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過去作品を晒してみよう、の巻。

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 4.エクソシスト元就×悪魔政宗パラレル


 其処は、郊外に佇む一軒の境界。
 薄汚れた外壁はその物の歴史の古さを物語り、世俗の喧騒より隔絶されたその建物は、一定の静寂を保つ。
 時は宵の刻。
 より一層静まり返った教会の周辺は、いっそ不気味ささえ滲み出ていた。
 そのような暗がりの中、教会内部で、ぼんやりとした影が2つ。
 1人の男が、漆黒色のドレスを身に纏う女を組み敷いている。
 組み敷く男の首から垂れるのは、ロザリオ。
「ねぇ、神父様がこのような事、なさって良いの?」
 神への冒涜なんじゃなくって?
 クスクスと笑みを漏らす女は美しく、そして妖艶で。
 紅いルージュを引いた唇は、毒々しささえ感じられる。
 男は不快気に眉を顰め、次いでその形の良い唇の端を吊り上げた。
「それで?何時迄化けているつもりだ?」
 いい加減不愉快だ。と。
 吐き捨てる男の拘束する手の力は強さを増す。
 ギシリ、と重みの乗った椅子が鳴った。
 女は軽く眼を瞠り、再度クスクスと笑い出した。
 殊更に妖しく笑んで。
「「Ah、なんだ、バレてたのかよ。」」
 重なり響く、2つの声音。
 高低が紡ぎ出す音は奇麗なハーモニーを奏でるが、本来ならば1人の声から2つの音域を同時に出すなど有り得ない。
 奇妙に響くのは、透き通るようなバス。
 艶然と笑む女は、真直ぐに頭上の男の眼を射抜く。
「「いきなり押し倒された時はどうしようかと思ったぜ。」」
 突如、女の姿が揺らいだ。
 原型を留めぬ程にブレた女の姿が、次第に形を変えていく。
 その姿が完全に変わる頃には、男の目もその変化に漸く慣れていた。
「ったく、誤算だったな。上手く騙せると思ったのに。」
 目を引くのは、強烈なまでの印象を与える、その瞳。
 隻眼なのか片目に眼帯をはめている男の左眼が、組み敷く男の眼を捉える。
 青空の澄み渡るような蒼とも、仄暗い海の底を表すような藍とも違う、突き放すように冷たく、それでいて全てを呑み込むような、絶妙な色合い。
 細められた隻眼は、楽しげに笑っている。
「Hey、どうしたよ?先刻からだんまりか?」
 何もかもを魅了する、蠢惑的な笑み。
 それこそが、彼等に与えられし力の1つ。
 十字架をその首から下げる神父は、溜息を1つ漏らし、冷やかに男を見下ろした。
「貴様こそ、この状況で随分と余裕だな。」
 更に強められていく手の力。
 跡が残っても仕方の無い程にキツく握られた手首に眉を顰め、組み敷かれる男は脱出を試みた。
 しかし・・・・・・
「Shit、どうなってやがる!」
 容易に行くと思われたその所作は、どう足掻いても変わらなかった。
 一転して焦り出す男を神父は、嗤う。
「逃れられると、思っていたのか?浅はかにも程があるな。」
 空いていた片手で首に掛けられた十字架をゆっくりと外す。
 それは多くの神父が付けているあの十字架とは、少し作りが違っていた。
 男は疑問に思う。
(どうして力が使えない?いくら教会だからとは言え、この程度の輩から逃げる位の力は使える筈・・・)
「そんなに不思議か?我から逃げられない事が。」
 少しずつ緩められていく手首の拘束。にも関わらずそこから動ける気配すら無い。
「見た通り貴様は半人前のようだ。」
「んだとテメ・・・・・・ッ!!」
「相手の力量すら見取れぬような輩が、我に敵う筈無かろう。」
「図に乗ってんじゃねぇぞテメェ!!」
「貴様の教育係はかような初歩事項すら教えてくれなかったのか。」
「上等だ、今直ぐ殺して・・・」
「我が名は毛利元就。Sランク階級の悪魔祓い士(エクソシスト)だ。」
 男がピタリと口を噤む。
 その1つしか無い瞳が、みるみる内に見開かれて行く。
「ほう、名前位は知っているようだな。」
 悪魔祓い士、毛利元就。
 その筋の者ならば1度は耳にした事のある、民間人にさえ広く渡っている名だ。
 若手ながらその実力はかなりのもの。
 実際の経歴から、彼が如何に優秀で残忍かを窺い知る事が出来る。
 勿論の事、男の一族、世界にもその名声は知り渡っているところであり、現時点で彼を相手にすると言う事は男にとって死を意味する事であった。
 これが30年後の話ならば互角にまで持って行けた可能性もあっただろう。
 しかし今の男の実力では、到底元就には及ばなかった。
 相手にするな、関わると再三に渡って言い聞かせられてきた事だが、肝心の顔を知らないのでは所詮無意味な教育だったと言わざるを得ない心境の男である。
「そう、悔んだところで今更だ。」
 先から男の考える所が読めているのか、止めを刺さんばかりに男へと言を降らす元就に、男は隻眼で思い切り睨み付けた。
「詐欺だぜ、もっと老い先短ぇジジイだと思ってたのによ!」
「勝手に勘違いしたのは貴様の方だろう。さぁ、そろそろ観念したのか?」
 元就の手にある十字架が、左右へと動き、男の眼にソレを焼き付けようとする。
 男はあらん限りで舌打ちをし、フイッと視線を反らした。
「・・・あぁ、そうだな。どうせアンタから逃げるのは不可能なんだ。殺せよ、好きにしろ。さっさとしろよな。」
 そう言って全てを諦めたかのように静かに男は目を閉じた。
 その動作故に、男は元就の顔にそれまでとは違う笑みが浮かべられていた事に気付かなかった。
「そうか。ならば貴様の望むようにしてやろう。」
 元就はゆっくりとその十字架を男に近付けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・あ?」
 目が覚めると、死ぬ直前まで見えていたモノと同じ柄の天井が目に映った。
 確かに自分は元就の手に掛って死んだ筈だと、痛む躯と頭を起こすと、その身には掛布が掛けられていた。
「どうなってやがる・・・」
 徐に周囲を見渡すが、やはり景色は記憶のまま。
 男が首を傾げていると、教会の扉が開けられ、眩い光が内部に差し込まれる。
 男にとっては毒以外の何物でも無い。
「くそっ・・・」
「漸く目が覚めたか。」
 あまりの眩しさに両手で目を覆っていた男に、聞き覚えのある音が届いた。
「あまりによく眠っているものでな。本気で殺したかと思った。」
「テメェ・・・そうだ、この状況は何だよ!なんで俺は生きてんだ!!」
 元就はあぁ、と短く返事を返すと、不遜に言い放った。
「何故我が貴様の思う通りにしてやらねばならぬ。死を望むのならば服従を強いてやろうと思ったまで。
 丁度手駒が欲しいと思っていたところでな。自身の首の辺りをよく見てみると良い。」
 そう言って放られた鏡を手に取り、言われるままに首元を映せば・・・
「・・・んだコリャ!?」
 鎖骨の上辺りに、黒い十字の痣が出来ていた。
「それは服従の証。術者である我が解かぬ限りその効力は我が死ぬまで続く。
 どうせ1度死んだのだ。心を入れ替え我の手足となって働け。」
 男はフルフルと震え、絶叫した。
「ざけんじゃねぇ!!!テメエの僕になるなんざ死んでも御免だ!!!!」
「吠えた所で現状は変わらぬ。大人しく環境に適応した方が自身の身の為だとは思わぬか?」
「冗談じゃねぇぜ!!俺は出て行くからな!!!」