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過去作品を晒してみよう、の巻。

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2.その他



 1.DDFF無印

「ふぇっ、ふぇっくしゅん!」

 全ては、1つのクシャミから始まった。





 晴れ時々雷






 (あぁ~、今年もそんな季節かぁ・・・)
 ジタンは鼻を啜りながら思った。
 目尻には生理的な涙さえ浮かんでる。 
 今日も良い天気な秩序の聖域。
 取り敢えず降雨の心配はなさそうだ。
 と、突然ガシィッ、と両肩が掴まれ、何事かと前を見れば俯いたウォーリアの姿があった。
 「ウォ、ウォーリア?」
 「――――――か?」
 「はっ?」
 「風邪を引いたのかジタン!!!」
 物凄い剣幕と共に上げられた顔を真正面で受け止めてしまい、その迫力でジタンは後ろへ転倒しそうになった。
 「いや、何言って・・・」
 ふとジタンが視線を感じて周囲に目を巡らせると、全員が固まった表情でジタンを凝視していた。
 「いかん、いかんぞジタン!風邪は万病の元だ!!早急に治せ。誰かにうつりでもしたらどうするんだ!!!」
 ガクガクと肩を揺すぶられながら恫喝され、次第に頭痛までしてきたジタンは、フラフラになりながらウォーリアに言った。
 「あっ、あのさぁ、ウォーリア、別に風邪じゃな・・・」
 「フリオニール、今直ぐ布団の準備!セシルとティナは薬湯と食事の準備をしてくれ。」 
 「「「Yes, sir.」」」
 「・・・・・・って聞いちゃいねぇし。」
 「なぁなぁ、俺達は?」
 「そうっス!何か手伝うっスよ!」
 「お前達は大人しくしてなさい!!」
 「「はっ、はぁい・・・」」
 折角手伝いを申し出て見事玉砕した元気組の20歳と16歳。
 ジタンは俯き沈むバッツとティーダに義理も無いのに申し訳無さを覚えた。
 「オニオン、風邪をうつされるといけないから近付くんじゃないぞ。」
 「うん、分かった。ジタン、早く良くなると良いね!」
 「あっ、あぁ・・・・・・」
 こうまで完全看護体勢が整ってしまっては今更どうだのとは言い難くなってしまったジタン。
 用意が出来たと呼びに来てくれたフリオニールにこれでもかと言う程厚着させられ、布団に放り込まれた。



 (あっ、暑い・・・)
 厚着+布団と言う、大変暑苦しい中でジタンは汗をダラダラ流していた。
 とは言え、その汗は単に暑いからじゃない。
 「・・・・・・汗が凄いな。」
 「・・・・・・着替えが要るか。」
 両脇にクラウドとスコールの配置。
 無口無表情の視線が一手にジタンへと注がれている。
 完全看護体勢であり、完全監視体勢だ。
 一応心配してくれているのだと言う事は分かるのだが、この沈黙と眼差しがジタンには耐えられない。
 「クラウド、スコール、俺大丈夫だからさ、その・・・」
 ムクリと身体を起こそうとすれば伸びてきた腕がジタンの肩を押し、そのまま布団へと逆戻りだ。
 「「寝てなさい。」」
 普段あまり調子が合わないのに、何故このような時ばかりハモるのだろうか、とジタンは心の中で秘かに涙した。
 
 寝てろ、とは言うが、まだ昼間、しかもこの重圧の中で、ジタンは寝る術を知らなかった。
 無意識の緊張で神経と体が強張り、寝ようと思えども寝付く事すら儘ならない。
 これ程にも空は青いのに、自分は布団の中か、と心中で溜息を漏らした。
 吹く風が聖域を包み、爽やかな空気を運んでくる。
 とは言えどもそれが今のジタンにとっては毒なので、諸手を挙げて歓迎出来るものでは無いが、やはり淀んだ空気よりはこの位澄んでいて貰いたい、とジタンは思う。

 そうして思考の海に浸っていたジタンの頭部に、何か暖かいものが2つ触れた。
 何かと思い閉じていた眼を開けると、仏頂面の2人の腕が、ジタンの頭を撫でていた。
 驚いて目を見開くと、それに気付いた2人は恥ずかしそうにフイッ、と視線を逸らしてしまったが、未だ手は置かれたままだった。
 その手の暖かさと優しさに、ジタンはこそばゆさと穏やかさを感じ、安心に包まれたまま、次第にまどろみへと落ちていった。
 「早く治せ。」
 完全に眠りの淵に落ちる寸前、ぶっきら棒にどちらかが言った言葉がスルリとジタンの耳へと入り込み、心の中へ落ちていった。



 「―――――ン、・・・タン、起きて。」
 耳元で囁かれる声にジタンが意識を浮上させると、目の前に顔を覗き込むティナとセシルが居た。
 どれ位寝ていたのだろうか、まだ空が明るい所を見るとそんなに経ってはいないか、と、ジタンはぼんやりした意識のまま身体を起こした。
 「気分はどう?」
 「えっ?いや、別に重病人じゃないんだし・・・」
 ふと、2人が抱えている何かがジタンの目に映った。
 見た目はスープと薬、のようだが、明らかに摂取して良い色合いをしていない。
 「なっ、なぁ、ソレって・・・」
 恐る恐る尋ねるジタンに対して、
 「えっ、薬と食事よ。」
 「食べ易いように流動食にしたからね。ちょっと作るのに時間が掛かって遅くなっちゃった。」
 当然と言わんばかりに差し出してくる2人。
 しかもやり遂げた感一杯の笑顔。
 ジタンは引き攣りそうになる顔を必死に抑えて、笑顔でお礼を述べ受け取った。
 (2人は俺の事を考えて用意してくれた訳だし・・・)
 色に加え何やら臭いまで危険な香が漂ってくるが、仲間の好意を踏みにじる事が出来ないジタンは意を決してスープの皿に口を付けた。
 (・・・・・・えぇい!なるようになれ!!)
 それを傾け、一口流し込んだ。

 一瞬の空白を置き、ジタンは意識がフェイドアウトした。
「「じっ、ジタン~~~~~!!?」」
 目を回して意識を手放したジタンにセシルとティナは慌てた。
 クラウドは布団の上に身体を投げ出しているジダンを冷静に布団へ戻してやり、スコールはフリオニールの元へまともな食事と薬を頼みに行っていた。



 全ては、ジタンのクシャミ1つから始まった物語。
 こうして彼等の絆はまた一段と深まった事であろう。

 今日も、秩序の皆さんは平和です。