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こらぼでほすと 襲撃9

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「そうだそうだ。おまえは、うちのことをやってのんびりしてりゃーいいんだよ。どうせ、他のが降りて様子を見に来るぞ? 」
 そのうち、アレルヤの不在は気付くだろうが、できるだけ知られないように、紫子猫も考えるだろう。具合が良ければ、店の仕事をしてもいいし、悪ければ、トダカ家でゆっくりしていればいい。それぐらいのつもりで、『吉祥富貴』のスタッフも考えている。
「なんだ? 三蔵さんとトダカさんだけか? 」
 随分と遅れてやってきた虎とアイシャの夫婦は、静かなので、驚きつつ入ってきた。
「買出しに出たんだよ。」
「ああ、そうか。」
「お疲れ様です、虎さん。お久しぶりです、アイシャさん。」
 虎はプラントへキラたちと共に出向いていたので、逢うのは久しぶりだ。アイシャとも、しばらく顔を合わせていなかった。
「ロックオン、デートしまショ? 」
「はい? 」
「タマに、いい男とデート。これ、いい女の条件ヨ? 」
「いや、となりに旦那がいるじゃないか? 虎さんと出かけろよ。」
「ダメダメ、アンディではシゲキにならない。」
「付き合ってやってくれ、ロックオン。おまえも、いいリハビリになるだろ? 」
 アイシャも、なるべく刹那が出かけて落ち込むことから、親猫の気を紛らわせたいと思っての申し出だ。それに、まだまだ、虎はラボのほうが忙しい。
「いいですけどね。」
「オッケー、お迎えにクルから。」
 一ヶ月ちょっと本宅に押し込められていたから、ロックオンとしても気晴らしにはなるので了承した。そこへ黒子猫が戻ってきて、親猫の腕を掴んで客間へ連行する。


 結局、四つの鍋は、トダカ風、八戒風、鷹風、アスラン風で関東、関西の方式で作られた。どこのも、おいしくて、年少組は、それぞれの鍋を、ぐるぐると回って食べている。大人組は、あっちこっちのすき焼きを摘みつつ、酒盛りに発展して大騒ぎになってくるし、酔っ払ったシンが、関西風にじゃがいもやらを放り込んで、最終的に、どれも似た様なものになっていたが、そこのところはご愛嬌だ。本日の主役の刹那は、みんなから旅についての注意事項なんてものを、一々と教え込まれていたが、肉を食うほうに集中していて耳から素通りしている。それを見て、親猫は微笑みつつ、気をつけて、と、だけ言った。
「わかってる。あんたのために無茶はしない。」
「ひょおーーー熱烈告白っっ。せつニャン、おっとこまえーー。」
 刹那の言葉に、ハイネが反応して囃し立てる。しかし、当人は反応しない。言い方が問題なだけで、意味は、親猫の安心のために無茶しないということだからだ。
「こいつが大きくなったら、タラシになりそうだな? ママニャン。」
 ニヤニヤと悟浄もツッコむ。
「正しいモノの言い方を教えてやってください。ストレートすぎる。」
「いいじゃないか、ストレート大歓迎だ。ママニャンは、俺が大事に守っててやるから安心しなさい、せつニャン。」
「うぉーい、鷹さん、それ、煽ってるからっっ。てか、その言い方のほうが怖えーよ。」
「ちび、心配すんな。うちで俺の女房をやってもらうから鷹には手出しさせねぇ

「待ってください、三蔵。その言い方も間違いですっっ。」
「ワタシも参戦ヨ? いい男だモノ。」
「あはははは・・・・強敵出現だぞ? 鷹さん、三蔵さん。うちの女房はいい女だからなあ。」
「ちょっと待ってよ、三蔵さんとこで独占はひどくねぇ? うちにも来てもらうんだからなっっ。なあ? レイ。」
「できれば、トダカ家にも帰ってきてください。アイリッシュシチューはおいしいです。ぜひっっ。」
「そうそう、うちが実家なんだから独占はさせないよ? 三蔵さん。」
「やだっっ、僕のママでもあるんだから、僕にもお弁当してもらうんだからねっ。ラクスも参戦なんだからぁ。」
「キラ、食べながら叫ばないの。・・・・でも、うちにも来てくださいよ、ロックオン。料理のレパートリーを増やしたいんです。」
「ちょお、キラっっ、弁当食いたいなら、うちへ来ればいいじゃんっっ。勝手に連れて行くなよっっ。」
 もう、なんていうか、酔っ払い集団だから騒々しい。全員が大声で騒ぐので、さらに声が大きくなる。これが普通の一軒家なら近所迷惑甚だしい状態だろう。
「これは、俺のおかんだっっ。勝手に使ったら、エクシアで駆逐する。」
 そして、最後に黒子猫が立ち上がって、一発ぶちかますと、全員が大笑いして拍手した。
「いよっっ、せつニャンっっ。決め台詞もおっとこまえーーっっ。」
「じゃかましいっっ、ハイネ。マグナムぶちこむぞっっ。」
 それから、刹那は、周囲を見回して、ぺこっと頭を下げた。
「俺の保護者は、弱っているので保護は頼みたい。」
 真面目に、ちゃんと刹那がお願いする。そんなことできるようになったんだなあーと、ロックオンは成長したことは嬉しいのだが、やっぱり言葉はストレートすぎて笑える。
「おい、刹那、それじゃあ、俺が病弱みてぇーだろ? 」
「病弱だ。」
「こらっっ。」
「あんたは、病弱なんだ。自覚しろ。・・・俺が戻って、寝込んでたら、本気で監禁してもらうように歌姫に依頼するからな。」
「わかってるよ。のんびりだらだらしてるから、俺のことは心配すんな。」
 そんなに心配されても、どうだろう? と、ロックオンは苦笑する。それに答えるように、キラが、「まかせて、刹那。僕らで、きっちり監視してるから。きみは、世界を旅しておいで。それで、ママに見たことを報告だよ? 」 と、宣言する。そうだそうだと、シンとレイと悟空も呼応して手を突き上げる。世界に挑むために必要なことだ。そして、それは、刹那をさらに強くする。だから、安心させて送り出したい。全員が通ってきた道だ。
「歴史の遺産も見て来いよ、刹那。すげぇーのがあるんだぞ? 俺、ナスカの地上絵見て、人間を見直したんだ。」
「シン、それならピラミッドも、そうだ。それから、アマゾンや黄河の自然も感動する。」
 シンとレイは、全てが終わってから、それを観に行った。世界は、自分たちの周りだけじゃないことを実感したし、人間というものについて考え直した。コーディネーターではない過去の人間たちの力を感じたからだ。そして、人間の小ささも理解した。それは、とても大切だと思う。
「僕ね、砂漠もすごいと思う。同じ風景が一時間と持たないんだもん。」
 キラも、感じた景色について口にした。それには、虎とアイシャで無言で頷いている。同じ景色を見ていたからだ。
「自然って飽きないよな。・・・いろいろ見所は満載だぞ? 」
 鷹も、どこかの景色を思い浮かべて微笑んでいる。誰もが、この世界にある景色を各人の心に残るものを思い浮かべている。これから、それらを刹那は体験するのだ。戦争で変革したものばかりが対象ではないと、言いたい。
 悲しい景色ばかりではないのだ。それら全てを経験して来なさい、と、トダカが締めくくった。
「わかっている。」
 みんなからの手向けの言葉に、刹那も頷いた。ああ、行っちゃうんだなあーと、実感して、親猫はちょっと目を潤ませていたが、それは、みな、見て見ぬフリをしてくれた。
作品名:こらぼでほすと 襲撃9 作家名:篠義