好きよ嫌よも(大好きの枠の内)
夜が去り、気だるげになりつつも朝を迎えたのちに訪れる真昼は、夜を体現したそのものな臨也さんの気配が全くと言っても過言でない程居ない。因みにかのひとからの申告では夕刻に漸く起き出すらしい。
お昼休みを友人たちと一緒に過ごす屋上の出入り口に出来た濃い影や、夕刻へ近づいていた帰宅中に偶々顔を合わせた知人と寄った公園にまばらに散らばる影を見掛ける度に、どうしても。低く甘やかな声音や、底なしを連想させる濡れたような姿形などの類を思い出す。
だから時たま夕刻とも呼べる頃帰宅し終え、出掛けに戸締りを済ませた己の借りるアパートの部屋の扉が施錠されたままであっても、主の不在だが素知らぬ顔しておかえりを言われると。
つい、変わらず胡散臭い睦言であっても素直に受け取ってしまうのである。
お昼休みを友人たちと一緒に過ごす屋上の出入り口に出来た濃い影や、夕刻へ近づいていた帰宅中に偶々顔を合わせた知人と寄った公園にまばらに散らばる影を見掛ける度に、どうしても。低く甘やかな声音や、底なしを連想させる濡れたような姿形などの類を思い出す。
だから時たま夕刻とも呼べる頃帰宅し終え、出掛けに戸締りを済ませた己の借りるアパートの部屋の扉が施錠されたままであっても、主の不在だが素知らぬ顔しておかえりを言われると。
つい、変わらず胡散臭い睦言であっても素直に受け取ってしまうのである。
作品名:好きよ嫌よも(大好きの枠の内) 作家名:じゃく