発展
※声優×マネージャー2
「なに笑ってるの」
「いやー、波江さんを好きになって良かったなぁ…と思いまして」
「…そう」
波江が黙り込んでしまった。どうしたのと顔を覗き込んで見ると頬が少し朱色に染まっていて、照れているんだとわかった。
それに少ししてからタイミングを見計らって、本題に戻る。
「キス、していい?」
媚びるようにそう言えば見つめた彼女の瞳が揺らいだ。
視線がエレベーターの底と俺の顔の間を彷徨っている。
そして暫くして、答えが返ってきた。
「してもいいもなにも…貴方、いつもそんなこと聞かないじゃない。強引なんだから、したいなら、さっさとすればいいわ…、んっ」
返事を聞き終わると同時に唇を彼女の唇に押しつけた。
女性特有のふっくらとした柔らかさが、気持ちいい。
「ふ、ぅ」
……いや、違うな。
波江だから気持ちいいんだ。
ぎゅっと結ばれた唇を無理矢理割り開くと舌が歯にぶつかった。
それで、まだ付き合い始めの頃の初々しいキスを思い出して苦笑する。
「ん…」
いつまで経っても彼女は変わらない。それが嬉しい。
だけどこのままでは埒が明かないので強行突破だ。