ。二度と、あんなふうに戦いに巻き込まれて、勝手にどんどん憎まれて憎んでいく世界なんかに居たくない。

 今のところ、キラたちの実績と歌姫の存在が、世界が襲い掛かってくる防波堤の役目をしている。仕掛けてくる気配があれば、陰から三万倍にして返す。それで、こちらと世界との均衡は保たれているのだ。アレルヤを、すぐに救出に向かえば、その均衡は崩れることは必死だ。処刑するというなら、人道的見地という名分で救助しても、どうにか言い訳はできる。だから、そこまでは動けない、と、歌姫は説明した。
「理解して欲しいとは申しません。ただ、私くしどもにも、あなた方のように活動理念というものが存在するのだということだけは、分かってください。アレルヤは生きています。処刑されるようなことはございません。そちらが探して救助なさるということでしたら、陰ながらお助けはできると思いますので、お知らせください。」
 正直な話を、歌姫は、はっきりとした。わかってもらうには、言葉を尽くす必要があると、歌姫は思っている。理解しないままに交渉を断ち切るような行為が、一番危険だと身を持って知っているからだ。
「・・・・わかりました。組織のシステムの復旧を急ぎます。ロックオンには知らせないでください。お願いします。」
 フェルトが、そう言って、ぺこりとお辞儀した。どの組織にも、戦う理由や活動理念がある。それは、それぞれに違うのだから、押し付けてどうにかなるものではない。協力できることがあれば、協調すればいいし、相容れない部分については、分かれればいいことだ。最初に、アレルヤロストについて捜索できなかったのは、組織のほうだ。生存していることだけでも知らせてくれたことは感謝しなければならない。
「ええ、なるべく知らせないようにいたしますね、フェルトさん。」
「フェルトでいいです。」
「それでは、私くしのことも、ラクスとおよびくださいな。」
 小さいお友達が増えて、嬉しいです、と、歌姫は、フェルトの手を握る。彼女は、自分が、あの大戦に巻き込まれた年齢だ。まだ、とても若くて悩むことも多いだろう。だが、自分と同じように、前を向いて信じることに進む勇気がある。そういう友達は、とても貴重だ。ましてや、同性となると少ない。
「ラクス、ロックオンは、本当に大丈夫? 」
「はい、それは保証します。こちらで、ゆっくり過ごされる分には問題はありません。季節の変わり目に体調を崩されますが、それも、ドクターやスタッフが、ちゃんと看ております。・・・お休みの折に、顔を見せてあげてください。あなたたちのママは、とても優しい方ですけど、寂しがり屋なんですよ? 」
 なんせ、刹那たちが帰ると、途端に具合を悪くするのだ。だから、適度に顔を出して安心させてあげてほしい、と、お願いしたい。
「うん、降りてくる。」
「ありがとうございます。刹那、あなたもですよ? 世界を放浪するのは構いませんが、適度に戻って無事な姿を見せてください。・・・あまりお帰りにならないと、私くしどもが捕獲に参りますからね。」
「わかっている。補給と整備に戻るから、問題ない。」
 刹那のほうは、鷹とカガリが手配してくれた。ある程度のサポートは、現地でも受けられるし、整備は、モルゲンレーテというカガリの国の会社に依頼してもらった。何ヶ月かに一度は、戻るように言われているし、サポートからの連絡も入る。
「世界は広いので、時間はかかります。気長に放浪なさるとよろしいですよ。・・・まだ、連合も独立治安維持部隊も、ここ一年は実働にこぎつけません。その間に、各国の主要な部分は見ていらっしゃい。」
「ああ。」
 まずは、本丸、というのは、刹那にも理解できる。各国の経済動向や広さ、豊かさは、その場で実感してくるべきだ。実際に、それらを見ることで、自分たちが対するものの大きさもわかる。
「お話は終わりです。そろそろ休みましょうか? 」
 何か疑問を思いついたら、質問してくださいね、と、付け足して、歌姫は、子猫たちの手を握って寝室へ戻った。真ん中辺りで寝ている親猫の両側に子猫が横になり、桃色子猫の横に、歌姫が添い寝する。寝相が悪い悟空辺りが一緒だと、かなりの被害が予想されるが、子猫たちは大人しいものだ。小声で、たわいもない話をして、それから照明を落とした。



 遊園地は貸切だから、歌姫様は、そのまんまカジュアルな格好で、子猫たちと悟浄、八戒を引き連れて外出した。
 翌日からは、ピンクの目立つ髪を帽子に隠して、メガネをかけて、お忍びスタイルになった。もちろん、護衛のヒルダたちも同行する。街中へ出かけるというので、悟浄と八戒も護衛に借り出される羽目になって、やれやれと肩を竦めた。ヒルダはいいのだが、ヘルベルトとマーズは、あからさまに厳ついので、側で護衛しては目立つから、その役目を押し付けられたからだ。これに、キラとアスラン、さらに悟空も加わるのだから、騒々しい集団だ。
作品名:こらぼでほすと 襲撃8 作家名:篠義