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こらぼでほすと アッシー2

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 ぶすっと、ああ、やっちゃったぁーという感覚に、ハイネが顔を顰めたら、病人も眉間に皺を寄せてから目を開いた。
「・・・あれ?・・・」
「とりあえず動くな。今、処置中だ。」
「お? ・・・え?・・おまえがやんの?」
「心配しなくても資格はある。」
 それでも、何度か失敗して、どうにか輸液を流すのに手間取った。やれやれ、と、輸液の速度を調整してから、顔を覗きこんだら、相手も、「下手くそ。」と、苦笑している。
「久しぶりで、勘が鈍ってた。・・・気分はどうだ? 」
「・・・いや・・・えーっと・・・俺・・・何やらかしたっけ? 」
「連日、外出して疲れてダウンした。それも、出先の駐車場でな。トダカさんから連絡があって、俺が携帯端末のGPS辿って回収したんだよ。・・・・おまえ、真夜中に探偵ごっこなんかさせんなよっっ、ママニャン。」
 どれだけ迷惑行為だったかを、ハイネは滔々と捲くし立てて叱った。事実だから、これはやってもいいし、ハイネには許されることだ。なんせ、実際に走り回らされた被害者だからだ。
「・・・あーすまない・・・」
「遠出すんなら、誰か、誘え。」
「・・うん・・・あ、なあ、ハイネ。荷物は? 」
 思い出して飛び起きようとしたロックオンは、顔を上げただけでベッドに沈んだ。まだ、ぐたぐたなのを、すぐに忘れるので、こういうことは日常茶飯事なので、ハイネもツッコミしない。
「荷物? スイーツなら、トダカ家の冷蔵庫だ。たぶん、シンが食っちゃったんじゃないか?」
「他のは? 」
「せつニャンのコートもトダカさんに預けた。」
 それを聞いて、ほっと息を吐く親猫に、ハイネも苦笑する。探していたコートだから、気になったらしい。
「別に慌てなくても、せつニャンが戻ってから一緒に行けばよかったんじゃないのか? 」
「まあ、そうなんだけどさ。・・・・見つからなかったら困るだろ? あいつの好みも難しいんだよ。」
「コートはキラにお古を貰ったんじゃないのか? 」
 以前、キラが小さくなったのを刹那に渡していた。ちょうど冬だったから、あれで十分なはずだ。
「一年もすると、うちのも成長してるだろ? それに、辺境地で、あんな派手なの着てたら目立ってしょうがない。かさばるのも問題だ。」
 刹那が都市部ばかり放浪するなら、あれでもいいのだが、どう考えても、そんなことはない。そうなってくると実用性のほうが重要になる。狭いコクピットに収納できて耐寒と防水のしっかりしたものとなると、登山用の本格的なもののほうが最適だ。だから、それを探していた。そして、刹那のお気に入りは、エクシアとお揃いの青ということになる。
「それで、連日、外出してアウトドアショップ巡りしてたわけか? 」
「だって、してやれることが思いつかなかったんだ。・・・・地上でエージェントの仕事が出来るなら、それでもいいんだが、それも無理だと言われちまったからさ。」
 ロックオンも、無理だとは感じている。雨が降る前に、動けなくなるようではエージェントなんて勤まるわけがない。ドクターにも鼻で笑われた。
「まあ、無理だわな。」
「役立たずすぎて、笑うしかない。」
「役には立ってるだろ? 三蔵さんの女房としては。」
「そっちは、どうにかな。けど、刹那たちのほうはさ。」
 組織の仕事に関しては関与するな、と、刹那から言われてはいるが、こちらで手伝えることがあれば、とは考える。だが、不定期にダウンしてしまうから、それだって難しい。
「欲張りすぎだ。なんでもかんでもやろうとしたって、そうはいかない。」
「・・・そうなんだけどな・・・・」
「おまえは、今のところ、子猫たちの待機所という仕事がメインだろ。それだけにしとけ。そのうち・・・どうにかなるからさ。」
 そのうち、それさえもできなくなるかもしれない、ということは伏せてある。そんなこと言ったら死ぬほど落ち込むのは予想できる。
「どうにかなんのかねぇー。なんか、去年より身体が重いんだけど。」
「当たり前だ。まだ、大人しくしてろって言うのに、ちょこまかしてるから回復しないんだよっっ。バカじゃねぇーのか? ママニャン。」
「おまえよりはバカだと思う。ハイネはエリートさんだ。」
「そこじゃねぇーよ。確かに、俺はエリートさんだけど、生活態度という低レベルで、おまえはバカだって言ってんのっっ。」
 怒鳴ったら、ロックオンは口元を歪めて、「違いない。」 と、声を出して笑った。
「だって、俺は、ずっと、そういう生活態度だったんだからさ。いきなり、ゆっくりしてろって言われても無理なんだよ。だいたい、テロリストに、そんな余裕ぶっこいたもんがあるわけないだろ? 」
「俺にもなかったよ。元特務機関のエリートさんにもさ。」
 ハイネだって、ザフトのアカデミーに入学してから、ゆっくりとした時間なんてあった試しはない。ただの軍艦勤務なら、長い休暇も取れるのだが、特務機関には、そんなものすらなかった。ひとつの仕事が終われば、一応、休暇は与えられるが、次の資料が送られてくるから、それを確認することになる。下手をすれば、その仕事に必要な資料も探さなければならないなんてことになっていて、休暇も仕事をしているのと同じようなものだった。『吉祥富貴』に潜入して、休職届を提出してから、こんなのんびりしてていいのかなあーというぐらい時間の余裕はできたが、それでも何もしないなんてことはない。それから考えたら、ロックオンが、のんびりできないなんていうのは理解できる。
「ほら、そういうもんだろ? 」
「でも、今は、のんびりしてるぜ? 日がな一日、だらだらとペーパーバックを読んでたり、くだらないテレビ見て、ビールがぶ飲みしたりさ。」
「二、三日ならな。俺も、そうするさ。」
 それが、延々と続くと、どうにも落ち着かないということになる。まあなあ、と、ハイネも、それには同意する。
「ウラの仕事っていうのは、依頼次第だろ? 期間は空くんじゃないのか? 」
「でも、銃の整備とか訓練は、必ずやらないと腕が鈍るし、俺は、なんでも受けてたから、割と予定は詰まってた。」
 稼ぐというのが目的だったから、なるべく依頼は受けていた、と、ロックオンは言ってから、ふと、ハイネの顔のほうに視線を投げる。
「調べたのか? 」
 組織のマイスターであることは知られているが、そこから過去のことは、ほとんど話していない。それを、すらすらとハイネは言うのだから、そういうことだ。
「おまえさん、忘れてるのか? ライル・ディランディについての調査を、オーナーに頼んだよな? あれ、実際に調べたのは、俺。」
「あ、そうか。」
 以前、実弟について、居所の調査をしてもらった。それを調べれば、ロックオンの素性もバレるのは、当たり前だ。なんせ、同じ顔の双子なのだから、そこから繋がりは簡単に拾える。普通に調べれば、ニール・ディランディは、ある時から失踪扱いにはなっているが、ここでは、そこからの追跡も可能だろう。
「腕利きスナイパーが、後方支援MSに搭乗してるってのは驚いたけど、ヴェーダっていうのは、いい選択をする。」
「そうだな。俺も、誘われた時は驚いた。」