二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 襲撃10

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

・・・・さて、どうしたもんかなあ。探りを入れるなら、別荘だな。・・・・
 というか、アレルヤはどうなったんだよ? と、いうのが気になる。何事か遭って、行方不明であるなら、それも問題になる。マイスターであることがバレたのなら、命は危ういはずだ。
 だが、それなら、刹那は、あんな顔をしていない。そこまで切羽詰った状況なら、表情に表れているはずだし、フェルトだって、のんびりと歌姫と遊んでいないだろう。
 うーん、と、いろいろと考えて、とりあえず、別荘に戻ってみるか、と、立ち上がった。


「はあ? 本? それなら、俺が返しといてやるよ。貸せ。」
 携帯でハイネを捕まえたら、歌姫の本宅でヘリの整備をしていた。別荘まで乗せろ、と、言ったら理由を聞かれた。ずっと借りっぱなしのライブラリーの本を返却したいと言ったら返事がこれだ。
「いや、続き借りたいんだ。今日じゃなくてもいいんだが、あっちへ飛ぶ日に乗せてくれよ。」
「続き? それなら、本宅のライブラリーにも同じものがあると思うぜ。」
 こっちだよ、と、ハイネが本宅のライブラリーへ案内してくれる。ああ、まあ、そうだよな、と、ライブラリーで続きを借りたら、別荘への用件がなくなった。
「日中に、そんな用事で出かけるなんて、おまえの場合はマズイぞ? 」
 この燦燦と日光が降り注ぐ時間帯に、ふらふらと出歩くな、と、ハイネに注意される。
「あの、刹那は? 」
「えーっとな、あいつ、今、中東だ。まだ一ヶ月だぞ? 心配性すぎるって、ママニャン。」
「・・・うん・・そうなんだけど。」
「そっちは、ちゃんと把握してるさ。」
「うん。」
 どうも正攻法では難しいらしい。それなら作戦は変えるしかないので、引き下がった。別荘は、ヘリなら小一時間だが、クルマとなると半日仕事だろう。夜半に出て、侵入するか、と、侵入に必要なものを準備することにした。とはいっても、ここいらのアンダーグラウンドなマーケットというものがわからないので、苦労した。それを探して、買い物ついでに買い付けて、少しずつ揃えた。それだけで準備に一週間もかかった。最後に、三蔵のコルトを借りようとして、そこでバレた。
「最近、悪い遊びしてないか? おまえ。」
 こっそり、地下の射撃場へ侵入したら、背後から声がした。ついでに、じゃきっと撃鉄の上がる音がする。振り向くまでもなく坊主だ。
「眠れないから、気晴らししようと思っただけだ。」
「気晴らし? ほおう、こんな真夜中に、門の横に、ヤバ気な荷物隠してか? 冗談も休み休み言え。」
 こつこつと足音がして、後頭部に冷たい鉄の感触がゴリッと押し付けられそうになった瞬間に、身を屈めて、振り向いてコルトを突き出す。そこには不敵な紫の瞳がある。
「やめとけ。この至近距離でも、おまえのは当たらねぇ。」
「そうでもないさ。相撃ちぐらいにはなるだろ? 」
 どちらも至近距離だ。外すことはない。だが、高僧様は余裕で笑っている。
「相撃ち? ありえねぇーな。おまえと俺じゃ場数が違う。」
 スナイパーをやっていたロックオンは、乱戦なんてものは、あまり経験していない。対して、高僧様は多数との乱闘の数は半端じゃない。避け方も、勘も、修羅場で培ってきたものがある。どちらも撃つことに対しての躊躇いはない。知り合いだとか身内だとか、で、戸惑っていられない場面には出くわしているが、経験の違いは大きい。
「コルト貸してくれ。」
「貸してやらんこともないが、誰を殺すか言え。金払えば、俺がやってやってもいいぞ? 」
「昔の稼業をやろうってわけじゃない。・・・ただの護身用だ。」
「付き合ってやろうか? おまえの腕じゃ、誰も殺せないだろ。」
「だから、殺しじゃねぇーよっっ。」
「仕事じゃねぇーのに、護身用とは、意味がわからん。」
 一歩、二歩と高僧様は近寄って、ロックオンの額に銃身を当てる。対して、ロックオンも、高僧様の肝臓辺りに銃身を当てた。
「殺してみるか? 三蔵さん。」
「・・・・バカは死ななきゃ治らないな? おまえ、ちびに、どう言い訳するつもりだ? 今度こそ、ちびは人間不信に陥るぞ。」
「なら、黙って行かせろよ。」
「どこへ? 」
「どっかだよっっ。」
 叫んだ瞬間に、ドスッッと鳩尾に蹴り込まれた。同時に、ロックオンは引き金を引いてしまったが、壁に穴を開けただけだ。高僧様は悠然と、場所を移動して、ロックオンの側頭部に銃身を当てている。
「察しはついてるが、やらせるわけにはいかないんだよ。・・・しばらく、頭冷やして来い。」
 横腹に一発、さらに蹴りこみ、それから銃身で後頭部を殴りつけて、昏倒させた。これぐらい、高僧様は朝飯前だ。ここんところ、妙な動きをしているのはわかっていたから、それなりに注意していた。やれやれ、と、その身体を抱えて、コルトとマグナムを懐に仕舞う。
「うちの女房に、余計なことを吹き込んだやつがいるな? ・・・ったく、迷惑だぞ。」
 あまり落ち込まないで、無事に暮らしていたというのに、元の木阿弥だ。どうやって接触されたかわからないが、何か吹き込まれたのだろうという察しはついている。ここは、オープンだから、そういう接触は防げないのだ。

 携帯端末で、ハイネを呼び出して、迎えに来させた。仕事が終わって、随分経っていたから、素面に戻っていたので、すぐにクルマで現れた。
「なんかおかしいとは思ってたんだ。てか、三蔵さん、これはやりすぎだろ? 何、この縛りは。」
 後ろ手に両手を、さらに、両足も、きっちりと縛ってある。暴れたところで、三蔵なら片付けられるはずの親猫に、酷い真似だと、ハイネが笑う。
「おまえのためだろ? 」
「ありがとさんです。じゃあ、しばらく監禁しとく。それから、接触のほうは、明日、キラに報告して調べさせるから。」
 なんとなく、ハイネもおかしいとは思っていた。あまり出歩くことのない親猫が、連日、外出しているなんてのが、そもそもおかしい。なんかあったな? とは思っていたのだ。門の横に置いてあるブツからして、ラボへの侵入だろうとは理解した。つまり、組織か、そのエージェントから情報がもたらされたのだろう。ちっっと舌打ちして、三蔵がタバコに火を点ける。
「また、しばらく、不自由な生活だ。うちの女房に、余計なこと吹き込んだヤツが判明したら、こっちにも報せろ。」
「・・・あんた、マジすぎて、イヤだよ。目が、本気で殺気出してるってっっ。そういうのの報復は、歌姫さんの担当だ。」
 やられたら三万倍返しを、吹聴でなく本気でやるのが、歌姫様だ。なるべく知らせない方向で、と、スタッフも気遣っていたので、ハイネも腹立たしい。




 翌日、歌姫の許へも、その連絡は入った。侵入には至らなかったが、しばらく、本宅の地下へロックオンは監禁する、と、虎から報告された。現在、どうやって接触されたか、調べているので、相手は不明だが、十中八九、王留美サイドだろうと予想はついている。組織本体には、フェルトを通して、こちらの決まりは伝えた。それで無茶を言うほど、バカではない。となれば、もう一方しかいない。
作品名:こらぼでほすと 襲撃10 作家名:篠義