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好きよ嫌よも(大好きの枠の内)

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あれから小さじ一杯程だけであるけれど、関係が変わって。一応告白とやらを受領して晴れて知人以上恋人らしきものになったのだけれども、相も変わらず振り回されている。
ほんとに俺のことすき、と定期的に尋ねてくるようになった人でなし臨也さん。進歩のなさはとても残念。
ようやく得たものの本位を幸せが怖くなっては疑って。そんな心の動きは理解を示せるけども、いくらなんでも此方に失礼ではないか。



予備動作のない素早さで視界に写る見惚れる造作が近付いたと思ったら、痛いくらいの力で片腕で此方の腕を掴まれていた。もう片方の腕は背に逃がさないようにしかと回されている。唇の感触に食べられるという身の怯みが過ぎる間に、名前を呼ぼうとしていた隙間から柔らかな舌に侵入され次第に思考がぼやける。体温は冷えきっているくせして口内は熱くて、そのままなし崩しになってゆく。
目は閉じるものだよ、とからかわれた。余裕のなさはとっくに露見しているのでショックには至らないし意地を張るひとが僅かにいじましい。
己が貰えた筈のものが、他人に目先で掠め取られることは仮想でも受け容れられないのであろう。元を正せば己へ向けて精製された唯一だとしたら尚更悔しいのだろう。人間関係が必要でもある僕を、時あるごとに剣のある眼差しで恨めしそうにする。尖らせた唇で鋭い不平を吐く。だがそれらを望まれていたと知れば、あなたはどう思うでしょうね、臨也さん。
酸素を取り込むことさえ許されない程に荒々しく唇を貪られながら、どうしようにもない思考を優しく懐に抱え込んだ。


「やっぱり泊まってよ」
「どうしましょうかね」
はぐらかしに掛かる僕に非難の色を隠さずの文句を言い募られる。
「帝人くんてば、もう、俺よか人でなしのようだね」
まさか臨也さんにそう言われるとは。こんな物言いには地味にダメージを受けてしまう。
僕が快楽と惰性に流され易いことを臨也さんは熟知しているからそんな策を使うのだろうけれど、まずは人でなしらしく心から狙わないのかと初期は肩透かしを受けたものだ。それとも既にそれは無用だと気付いているのか。いや、そうではないかなとあからさまな様子を見る分には判断はつく。
なら、そろそろとがった想いを欲しがり同士で与えあうよか、柔い想いを分け合いたいかなと小さく苦笑した。それを見咎められたのなら、ちょんと鼻先にキスをしたのもごく自然なこと。





「やあ。よい夜だね、帝人くん」
心に底から愉快な雰囲気で、暗闇がしとしとと埋める真夜中に訪れながらのいつもの文句、いつもの不平。また、思い返せば香りが薄れる頃合を量っている気がしたので訊ねれば、牽制だから、と朗らかに言い渡してくる。確かにこんな印をつけられるのは臨也さんくらいである。
「夜が終わってしまうよ、帝人くん。とてもよい夜だったのに」
「ええ、とてもよい夜でしたね」
「…何だかきみって、例えるのならぬらりひょんのように名と行動を知ってはいても、正体の掴めない人柄だね」
「人でなしが何言ってるんです。いいじゃないですか、回りくどくても、のらりくらりとしていても」
ゆっくりとした歩みなら転ばない。非日常が日常になったとしても、この温い間柄を続けられるのなら。

もしも出逢いがなかったことになったのなら、もしかしたらで別の出逢いがあったとしたら。それでも、そうだとしてもきっとこうなっただろう必然性を、偶には運命とやらを利用して信じてみてもいいでしょう、ねえ?