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『魔竜院 THE MOVIE』AURA二次創作

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 撫で斬るような鬱積は続いていた。不満の種は増えるばかりで消えやしない。オッカム先生は切れ味抜群だってのに、こいつらと来たら鋸で削るように俺を消耗させてくれる。
 コスプレ制服を着た子鳩さんは、最近、良子へのアクセス頻度が高い。
「良子ちゃん、面白いもの見つけちゃった〜」
「子鳩志奈子の発見した拾得物の有用性は、全権保持者に判断を委ねる」
 良子も子鳩さん相手には、ある程度言葉を返すようになった。
 俺にはそれが前進か後退かも分からない。それが365歩のデスマーチだとしても、今この二人に言えることは、控えめな肯定だけだった。
 俺が書き手なら、こんなに無駄の多い物語は書けない。
 新・妄想戦士に真・妄想戦士、解決しないエピソードの群れ、俺を語るに必要なのは普通のクラスメイトとの平凡な日常でいい。
「いちろう?」
 良子がこちらに気づき、大きな目で俺を射竦める。
 俺は手を振り応答する。ボディランゲージ。ここにいる。笑顔。
 前言撤回、少し変なガールフレンドくらいはいても良い。
 紙パックのいちご牛乳に手を伸ばす。
「ねぇねぇ、良子ちゃん、全権保持者って誰〜」
「一郎だ」
「ぶっ」
 危うく、鼻ボルケーノを発生させる寸前。どんだけ出世してんだよ俺。
 噴火こそ免れたものの、鼻で勤労する鼻スレーブのダメージは深刻であり、俺は鼻セレブを招聘した。
 セレブ越しに眺める世界は冷ややかだ。
 クラス内のランク付けを見るに、子鳩さんを新セレブ層とし、良子はどうやらその位置から若干下位カーストに位置されている。少し前はかなり上位にあったであろう良子が、だ。
「――あの子が邪魔だよね」
 危険な音が聞こえた。耳に届きやすい少女のアルト。良子のことなのか、それとも別の誰かのことか、特定は出来ない。
「クソッタレ」
 部外者の耳に届く音量を許されるほど、その声は受け入れられてるってことだ。誰でもいいが、せめて俺の平穏だけは壊さないでくれ。
 なぜ、人の考え方はこうも揺らぎやすいのか、俺は理解したくもない。