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こらぼでほすと 襲撃10

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「わかりました。近日中に、帰りますから、それまでは監禁しておいてください。それから、相手と方法が判明したら、それも報告を。」
 とうとう、伝える時が来てしまった。フェルトや刹那には、できるだけ知られないでくれ、と、頼まれていたのに、一ヶ月しかもたなかった。
「ラクス様、いつかはバレることになってたんだ。そのいつかが今日だっただけさね。」
 ヒルダは報告に顔を顰めている歌姫を慰める。延々と誤魔化せるものではない。いくら、マイスターが組織のことで忙しいと言っても、必ず降りてくることにはなっていた。何ヶ月かに一度、ひとりずつだとしても、半年か一年後辺りにバレたはずだ。そこまでの責任は歌姫のものではない。
「そうですね、ヒルダさん。ですが、まだ時期尚早の感は否めません。」
 予定では余裕で半年は引き伸ばせるはずだった。あれだけやれば接触してこないだろうと油断していたのは、自分たちだ。
「あっちにしたら、マイスターを廃業したんだから、エージェントとして使おうって腹なんだろう。」
「迷惑な話だ。」
 ヘルベルトとマーズも渋い顔だ。元スナイパーなんて商売だから、また使えるというのが、面倒だ。知識もやり方も知っているから使われる。
「ヒルダさん、お願いがございます。」
「なんでしょう? 」
「私くしが本宅に戻りましたら、狐狩りに出てくださいな。」
「くくくく・・・狐狩りですね? 承知いたしました。」
 おそらく、王留美のエージェントが特区内に潜入している。それらを燻りだして叩き出しておけ、ということだった。あちらこちらのエージェントが、歌姫の周りに配置されている。普段は、それらを無視している。歌姫は、全宇宙の生きた広告塔だ。その行動を追跡されるのは仕方がない。だが、それを放置しているのも、相手には伝えてある。見逃しているのだから、借りだと思え、と、ヒルダたちが、わざわざ挨拶に出向いている。その見返りとして、ある程度の情報交換もしているので、そちらへ依頼を出せば特区内の情報は簡単に手に入るのだ。
 王家のエージェントが、どれほどの規模で潜入して、どこにいるかなんてのは、朝飯前である。
 恭しく会釈して、ヒルダが人の悪い笑みを浮かべる。やるなら三万倍返しだ。徹底的に叩き潰してやろうと思っているのは明白で、ふたりの同僚も似たような笑顔で、ヒルダに頷いている。



 天下御免の大明神様は、自分の仕事部屋で首を傾げていた。ハイネから連絡のあったロックオンと王留美の接触の記録が、どこにも見当たらないからだ。
「携帯端末へのアクセスじゃないんだな? ということは、対人か? キラ。」
 ココアを運んできたアスランは、解析の結果を後ろから見て、そう結論した。アクセス拒否されているものは、どれもありふれた広告なんかで、どう見ても接触ではないからだ。
「うーん、そういうことなのかなあ。・・・それより、ママは?」
「本宅の地下。」
 本宅の地下にある医療施設には、外部との接触から守るための部屋がある。地下なので、外へ様子が漏れることはないし、入室も生体データによるチェックがある。ただし入院する患者の精神的圧迫にならないように、部屋には外の環境が映し出されているパネルがあり、密室空間だとは思わせない配慮がされている。これを逆に利用したのだ。本来は、患者の生体データを、真っ先に登録するから入退室は自由だが、それをしなければ中から扉は開かない。
「ほらね? 甘かったんだよ。だから、もっと派手にやろうって言ったのにさ。」
 以前の報復では懲りなかった、と、キラは思っている。実際は、やりすぎで、お鉢がロックオンに回ってきたが正しい。
「喧嘩を売ったツケは払ってもらうさ。・・・ラクスから頼まれたの完成させたか? キラ。」
 朝から歌姫からメールでお願いされたものがある。それも同時に、キラは作成中だ。
「うん、イネイネちゃんなら、もうちょっと。」
「イネイネ? 誰? 」
 このネーミングセンスだけは、どうにかならないのかなあーと思うのだが、今回は名前でないのが救いだとアスランは思ったのだが、違った。
「ハイネのイネっっ。ハイハイちゃんって、赤ちゃんみたいだから変えてみた。今回はね、すごいんだよ。パネルというパネルに、お米が、一粒ずつ落ちて、それが満杯になったら、発酵して納豆になるんだ。かわいいでしょ? 」
「それだけ? 」
「ううん、ねばねばで、システムの動きを鈍化させちゃうのがメイン。被害は、それだけ。」
「あのさ、キラ。お米は発酵しても納豆にはならないんだけど? 」
「うん、知ってる。でも、イネだから。」
「あ、うん。」
 天然電波の思考回路というのは、常人には計り知れないものがある。いかなアスランといえど、その発想が、完全に理解できるか、と、問われたら、無理と答える。たぶん、『吉祥富貴』のスタッフの名前を全部使うつもりなんだな、ということは理解した。
 そして、そこへ携帯に着信だ。相手は、悟空で、明日から三蔵と本山に出かけるので、ママのほうはよろしく、と、言う内容だ。
「いきなりだね? ごくー。」
「うん、なんかさ、さんぞーが言うには、派手な喧嘩の前に面倒な仕事は終わらせときたいんだってさ。てか、殴りこみじゃねーんだから、さんぞーの出番なんてねぇーっていうのに。」
「殴りこんでもらえる展開が希望なら、そうするよ? 」
「じゃあ、なんか出番作ってやって。それから、ママ、ちゃんと見てやってくれよ? キラ。絶対に落ち込むぞ。」
「うん、そっちのフォローは、みんなでするから大丈夫。シンとレイも夏休みだからね。」
 弟分の刹那からの頼みには、悟空もキラも心を砕いている。アレルヤが行方不明なんてのは、落ち込むどころではない内容だ。無事だとは伝えられるが、なぜ、そうなったかは伝えられない。居場所も現在の状態も、伝えたら、取り戻しに行くというだろう。キラだって、もやもやした気分にはなっているのだ。
「二週間ぐらいで帰るからな。土産、何がいい? 」
「パンダ? 」
「生は無理だ。でかすぎて、飛行機に乗せらんない。」
「え? 干物とかあるの? なら、それ。」
「どうなんだろうなあ。俺は、毛皮しか見たことないけど、あれ。食えるっちゃー食えるか。」
 会話を拾っていたアスランが、携帯端末に横から、「ぬいぐるみでいいから。」 と、付け足した。世界絶滅危惧種を、生だろうが、干物だろうが、持ち帰ったら、即逮捕に違いない。ていうか、食べるな、と、叫びたいところだ。八月中旬に、お盆があるので、それまでには帰ってくるということらしい。確かに、寺は稼ぎ時だ。
 ラクスは、すぐに戻って来るから、騒ぎは程なく収まるだろう。三蔵の出番を、どうやって作るつもりだろうと思っていたら、意外と簡単だと、キラに言われた。
「あの子、たぶん、オーヴにもエージェントを置いてるでしょ? そこ、潰してもらえばいいじゃん。」
「そうか、なるほど。じゃあ、拠点のほうは、カガリンラブに見張らさせておくよ。」
 なんなら、世界中の主要拠点でもいいんだけどね、と、事も無げに大明神様はおっしゃるわけで、どんだけ攻撃するつもりだとツッコミが入りそうな台詞だ。
作品名:こらぼでほすと 襲撃10 作家名:篠義