過去作品を晒してみよう、の巻。
そう言って去ろうとした私の背に、『やはり、貴方はずるいのだ。』、との言が掛ったが、
振り向くと彼も背を向けていた為、呼び止めてまで言及する必要も無いと判断し、そのまま其処を後にした。
与えるものなど何も無く、また与えられるものなどそれ以上に無いのだと、頑なに思い込んでいた。
与えられて返せないのは己も同じだと、思い悩んだ時期もある。
返したい、与えたい。
何時しか抱くようになったこの想いの出した答えが、生涯歩むこの覇道への切欠となった事を、恐らく、誰に言うまでも無く逝くのだろう。
それで良い。振り向かず、ただ私の背を見て、進んできたら良い。
不平等だと口を尖らせて吐き捨てられたその言葉を、本当は、ちゃんと平等なのだと、変えて伝えたい。
何時の日か貴様よりも大きな背の、その意味を。自分自身で見付けられたら良いと、願う。
そして、そうなる事を誰よりも夢見ているのが己なのだと言う事を、今はまだ、誰も知らない。
作品名:過去作品を晒してみよう、の巻。 作家名:Kake-rA