過去作品を晒してみよう、の巻。
勇み足で出口へ向かって行く男を、元就はまるで止めようとはしない。
だが、
「1つ言い忘れたが、我の許可が下りぬ限り、貴様の行動範囲はこの教会の中及び隣接した我の家のみだ。心して動けよ。」
扉を開け放ち外へでようとした瞬間、目に見えぬ何かに行く手を阻まれた男は、思い切り顔面強打して後方へ逆戻りした。
「~~~っ、そう言う事は早く言えよ!」
「我の話も聞かずに出て行こうとしたのは貴様だろう。自業自得だ。」
赤くなった自身の鼻を押さえ、男は涙眼になっている。
その様を横目に見ながら、元就は問うた。
「さて聞きたいのだが、貴様の名はなんと言う?」
男は怪訝そうに元就を見た。
その眼が"コイツ今更何を言ってやがるんだ?"、と雄弁に語っていた。
「阿呆か貴様は。その鳥頭をどうにかしろ。貴様の真名などとうに知り得ているわ。
だがそう軽々しく日常的に名を呼んでは色々と不都合が生じるのではないか?貴様に。
だから通り名で呼んでやろうと言うのだ。別に我は真名でも構わぬが?」
ニヤリと嫌な笑いを創る元就に、男は心底嫌そうな顔をした。
「アンタは一言多いんだよ。・・・・・・政宗、伊達政宗だ。」
「ほう、政宗か。承知した。我の事は毛利様でも元就様でも構わぬぞ。」
「なんでどっちも"様"付なんだよ!?」
「当然であろう。我は主人ぞ。」
「呼ば無ぇ、絶対ぇ呼ば無ぇ!!テメェなんか呼び捨てで十分だっての!!」
「貴様には敬うと言う心は無いのか。まぁ良い。その減らず口を矯正して行くのも1つの楽しみだと思って行くとするか。
これからしっかりと働いて貰おうか、悪魔殿?」
「Ha、誰がアンタの思い通りに行くかってんだよ、エクソシストさんよ。」
こうして奇妙な2人の同居生活は幕を開ける。
作品名:過去作品を晒してみよう、の巻。 作家名:Kake-rA